水族館に行こう!
水族館でシーフード
僕たちは水族館内のフードコートに来ていた。
フードコートは本館から出てすぐの所にある。
「リノン、食べたいものある?」
「フィッシュ…って、お魚?」
「うん、そうだよ。」
「じゃあ、フィッシュってついてるの食べたい!」
リノンはメニューから、フィッシュバーガーと
フィッシュアンドチップスを指さした。
「わかったよ。
じゃあ、僕はこれにしようかな?」
僕はたこ焼きを選ぶ。
…水族館なのに、海産物を頼む二人…。
「タコってな~に?」
「えっと…オクトパスとかっていったらわかる?」
「あぁ、モンスターでいたよ?
足が長くて吸盤いっぱいなの。」
「それと同じものだよ?」
「…私は食べようとは思ったことないな…。」
なんとなく。
モンスターから派生させると、通じるような気がしてきた。
まぁ、モンスターを食べようとは思わないだろうけど…。
僕はリノンに席の確保をお願いして、注文を取りに行く。
ふと、去年の光景を思い出す。
去年は僕一人っきり。
顔も知らない相手のために、僕は話しのネタのために、
宿をとってここに来た。
まだ、恋愛とか始まりの頃だろうか?
「そういえばシルビィの事で、もめたんだっけ…。」
思い起こせば、シルビィが居なければ、
僕が告白を迫られるようなことは、無かったはずだった。
なし崩しではあったけど、「好き」って文字を書くのに
どれだけためらったことか…。
「お待たせ。」
僕は店から買ってきたものをリノンの前に並べる。
「ユウスケ、何かいいことあったの?」
僕の表情を読み取り、リノンが聞く。
「いや、去年の夏にここに来た時の事を思い出してて…。」
「へぇ~、どんなこと思い出してたの?」
「その時の日記の事。」
僕は、さっき思ったことをリノンに打ち明ける。
「僕がリノンに告白した時だったよ。」
「…。」
リノンもその時の事を思い出したのか、頬を赤らめる。
「怒らないで聞いてね。
その…僕はシルビィが居なかったら、
告白しなかったと思うんだ…。」
リノンは黙り込む。
僕は続けて思いを語る。
「なんかその…。
今の僕たちがあるのは、シルビィのおかげなのかな…って。」
「…キューピット?」
「…僕は恥ずかしくて言えなかったのに…。」
二人で顔を赤らめながら、くすくすと笑う。
「さっ、冷めないうちに食べましょ♪」
そういうと、リノンはフィッシュバーガーを口にする。
「うん、おいしい♪」
一緒に買ったジュースを飲みながら。
「…ユウスケの、その丸いの、なんだか可愛い…。」
「食べてみる?
あとで食べたもの紹介するけど?」
「…なんとなく怖い気もするけど…食べてみる!」
そういうと、リノンはたこ焼きを一つ、ほおばる。
「はっつい!!!」
「気を付けて!」
「でも、おいしい!」
リノンは微笑む。
「タコ、紹介しても、吐かないでね…。」
「大丈夫!
向こうの世界で何匹も倒してるから♪」
…正直、大丈夫じゃないような気もしなくもない…。
「日記の事に話し戻すけど…。
今思うと、逆告白したような気がして…。」
「まぁ…ね…。」
僕の返事に、リノンは膨れる。
「なんか…シルビィの事ばっかり書かれてて…。
なんだかイラっと来たのよね…。」
「…。」
「でも、拗ねては居たけど、このまま日記を
終わらせたくないなぁ…って。」
「うん…。僕もそうだった…。」
「…今思うとなんであんな事、書いたんだろうって…。」
リノンは思い出すように、遠くを見ている。
「…でも、返事で『好き』って書いてもらったとき、
とっても嬉しかったの。」
「…。」
「人生初の告白をもらったからかもね。
私、あの後しばらく浮かれちゃってさ…。」
「うん、日記の内容を思い出すよ。」
二人で笑う。
そう、リノンは僕の告白の後、ほとんど異世界の話しを
してくれなかったんだ。
僕が異世界の事を聞いても、スルーされてたなぁ…。
「確かにあのことが無かったら、
私たち今頃どうなってたのかな…。」
リノンは、しみじみと言う。
「…シルビィに感謝しなきゃ…ね♪」
リノンは微笑んで僕に言った。