「仮想通貨は税金が高い」「仮想通貨に税金対策はない」「仮想通貨の税率は最高55%」等という話は多いいため、仮想通貨の税金はどうしようもないのかと思いがちですが、果たしてそうでしょうか。私はそうではないと考えます。
仮想通貨のみを考えると確かにこれらの意見になってしまいますが、個人の所得は10種類あります。木を見て森を見ずになってしまわないようにしましょう。
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仮想通貨は雑所得
仮想通貨の利益が発生するタイミングは様々です。
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その取引は課税?日常生活で仮想通貨が発生するタイミング
2017年に仮想通貨で収入が1億円以上あったと申告した人が331人と国税庁が発表しました。株やFX等の投資で資産が1億円を超えた「億り人」が仮想通貨で331人はいるという事です。 「仮想通貨の税金は高 ...
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ビットコイン等の仮想通貨を使用した事等により生じる所得は原則、雑所得となります。仮想通貨の課税関係については国税庁のタックスアンサーで公表されています。国税庁:No.1524 ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係
原則は雑所得に区分されるという事は、例外があります。国税庁の仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)に例外について記載されています。
6 仮想通貨に関する所得の所得区分
問 タックスアンサーによると、ビットコインを使用することにより生じる損益(日本円又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、原則として、雑所得に区分されるとされていますが、雑所得以外に区分される場合には、どのような場合がありますか。
答 ビットコインをはじめとする仮想通貨を使用することによる損益は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されることとしていますが、例えば、事業所得者が、事業用資産としてビットコインを保有し、決済手段として使用している場合、その使用により生じた損益については、事業に付随して生じた所得と考えられますので、その所得区分は事業所得となります。
このほか、例えば、その収入によって生計を立てていることが客観的に明らかであるなど、その仮想通貨取引が事業として行われていると認められる場合にも、その所得区分は事業所得となります。
噛み砕いて言うと、「仮想通貨の取引は基本的には雑所得だが、個人事業者(事業所得)が事業用で仮想通貨で支払いをした場合の仮想通貨に対する所得は事業所得、仮想通貨を事業としてる場合は事業所得」と言った意味です。雑所得と事業所得は計算方法等も違ってきます。
仮想通貨に関する所得は事業所得となる事もありますが、実際はほとんどの人が雑所得になるでしょう。
雑所得は20万円以下の場合申告をしなくても大丈夫なのか?
「雑所得は20万円以下の場合申告不要」と聞いた事はありませんか?これはサラリーマン等給与所得のみで本来確定申告が不要な人が、給与所得以外に20万円以下の雑所得が発生した場合、確定申告が不要になります。確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要です。
仮想通貨で所得が発生する場合は、申告漏れがないようにしましょう。「申告をしなくてもバレない」と思っていませんか?国税の電商チームは仮想通貨やフリマアプリ取引等の電子商取引の情報収集をしています。
雑所得は総合課税で最高税率45%
雑所得は事業、不動産、給与所得等と合算して税金が計算され、総合課税の最高税率は45%です。
住民税を所得の10%とした場合、仮想通貨の最高税率は復興特別所得税を含むと55.945%になります。
仮想通貨と似たような取引のFXや株式投資は分離課税で所得税15.315%(復興特別所得税含む)+住民税5%の合計20.315%です。分離課税は所得金額の多い少ないに関係なく20.315%の税金が発生します。
