自衛隊は「盾」、米軍は「矛」のままでよいか?

「軍から守る」から「軍が守る」時代に

2018年9月11日(火)

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 今年末をめどに「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」が改訂される。前回の改訂から5年。この間に北朝鮮は核・ミサイルの開発を大幅に前進させた。トランプ政権が誕生し、米国の安全保障政策は内向きの度合いを強める。

 改訂に当たって我々は何を考えるべきなのか。火箱芳文・元陸上幕僚長に聞いた。同氏は、自分の国を自分で守れるようにする体制整備と、米国頼みからの脱却を重視する。

(聞き手 森 永輔)

陸上自衛隊が導入を進める機動戦闘車。キャタピラーの代わりにタイヤをはいているため、軽量で小回りが利き、高速走行が可能(写真:アフロ)

火箱さんは今回の「防衛計画の大綱」*1と「中期防衛力整備計画」*2の改訂はこれまでになく非常に重要だ、と主張されています。それはなぜでしょうか。

*1:国家安全保障戦略を踏まえ、今後の我が国の防衛の基本方針、防衛力の役割、自衛隊の具体的な体制の目標水準等を示したもの(防衛省の資料から引用) *2:防衛大綱を踏まえ、今後5年間の経費の総額と主要装備の整備数量を定めるもの(防衛省の資料から引用)

火箱:日本を取り巻く安全保障環境が激変しているからです。米国は“世界の警察官”から退く方針を明らかにしました。その軍事力は依然として世界一ですが、相対的には低下してきています。このため米国第一、すなわち、かつてのモンロー主義に回帰しました。

火箱 芳文(ひばこ・よしふみ)
陸上自衛隊・元幕僚長。1951年生まれ。1974年に防衛大学校を卒業し、陸上自衛隊に入隊。第1空挺団長、第10師団長、中部方面総監を経て陸幕長に。2011年に退官。現在は安全保障懇話会理事長、偕行社理事などを務める(写真:加藤 康)

 その一方で、中国が台頭。一帯一路政策を進めるなど、中華民族の偉大な復興、夢の実現に取り組んでいます。米国が主体となって構築した秩序に挑戦する構えです。ロシアもかつての力を取り戻すべく歩みを進めています。

 米国は退く姿勢を取りつつも、中国の海洋進出には警戒を強めています。中国の動きは南シナ海はもちろんインド洋まで及びます。それに鑑み、太平洋軍の名称を2018年5月、インド太平洋軍と改めました。これには安倍晋三首相が提唱する「自由で開かれたインド太平洋戦略」に乗った部分もありますね。

 こうした中で米国は、米国が単独で事態に臨む一極体制から同盟国と責任を分担する体制にシフトしています。「俺に任せろ」とはもう言えなくなった。この点を同盟国にも明確に語っています。ジェームズ・マティス米国防長官は来日した際、「日米両国が防衛の人材・能力に投資し続けることが重要。お互い一緒に立てば強くなれる」と語っていました。

 日本の社会はこれまで米国に依存しすぎたのではないでしょうか。「日本の安全を最後はアメリカさん、お願いします」という感じ。日本を取り巻く安全保障環境がこのように変化する中で、これまでの姿勢は改める必要があると思います。

北東アジアの防衛に米国を関与させ続けること

 自衛隊で40年弱にわたって勤務する中で、日米同盟が「片務的」であることに違和感を覚えていました。同じ任務を米国と共同で分担する気持ちがあるのに、自衛隊は憲法の縛りがあるためできないと断らざるを得ませんでした。安全保障法制を成立させ現行憲法の下でギリギリのところまでできるようにしたとはいえ、集団的自衛権は依然として限定的にしか行使できません。

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「自衛隊は「盾」、米軍は「矛」のままでよいか?」の著者

森 永輔

森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長

早稲田大学を卒業し、日経BP社に入社。コンピュータ雑誌で記者を務める。2008年から米国に留学し安全保障を学ぶ。国際政策の修士。帰国後、日経ビジネス副編集長。外交と安全保障の分野をカバー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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