「発達障害者は仕事弱者だけでなく恋愛弱者でもある」
そう語るのは、『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』著者の借金玉さんだ。
しかし彼は、恋愛工学を実践するなど数々のトライ&エラーを経て、このたび結婚することになったという。
一方、『モテたいわけではないのだが』の著者・トイアンナさんも、結婚・離婚経験がある恋愛相談のプロフェッショナル。
そこでお二人に、弱者が恋愛や結婚で幸せになるためにはどうすればいいのか、その方法を探っていただいた。
借金玉(しゃっきんだま)
1985年生まれ。診断はADHD(注意欠如・多動症)の発達障害者。幼少期から社会適応が全くできず、登校拒否落第寸前などを繰り返しつつギリギリ高校までは卒業。色々ありながらも早稲田大学を卒業した後、何かの間違いでとてもきちんとした金融機関に就職。全く仕事ができず逃走の後、一発逆転を狙って起業。一時は調子に乗るも昇った角度で落ちる大失敗。その後は1年かけて「うつの底」から這い出し、現在は営業マンとして働く。ブログ「発達障害就労日誌」
トイアンナ
ライター。慶應義塾大学法学部を卒業後、外資系企業にてマーケティングを約4年担当。業務や自身の活動からヒアリングを重ね、現在は独立。800名を超える相談実績から独自の恋愛・婚活分析論を展開。男女のキャリア・生き方を考えるブログ「トイアンナのぐだぐだ」は月間50万PVを記録。著書に『モテたいわけではないのだが ガツガツしない男子のための恋愛入門』(イースト・プレス)、『恋愛障害 どうして「普通」に愛されないのか?』(光文社新書)。ブログ「トイアンナのグダグダ」
トイアンナ 発達障害のグレーゾーンにいる私自身が感じていることでもありますが、ある一定ルールに従えばナンパが成功するという「恋愛工学」は、弱者が社会で生きていくためのノウハウと親和性が高いですよね。
借金玉 ぶっちゃけ、恋愛工学の技術論と、僕が書いた書籍『すごい仕事術』のライフハックの技術論は地続きに見えます。恋愛をフィクションとみなして、どうすればそのフィクションの世界に効率的に入っていけるか追求しているという意味で、恋愛工学は社会全般で実用性があると思います。
トイアンナ すべて明文化されないと恋愛ゲームを攻略できない弱者にとって、恋愛工学は大きな救いですよね。
借金玉 人の“お気持ち”を非言語的に読んで、場の空気を支配する強さがない人にとっては、恋愛って酷なゲームですから。ナンパって、コミュニティに関係なく1対1の関係に持ち込めるので、技術論が入りやすいんです。学校や会社組織の中で強者になれる人間は恋愛強者になりやすいですけど、集団で弱者の人は恋愛でも弱者になりがちなので。
だから弱者は、まずひとつのコミュニティに支配されないように、複数のコミュニティに所属して居心地がいいところを探したほうがいいです。あるいはまったく社会的じゃないキャラになって、ニッチなところで100点を狙う方法もありますけど。
トイアンナ ニッチトップになるということですね。それでもし誰かと出会えたとしても、そのあと漠然とした“お気持ち”で関係が進んでいく恋愛は、弱者にとってはやはり厳しい。「“気持ち”って何?」という話になりますから。
借金玉 僕はもともと恋愛コンプレックスが非常に強かったので、なんとかしたくて恋愛工学のようなことをやっていたんです。回数を増やし、思考法を変え、アプローチを変えながらレベルアップして必勝法を身につける、みたいなことを。
でもこれは自分に合った人を引き寄せる方法で、そこから先へいけるわけではないんですよね。コンプレックスを解消して自己満足したい人向けの必勝法なんです。なぜなら恋愛のゴールって人によって違いますから。性交渉を得ることが目的なら最適解はあるんですけど。
トイアンナ だから恋愛工学って、セックスの数がゴールになっているんですよね。私が、恋愛工学そのものは有用だと思いながらも批判しているのは、信者の人が、「これで女に復讐できる」というようなことを言っている点です。
借金玉 テクニカルに女性を口説いて性交渉を得て、それによって女性を見下す人たちですね。傲慢なキャラクターがモテるパターンです。