更新日:2018年2月15日

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平成29年度の大切さを学ぶ授業作文コンクール査委員長賞(警察本部長賞)入賞作品

 【受賞者】山梨市立笛川中学校3年衣(ひはらい)

【作品名】自分の代わりは自分だけ

年10月に、大阪から「少年犯罪被害当事者の会」代表の武るり子さんが講話のため笛川中にお越しくださいました。

の話の内容は武るり子さんの息子、孝和さんの事でした。孝和さんは文化祭に来ていた他校生ら6人グループのうちの2人に謂われのない因縁をつけられ、逃げたがつかまってしまい、殴る蹴るの暴行を受けたそうです。孝和さんは、もともと血友病を患っており、大切に育てられた息子さんでしたが、事件発生の11月3日から12日間脳死に近い状態だったそうです。孝和さんのお父さんからは、「ケンカになりそうになったらまず謝れ。それでダメなら逃げろ。」と日頃から言われていたそうです。事件発生の日からは、今までの喜びは全て悲しみへと移り変わってしまいました。5人家族だった日々から4人に変わった事により、家庭も崩壊しそうになり、あまりの悲しみの大きさに心が押しつぶされ、精神的に極度に不安定な状態になる程だったそうです。

んな、絶望のふちに落ちていくような武さんらを救ったのは近所の人や亡くなった孝和さんの友人でした。警察に行く時は一緒に付き添ってもらったり、書類を一緒に作成してもらっていたというお話を聞いて、周りには必ず自分を助けてくれる人々がいて皆で支え合う事の大切さを改めて感じる事が出来ました。

かし、警察に行っても加害者が少年だからという理由で警察からも裁判所からも事件の詳しい内容、加害者の住所、名前、何一つ教えてもらう事が出来なかったそうです。この事を聞いて私は加害者が未成年であろうが、小さなケンカであろうが重大な罪だと思いました。人を殺してしまい、その家族まで壊してしまい、少年だからといって謝れば済む問題ではありません。一生かけて償わなければいけません。それは、この事件に限った事だけではなく、罪を犯してしまった全ての人に言いたいです。

の事件から2年5か月後の平成14年3月19日、ついに判決が出ましたが、少年犯罪で殺された子供達を追悼しつつ、武さんらの現状を少しでも多くの人に知ってもらいたいという想いで、学生さん達に助けてもらいながら手探りで始めた「WiLL」(ウィル)という集会を、今では毎年1回10月に大阪市西区民センターで行っていると聞きました。

さんの講話を聞いて「人の命の大切さ、重さ」を本当に実感しました。事件や事故、犯罪は他人事ではなく自分達のすぐ近くで起きていて、その被害により今も苦しんでいる人がたくさんいるという事を感じました。いつ何が起こるか分かりませんし、必ず自分に明日が来るとは限りません。私の今の夢は警察官になる事です。警察官として苦しんでいる人や助けを求めている人を救えるように、平和な世の中を目指していけるように、夢を実現するため絶対諦めず、努力して行きます。

 【受賞者】山梨県立都留高等学校3年希(やまもとうき)

【作品名】「今を生きる」

日、16年前に起きた大阪教育大学附属池田小学校事件で娘さんを亡くされた本郷由美子さんの講演を聞いた。本郷さんは、我が子を亡くすという私たちにとって想像をはるかに超えるだろう辛い思いをしながらも、その思いとともに精一杯生きていた。この講演会を通して、私の学校の生徒一人一人が「命の大切さ」について改めて考え直すきっかけとなった気がする。

も数年前に、大切な人の命を失った。それはあまりにも突然で、私にとってとても衝撃的なことだった。都留市出身である私の伯母(山本美香)は戦場ジャーナリストとして、世界各国の内戦が起こる現場に出向き、女性や子どもなどの弱い立場に置かれている人を中心に取材し、戦下で暮らさなければならない人の声を代弁していた。しかし、中東シリアでの取材中、戦闘に巻き込まれ、命を失うという結果になってしまったのだった。私自身も、私の家族も誰もが皆、伯母が危険と隣り合わせで仕事をしていることは、充分承知しているはずだった。一方で、私の伯母だけは大丈夫だと、帰ってくるものだと、どこか安心していた。しかし、実際にこの受け入れ難い悲しい現実を目の当たりにしたとき、現実を受け止めるのに、相当な時間を要したのだった。

母の死を受けて、メディアは伯母が伝えたかったことについて連日大きく取り上げていた。私はそれを見る度、今まで知らなかった伯母の活動を知ることができ、その偉大さを更に感じることになった。その思いが大きくなるにつれ、伯母が見てきたもの、経験してきたことをもっと知りたい、もう一度話をしたいという思いも強くなっていった。だが、いくらその思いが強くなっても、一度失った命はもう二度と戻ってくることはないのだ。この出来事は私に、一つの生命は強く輝きを放ちながらも、一方ではもろくてはかないものであるという感慨を抱かせた。

郷さんは、講演会の中で私たちに、「今、皆がここにいることが嬉しい。ありがたいことだ。」とおっしゃっていた。一つの命は、いくつもの数えきれないほどの命につながっている。当たり前のことだが、壮大で奇跡的なことなのだと思う。私が今、こうしてこの場にいて生きているということは、亡くなってしまった大好きな伯母を含む、たくさんの命が関わっているのだということを考えると、自然と「命を大切にしなければ」という気持ちが強くなってくる。

在の日本では、いじめなどが原因で自殺に追いやられてしまう子どもや、殺人事件・交通事故などで失われてしまう命も少なくない。また、世界に目を向けて見ると、テロや内戦、その影響による飢餓状態が永らく続いている地域もある。罪のない人の命が奪われてしまうこの世の中を、少しずつ変えていかなければならない。私の生は、また別の一つの生につながっていく。本郷さんの講演をきっかけに、私自身も周りの人を大切にしながら、今をしっかり生きようと改めて心に誓った。

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