民族的マイノリティに属すること理由とする不当な懲戒請求で、名誉を傷つけられたなどとして、東京弁護士会に所属する弁護士2人が7月12日、複数の懲戒請求者を相手取り、東京簡易裁判所と静岡簡易裁判所に損害賠償をもとめる訴えを起こしました。原告の1人、金竜介弁護士と代理人が同日、都内で会見して明らかにした。被告は数十人規模になるようです。

 原告の弁護士によると、17年11月から12月にかけて、朝鮮学校補助金問題に関連して、約950人から、原告2人を含む東京弁護士会に所属する18人の弁護士に対して、懲戒請求があった。そのうち10人は、会長・副会長などの役職だったが、残り8人は名前から在日コリアンと推認されるだけで、業務上のつながりもない人だったといいます。

 金弁護士は会見で「弁護士の業務としてこういうことをやっている、こういう発言をしている、という理由ではなく、ただ日弁連の名簿から名前で選ばれた」「国籍ないし民族を理由として懲戒請求しており、人種差別にあたる」「得体の知れないおそろしさがあった。ほっておくという選択肢はなかった」と述べました。

金弁護士らに対する懲戒請求の理由には、次のような内容が書かれていたそうです。

 「違法である朝鮮学校への補助金交付の会長声明に賛同、容認、その活動を推進することは、弁護士の確信犯的犯罪行為である。利敵行為としての声明のみならず、直接の対象国である在日朝鮮人で構成されるコリアン弁護士会(原文ママ)との連携も看過できない。この件は、別途外患罪で告発している。あわせてその売国行為の早急な是正と懲戒を求めるものである」

 朝鮮学校への補助金に違法性はありません、確信犯的犯罪行為、いかにもネトウヨの使いそうな変な日本語です、リベラル系の人がこのような日本語を使えば、日本語が変だから在日だと言われますが、ネトウヨが使う分には批判の対象にはなりません、これもネトウヨ特権のひとつです。

 コリアン弁護士会なんてものが存在するはずもないのですが、こういうものを勝手に作ってしまう特権をネトウヨは手に入れています。別途外患罪で告発しているとしていますが、法律の専門家の弁護士に対して、ネットで聞きかじった言葉だけで告発するという大胆さもネトウヨの特権意識の為せる所業であるといえます。

 このような酷い懲戒請求をした人の多くは、長年ネトウヨ活動をやっている中年のニートや非正規雇用層ではなくて、ネトウヨ業界にとっては新参者の定年退職後の高齢層であると聞きます。会社人間でやってきて定年後にネットを本格的にやりだした、そこには世間に対していくつもの特権を持ち、「愛国」を振りかざすだけで上からの対応が出来るネトウヨという地位が落ちていたから、早速なってみたという人たちなのですが、こういう人が増えて来て今やネトウヨはネットの中に留まらず現実社会を動かすような巨大勢力になってきています。

 金弁護士は、人種差別にあたると言い、「これまでも在日コリアンに対するおそろしい表現がネット上にあった。ネットで匿名でやるのではなく、自宅の住所と名前を書いて郵送する。そこまではやらないだろうというタガが外れてしまっている。堂々と人種差別、ヘイトスピーチするようになっている」と指摘しました。

 ネトウヨは常に在日コリアンの通名使用に反対しており、凶悪犯は全員が通名使用の在日コリアンであると認定しています、在日コリアンは本名で仕事や社会生活を営むべきだとしています。

 今回懲戒請求された弁護士は、ネトウヨの要求通りに通名を使うことなく、金竜介という本名で弁護士活動をしています、ネトウヨの希望通りに通名を使っていないのだから文句はないはずなのに、今度は弁護士会の幹部でもなんでもない人に対して、自分たちが使えと要求していた本名を見て、在日コリアンであると見当をつけて名前だけで懲戒請求を仕掛けて来ます。

 通名を使うな本名を在日コリアンは使えとネトウヨは要求しておきながら、要求通りにやっている人に対しては、本名を見て攻撃を仕掛けてくるのです。今の日本は、在日コリアンに対しては、制度的に認められている通名を使えば日本人に成り済ましていると非難して、だったらと本名を使って仕事をすれば、名前だけで攻撃するという、最悪の外国人差別国家になってしまっていることをこの不当な懲戒請求は示しています。

 構造的には、ネトウヨから人民解放軍に救援を頼めと言われたからとして、その通りにすれば敵国の軍隊を引き込む外患誘致だと言われるのと同じことであり、ネトウヨは相手が自分たちの指示に従っても従わなくても非難できるという特権を手に入れているのです。

 
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