日本の団体が台湾の慰安婦像に乱暴 国民党議員、日台交流協会前で抗議

【政治】 2018/09/10 18:29 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
謝龍介氏のフェイスブックページより

謝龍介氏のフェイスブックページより

(台北 10日 中央社)慰安婦問題に関して日本の名誉を守ろうとする個人や団体で作る「慰安婦の真実国民運動」のメンバーが南部・台南市に設置された慰安婦像を蹴ったとして、野党・国民党議員や市民は10日午前、日本の対台湾窓口機関、日本台湾交流協会台北事務所前で抗議活動を行った。これを受けて外交部の李憲章報道官は各界に対し、平和で理性的な方法で対処するよう求めた。

国民党所属の台南市議で台南支部主任委員の謝龍介氏は9日、慰安婦の真実国民運動の藤井実彦幹事が慰安婦像を足の裏で蹴っているとみられる姿を捉えた防犯カメラの映像をフェイスブックで公開。藤井氏は6日に台南支部を訪れ、慰安婦像設置に抗議する内容の公開質問状を謝市議に手渡していた。映像は同日午前に撮影された。

謝市議はフェイスブックで「共同で最も強い非難を浴びせるよう台湾社会各界に呼びかける」と言明。要望として、藤井氏の慰安婦像前での謝罪、謝罪がない場合は台湾からの出境の制限▽交流協会台北事務所の沼田幹夫代表(大使に相当)の公の場での謝罪▽台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表(駐日大使に相当)による安倍晋三首相への正式な抗議―の3点を挙げた。

交流協会台北事務所前で行われた抗議活動には、慰安婦像の除幕式を主催した台南市慰安婦人権平等促進協会のメンバーや謝市議のほか、国民党所属の台南市義や立法委員(国会議員)複数名が参加。参加者は「日本謝れ、日本賠償しろ」などと叫んだほか、交流協会のビルに卵を投げつけるなどして抗議した。出動した警察との間で一時的にもみ合いも起こった。

台南市慰安婦人権平等促進協会の黄淑貞理事長は交流協会の職員に抗議文を手渡した。交流協会は、この件に関するコメントは控えるとしている。

外交部の李憲章報道官は、政府は台湾人元慰安婦の問題を極めて重視しており、この問題への対処や元慰安婦の尊厳を勝ち取る立場は変わらないと言及。今後も引き続き日本側と積極的に話し合いを行い、台湾人元慰安婦の権益と尊厳を重視するよう求めていくと述べた。

慰安婦像は先月中旬、国民党台南支部の隣の同党所有地に設置された。向かいには観光名所の「林百貨」があり、一帯には日本人観光客も多く訪れる。除幕式を行った台南市慰安婦人権平等促進協会は謝市議の協力で創設された。

(顧セン/編集:名切千絵)