問題です、このなかに主人公が一人います
光の力を使えば平凡な自分でも主人公になれるのでは、という仮説を立てた。「昔から主人公気質だった編」と「主人公も楽じゃない編」の2章でお送りします。
埼玉生まれ、神奈川育ち、東京在住。会社員。好きなキリンはアミメキリンです。右足ばかり靴のかかとがすり減ります。
前の記事:「シュウマイランプ、横浜へ行く」 人気記事:「“トマトソースとマスタードが一度に出せるあれ”の工場見学」 > 個人サイト のばなし 昔から主人公気質だった編思えば幼少期から主人公だった。道を歩けば草木が茂り、パンをくわえて走れば転校生とぶつかり、気がつくと常に自分に光が当たっていたように思う。
その日はとにかく雨が強かった。18時半、二子玉川の河川敷。アメダスを睨みながら東屋にて雨雲が通り過ぎるのを待つなか、様子を見やる主人公の筆者にだけ光が差し込む。
偶然、筆者にだけ光が差し込む。左側で何か持っている人物がいるが、ただの棒(以後:LEDライト)だ。今後も彼はずっとLEDライトを持っているが、気にしないでほしい。
友人たちも揃い、雨はどうやら過ぎ去ったようだ。お腹も空いたので夕飯を食べることにした。筆者はおもむろに一冊の本を開く。 本を開くと、まるで禁断の古文書を開いた魔法使いのように辺りが照らされる。
筆者の左側でボヘミアン・ラプソディのように顔だけ浮かび上がっているのがトルーさん(ボヘミアン・ラプソディが思い浮かばない読者は画像検索してほしい)。 右側にいるのは筆者のリアル友人である西新井(仮名)さんだ。 なお、先ほどのLEDライトは本と筆者の間に差し込まれているがまったく気にしなくていい。本がちょうどレフ板の役割を果たしている。 さて、彼らが何を真剣に眺めていたかの答えがこの写真だ。ラーメン大賞2018。そう、男たちはどこのラーメンを食べようか悩んでいたのだ。
しかしそこには反対勢力が一方でそんな彼らを蔑むような目で見ていた人々がいた。
女性陣である。こってりした豚骨醤油の盛り付けに歓声をあげる男性陣に対し、ある者は口を覆い(べつやくさん)、ある者は目を覆った(井口さん)。カロリーが気になるのだと言う。
どんどん登場人物が増えていくがこれ以上は増えないので安心してほしい。 女性陣には様々なポーズで蔑んでもらった。意見は真っ二つに分かれ、一触即発の雰囲気である。
ちなみに今回、主人公になるに際して「レンブラント」「バロック 絵画」などで画像検索してシチュエーションやポーズの参考にした。もっとも不純な絵画の検索者だと思う。 と、ここで主人公である筆者の説得が始まる。いかに豚骨醤油が素晴らしいものであるか。麺とスープの調和。豚骨と醤油の融合。他の者たちはまるで森の動物たちのように耳を傾け始める。
筆者が光を反射しやすい白い服装、友人たちが暗い服装をしているのも偶然である。 友人たちは立ったり座ったりしながら筆者の説得を聞いた。ポーズに試行錯誤していたわけではない。
筆者の言葉を聞いた人々の心はひとつになる。決定だ。さあ友よ、晩餐といこうじゃないか。が、しかし、5人が歩み出したそのとき不測の事態が起こった。 筆者の靴ひもがほどけたのだ。 さぁいよいよ難解になってきた写真だ。
靴ひもを結ぶのであれば筆者は下を向くべきであるが、そうすると表情がわからない。そのために前を向いたら今度はコンセプト自体がわからなくなった。前向きなメッセージは伝わると思う。肩に手を置くトルーさんに対し、西新井さんは多分最終的に筆者を裏切る表情をしている。 下を向くとこのように顔が隠れる。このあたりからべつやくさんはビデオカメラを回し始めていた。
ラーメンを食べ終えた我々に待ち受ける試練さて一同は無事ラーメンを食べ終える。店内の写真はない。
たらふく食べた男性陣3人はお手洗いへ向かうことにした。 そんな我々を悲劇が襲う。トイレが、混んでいたのだ。
このようなピンチの瞬間でも筆者には光が当たる。お腹を押さえているが主人公なので大丈夫だ。調子に乗って無料のごはんを大盛りにしてしまったのが良くなかったのだろうか。 さて、ラーメンを食べ終えた我々は二次会を行うことにした。友人の一人であるべつやくさんは明日の予定もあった為ここで離脱。引き続き筆者の周りでビデオカメラを回してニヤニヤしているが、離脱といったら離脱だ。 少し奥まった道である、一同はタクシーを拾うこととした。 手を高く掲げ、タクシーを待つ筆者。友人たちは祈るように見つめている。
タクシーを拾う以外ここに交通手段はない。後ろに二子玉川駅と思わしき建物が見えるが、すべては幻なのだ。 しかし何せ車の通りが少ない道だ。なかなかタクシーは捕まらない。ある者は筆者にすがりつき、ある者は強く拳を握る。ある者は、もう絶対タクシーを捕まえる上で邪魔でしょう、という位置で祈りを捧げている。
だが無情にもタクシーを拾うことはできなかった。筆者の主人公力もここまでか?落胆の中、暗闇に浮かぶ自動販売機に吸い寄せられる。 当たり付きの自動販売機だった。 筆者はそっと懐から取り出したコインを入れ、ボタンを押す。自然と友人たちは祈りを捧げていた。
電光のルーレットはまわる。7…7…7……7!強い光ととともに7が揃い、ガタガタッと缶の落ちる音がした。その音はなかなか止まず、顔を見合わせる我々。 筆者が拾い上げるとそこに現れたのは人数分のストロングゼロだった。 我々は結局ここで宴をひらくこととした。ストロングゼロと同時にチーザも落ちてきたのでそれをつまみに乾杯をする。
今日もいろいろあった。まさかの豪雨にはじまり、ラーメン間の対立。拾えないタクシー、そして自動販売機の奇跡だ。気を良くし宴を進めると、やがて奇跡に力を使い果たした筆者は酔いつぶれてしまった。 ここからの記憶はないのだがどうやら友人たちが介抱してくれたようだった。目の覚めた時には自宅の布団に包まれていた。やれやれ、筆者は一息つくと侘びの連絡を方々へ送るのだった。
主人公も楽じゃない編光れば主人公になれるのではないか。
きっかけは先日行われた『江ノ島茂道凱旋ライブ』。当サイトライター江ノ島さんの単独イベントだ。 筆者は本人から「おれを褒めるプレゼンをしてくれ」という無茶振りを受け、『江ノ島さんのフォトジェニック性』についてを話した。 そのなかにこんな1枚があった。 ラブレターをもらいすぎて光る江ノ島(『自分で書いたラブレターを清書してもらう』より)
光っているのだ。彼くらいフォトジェニックだと光る。もはや内側から発光しているようにさえ見える。一方筆者はというと特に特徴もない地味なメガネである。うらやましい、たまには自分にもスポットライトを…
む、スポットライト? とまあこういった経緯を経てたどり着いたのが、自分だけに光を当てれば主人公になれるのではないか、という仮説である。次ページで撮影の裏側と多少のコツをお伝えしたい。
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