雑所得は総合課税で最低税率5%
「仮想通貨は儲ける」という事が先行して、「雑所得は総合課税なので税率が高い」と思いがちですが、最低税率は5.105%(復興特別所得税含む)+住民税10%の合計15.105%です。
仮想通貨で1,000,000円の利益(所得)を稼いだ場合の税金を計算してみます。
国税 | 住民税 | 合計 | |
総合課税(15.105%) | 51,050円 | 100,000円 | 151,050円 |
分離課税(20.315%) | 153,150円 | 50,000円 | 203,150円 |
*税金の端数は100円未満を切り捨てしていません
総合課税で最低税率の場合、分離課税で計算した税金よりも総合課税の方が税金が少なくなります。この結果を見ると仮想通貨が雑所得の方が、分離課税よりも税金が少なくなる人がいるでしょう。
給与所得と仮想通貨の雑所得を合計すると税金はどうなるか
仮想通貨のみの所得の場合は、先程の所得税の早見表より、所得税の税率が何%くらいかわかりますが、働きながら副業として仮想通貨をしている方はいます。
気になるのは、「給与所得と仮想通貨の雑所得を合計すると税金がどうなるか?」ではないでしょうか。実際に計算をしてみたいのですが、問題は仮想通貨の所得をどのくらいにするかです。給与所得は平均年収を基にできますが、仮想通貨は難しいのでこちらの資料を基にします。
出典:「仮想通貨交換業等に対する研究会」(第1回)資料3(金融庁)
この資料によると全体の約95%が1,000,000円未満の預かりとなっているので、仮想通貨の所得を仮想通貨の購入価額を無視して1,000,000円にしてみます。
例題
給与 4,200,000万円
社会保険料 630,000円
所得控除 基礎控除380,000円、社会保険料控除
仮想通貨の所得 1,000,000円
国税 | 住民税 | 合計 | |
総合課税 | 187,353円 | 286,000円 | 473,353円 |
総合課税(給与所得のみ) | 92,400円 | 186,000円 | 278,400円 |
分離課税(仮想通貨のみ) | 153,150円 | 50,000円 | 203,150円 |
分離課税の場合の合計 | 245,550円 | 236,000円 | 481,550円 |
*税金の端数は100円未満を切り捨てしていません
実際に計算をしてみると以上のような結果となり、総合課税の方が分離課税よりも税金が少なくなりました。
総合課税と分離課税で近い税率になるのに、税金に差額がでたのは控除額です。
分離課税の国税は所得に対して15.315%の税金が発生します。しかし、総合課税の場合は所得の金額によって控除額があります。先程の所得税の速算表で確認ができますが、控除額があるため、税率が10%となっていても控除額があるため、実質的には10%よりも低くなります。
なぜ仮想通貨は税金対策が難しいのか
仮想通貨の取引を考えた時に経費になりそうなものって実はあまりありません。この事でほとんどの所得が課税所得となって、税金が発生します。
仮想通貨の経費になりそうなもの
・電気代
・通信料
・仮想通貨の情報収集のための雑誌
・仮想通貨取引所への入出金時の手数料
・仮想通貨取引所で発生する手数料
・仮想通貨セミナーの参加費用、旅費
・パソコンの購入費用
所得控除を使った税金対策
仮想通貨は雑所得となるため、所得控除を増やして税金対策をする事ができます。所得控除は社会保険料控除、生命保険料控除、基礎控除等、合計で14種類あります。
所得控除の中でもよく聞く所得控除をピックアップしてみます。
ふるさと納税
まずは、ふるさと納税です。
ふるさと納税は所得控除の中では寄附金控除になります。寄附金控除は寄付をした合計額から2,000円を差し引いた分が所得控除になります。ふるさと納税は自己負担2,000円で特産品が貰う事が出来ます。
特産品が貰え所得控除にもなるので、気軽にやりやすいです。
個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」
次はイデコです。
イデコの正式名称は個人型確定拠出年金で、愛称としてiDeCo(イデコ)と呼ばれています。そんなイデコは所得控除の中では社会保険料控除になります。
イデコの掛け金は全額社会保険料控除となります。
イデコは老後に備える年金なので、途中解約をしたくても途中解約をする事が出来ません。今年だけの所得控除として考えている場合はオススメ出来ません。
