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異世界で交換日記してた元女勇者レベル99が、リアルで彼女になりました。 作者:SchwarzeKatze

水族館に行こう!

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水族館でシーフード

僕たちは水族館内のフードコートに来ていた。

フードコートは本館から出てすぐの所にある。


「リノン、食べたいものある?」

「フィッシュ…って、お魚?」

「うん、そうだよ。」

「じゃあ、フィッシュってついてるの食べたい!」


リノンはメニューから、フィッシュバーガーと

フィッシュアンドチップスを指さした。


「わかったよ。

じゃあ、僕はこれにしようかな?」


僕はたこ焼きを選ぶ。

…水族館なのに、海産物を頼む二人…。


「タコってな~に?」

「えっと…オクトパスとかっていったらわかる?」

「あぁ、モンスターでいたよ?

足が長くて吸盤いっぱいなの。」

「それと同じものだよ?」

「…私は食べようとは思ったことないな…。」


なんとなく。

モンスターから派生させると、通じるような気がしてきた。

まぁ、モンスターを食べようとは思わないだろうけど…。

僕はリノンに席の確保をお願いして、注文を取りに行く。


ふと、去年の光景を思い出す。

去年は僕一人っきり。

顔も知らない相手のために、僕は話しのネタのために、

宿をとってここに来た。

まだ、恋愛とか始まりの頃だろうか?


「そういえばシルビィの事で、もめたんだっけ…。」


思い起こせば、シルビィが居なければ、

僕が告白を迫られるようなことは、無かったはずだった。

なし崩しではあったけど、「好き」って文字を書くのに

どれだけためらったことか…。


「お待たせ。」


僕は店から買ってきたものをリノンの前に並べる。


「ユウスケ、何かいいことあったの?」


僕の表情を読み取り、リノンが聞く。


「いや、去年の夏にここに来た時の事を思い出してて…。」

「へぇ~、どんなこと思い出してたの?」

「その時の日記の事。」


僕は、さっき思ったことをリノンに打ち明ける。


「僕がリノンに告白した時だったよ。」

「…。」


リノンもその時の事を思い出したのか、頬を赤らめる。


「怒らないで聞いてね。

その…僕はシルビィが居なかったら、

告白しなかったと思うんだ…。」


リノンは黙り込む。

僕は続けて思いを語る。


「なんかその…。

今の僕たちがあるのは、シルビィのおかげなのかな…って。」

「…キューピット?」

「…僕は恥ずかしくて言えなかったのに…。」


二人で顔を赤らめながら、くすくすと笑う。


「さっ、冷めないうちに食べましょ♪」


そういうと、リノンはフィッシュバーガーを口にする。


「うん、おいしい♪」


一緒に買ったジュースを飲みながら。


「…ユウスケの、その丸いの、なんだか可愛い…。」

「食べてみる?

あとで食べたもの紹介するけど?」

「…なんとなく怖い気もするけど…食べてみる!」


そういうと、リノンはたこ焼きを一つ、ほおばる。


「はっつい!!!」

「気を付けて!」

「でも、おいしい!」


リノンは微笑む。


「タコ、紹介しても、吐かないでね…。」

「大丈夫!

向こうの世界で何匹も倒してるから♪」


…正直、大丈夫じゃないような気もしなくもない…。


「日記の事に話し戻すけど…。

今思うと、逆告白したような気がして…。」

「まぁ…ね…。」


僕の返事に、リノンは膨れる。


「なんか…シルビィの事ばっかり書かれてて…。

なんだかイラっと来たのよね…。」

「…。」

「でも、拗ねては居たけど、このまま日記を

終わらせたくないなぁ…って。」

「うん…。僕もそうだった…。」

「…今思うとなんであんな事、書いたんだろうって…。」


リノンは思い出すように、遠くを見ている。


「…でも、返事で『好き』って書いてもらったとき、

とっても嬉しかったの。」

「…。」

「人生初の告白をもらったからかもね。

私、あの後しばらく浮かれちゃってさ…。」

「うん、日記の内容を思い出すよ。」


二人で笑う。

そう、リノンは僕の告白の後、ほとんど異世界の話しを

してくれなかったんだ。

僕が異世界の事を聞いても、スルーされてたなぁ…。


「確かにあのことが無かったら、

私たち今頃どうなってたのかな…。」


リノンは、しみじみと言う。


「…シルビィに感謝しなきゃ…ね♪」


リノンは微笑んで僕に言った。


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