特訓開始!!
リノンの両親
僕は朝食を食べ終わり、図書館に行く準備をしていた。
「なんか、今日のリノンは変だったなぁ…。」
そうつぶやく。
なんだか、遠い目をしていたような?
図書館に行くときにでも、聞いてみよう。
「お待たせ。」
「うん、行こ♪」
リノンに僕から手をつなぐ。
…やっぱりリノンの手は柔らかい…。
この手…絶対に離したくないな…。
いや、離すものか!
リノンがたとえ嫌がっても…。
「どうしたの?」
「いや、何でもないよ。」
…僕が思い詰めて、どうするのさ…。
リノンの事、聞かなきゃ…。
「リノンは朝様子が変だったけど…。」
「ううん。私は平気だよ?」
…う~ん…話してくれなさそう…。
思い当たることと言えば…。
「リノンは昨日、いきなり家の子になっちゃったけど…。
なんか気になることある?」
「いや、全然!
むしろ、こっちでも両親が出来て嬉しいよ!」
ん…。
『でも』かぁ…。
「…ひょっとして、向こうの両親の事、思い出してた?」
「え!?」
図星…かな?
「リノンは…向こうの両親については、どう思ってるの?」
「それは…。」
リノンは考え込む。
そして、ぽつりぽつりと話し出す。
「そうね…。
今日はそのことを考えてたんだ…。」
やっぱりそうか…。
「こっちの子になっちゃったから…。
本当は両親に伝えたいなぁ…って…。
ユウスケの事も紹介したいなって…。」
「うん…日記はダメなの?」
「いいと思うけど、寂しくなりそうだから…。」
「そうか…。」
「うん、私ね、こっちに来る時、両親と約束したの。」
そういえば、リノンはこっちに来る前に、挨拶回りしたって
言ってたなぁ…。
その時に約束したのかな?
「全力で幸せになってこいって…。
そういう約束をしてきたの…。」
…そうかぁ…。
じゃぁ…。
「今は幸せ?」
「今日は小さな幸せをたくさん見つけたところだよ♪」
なら、良かった!
…でも、それだけでは足りないな…。
「僕も…リノンを幸せにする。」
「うん…。」
ん?
どことなく、リノンの手が温かいや…。
僕、変なこと言ったっけ?
とりあえず、エンカウント無しで図書館に着いた。
昨日と同じく、勉強スペースを借りて、リノンと向かう。
「勉強順調に進んでる?」
「うん!
だてに勇者レベル99やってないから♪」
…僕もレベル99になりたいって、激しく思った。
でも、その分リノンは努力してるんだとも思う。
昨日、僕もレベル99の凄さを、思い知ったところだ。
「リノンは努力家だね…。」
「ううん。好きでやったことだし♪」
いや…さらりとそれをやってのけたんだから、
凄いことだと思うよ…。
そして、僕たちは勉強を始めた。