イデコの最低掛け金は毎月5,000円以上となっているため、無理のない金額にしましょう。
もっと詳しく
・自分で作る年金制度
・掛け金は全額社会保険料控除
生命保険
所得控除の最後は生命保険です。
「生命保険はすでに加入していて生命保険料控除を受けている」という方もいると思いますが、生命保険料控除となる生命保険はは3種類に区分されています。
一般生命保険料
介護医療保険料
個人年金保険料
生命保険料控除は合計で最大120,000円が上限です。生命保険料控除の中で一番多いいのは一般生命保険料ではないでしょうか。一般生命保険料だけであれば、生命保険料控除は新制度は最大40,000円、旧制度は最大50,000円です。
一般生命保険料のみの方はこの機会に介護医療保険料、個人年金保険料を検討してみませんか。
仮想通貨の雑所得と不動産所得
ここまでで所得控除を使った税金対策をみてきましたが、億り人からしたら、そんなに税金対策にはなりません。仮想通貨、雑所得だけをみると税金対策が難しく感じるので、視野を広げてみます。
個人の所得は10種類あり、不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得の損失は損益通算が出来ます。
もっと詳しく
一定の所得の計算上損失が生じていた場合、他の所得からその損失金額を差し引く事ができる制度
つまり、不動産所得の損失を、仮想通貨の雑所得と相殺する事が出来ます。
不動産を購入した場合、「不動産取得税」「登録免許税」「登記費用」等の初期費用がかかり、初年度の不動産所得は損失がでる場合が多くなります。
これを利用しない手はありません。
仮想通貨の投資で得た利益は売買差益で得た利益である「キャピタルゲイン」です。毎年、キャピタルゲインを得る事は簡単ではありません。今後は仮想通貨の投資を考えていない方だっているはずです。
そうなると仮想通貨で得たキャピタルゲインを使って減る事はあっても増える事はありません。
しかし、不動産所得は初期投資が発生しますが、不動産を所有する事で安定した現金を継続的に受け取る事のできる「インカムゲイン」になります。
仮想通貨で得たキャピタルゲインをインカムゲインにする事が出来れば、さらに資産を増やす事ができます。良い物件や情報は中々巡り会う事が出来ません。情報収集が大事になってきます。
仮想通貨の雑所得とアフィリエイトの雑所得
毎月安定した収入は欲しいが、「不動産はちょっと手が出せない」という方はアフィリエイトがあります。すでに収入が発生しているサイトやブログを買う事が出来ます。価格相場は毎月の収入の2年分(24ヶ月分)が今の相場です。数年前に比べて徐々に相場が上昇しており、副業をする人が増えているので、今後も相場が上昇するでしょう。
すでにブログやサイトを運営している方は、複数サイトを運営する事によりリスク分散にもなるし、相乗効果も見込めます。
しかし、ブログ初心者であれば、知識が必要になってくるの、不動産投資に比べて知識面で難易度が上がります。
「仮想通貨の税金対策と関係がないのでは?」と思うかもしれませんが、実は関係があります。アフィリエイトは一般的には雑所得です。雑所得は他の所得と損益通算をする事は出来ませんが、雑所得の損失は雑所得の所得と相殺をする事が出来ます。
サイトの購入費用は減価償却費等の経費となるため、損失が出れば、仮想通貨の所得と相殺がされ税金対策になります。
売却されているブログやサイトの中には、ほぼ何もしなくても安定した収入が見込めるものもあるので、ブログ初心者の方は諦める必要はありません。
まとめ
仮想通貨の税金対策は、個人の所得として考えた時に所得控除以外にもあります。今回の税金対策は、仮想通貨が雑所得である今です。今後仮想通貨の所得が分離課税となった時には、使えません。
最高税率だけをみると分離課税がよく感じますが、雑所得であるメリットもあります。税制はいつかわる変わるかわかりません。このまま変わらない事もありえます。
アフィリエイトはリスク分散にオススメです。震災や災害が起こると収入がなくなってしまう事だってあります。そんな時に働く場所を選ばない、ネット上の資産があれば一定の収入を確保する事が出来ます。
1つの収入に頼るよりも、複数の収入源を確保しリスク分散、収益アップを確保しましょう。
法人成りについては今後記事を随時更新していきます。