独東部ケーテンで極右デモと対抗デモ 移民とのけんかによる死亡受け
ドイツ東部ケーテンで9日、ドイツ人の男性がアフガニスタン人の男性とのけんかの後に死亡したとされる事件を受け、極右グループと、対立する反ファシストグループがそれぞれデモを行った。
警察が衝突を阻止するために派遣され、ケーテン市長は住民に対して、家に留まるよう指示した。
死亡した男性は22歳で、8日に亡くなった。けんかで負った頭の傷とは直接関連のない心臓疾患が原因とされている。
けんかに関係して、アフガニスタン人の男2人が逮捕されている。
死亡した男性は、アフガニスタン人の男3人と妊娠中の女性が言い争っているのを止めに入り、倒れたときに頭を打ったという。検察は、検視の結果このけがが直接の死因ではないと発表している。
9日のデモでは大勢がケーテン市内を練り歩いたほか、犠牲者を悼んでろうそくが灯された。
地元のマルティン・オレイニツキ牧師は、緊張緩和のためにあらゆる努力を払う必要があると述べ、教会は「犠牲者とその家族、ケーテンの平和のために」毎日祈っていると話した。
「いつでもこの手の危険がある。先日にもケムニッツで同様の事件があり、エスカレートする可能性もあるが、誰もそれを望んでいないはずだ。だから各方面をなだめ、話をして、今は問題を拡大させるべきではないと説得している」
この日に先駆けてネオナチグループがソーシャルメディアで、ケーテンでのデモを呼びかけていた。ケーテンは、2週間前にドイツ人男性が移民2人に刺殺され、極右デモや対抗デモの舞台となったケムニッツから160キロほど北に位置する。
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現地メディアが伝えた目撃者の話では、死亡した男性とその兄弟が、公園でのけんかに介入したことで始まったという。
9日には警察が「アフガニスタン人2人が、殺人容疑で一時的に拘束されている」と発表した。
ケムニッツでは8月26日、35歳のドイツ人男性を刺殺したとして、シリア国籍とイラク国籍の男2人が逮捕されている。
この事件を受け、ケムニッツでは極右デモや対抗する反ナチスデモが発生し、衝突が起きたほか、ドイツ人ではない外見の通行人が襲撃される事件も起きた。
アンゲラ・メルケル独首相は「自警団による正義」は寛容できないと警告している。
なぜ移民問題は厄介なのか
メルケル首相は2015年、89万人という記録的な数の難民申請者を受け入れると発表した。その大半は内戦から逃れたシリア国民で、移民当局によると前年の到着人数の5倍超に達した。
しかしメルケル首相と連立与党は昨年の総選挙で大きく後退。一方、反移民を掲げる極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が12.6%の得票率で初めて議会入りし、90議席以上を獲得した。
ケーテンはザクセン・アンハルト州、ケムニッツはザクセン州にあり、どちらもAfDが特に支持を集めている。