【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領は7日、日本との貿易協議について「(新しい)合意に達しなければ日本は大変な問題になると認識している」と述べた。米国が今後の協議で自由貿易協定(FTA)の締結や農業分野の市場開放などを強硬に求める可能性が高まってきた。
遊説先のノースダコタ州に向かう米大統領専用機内で記者団に語った。日米両政府は8月に続いて、貿易協議(FFR)を9月下旬にも開く方向で調整している。トランプ氏は月内の貿易交渉を前に強硬姿勢を示し、日本に貿易赤字の削減に協力するよう迫るねらいとみられる。
トランプ氏は「日本との貿易協議に本腰を入れてこなかった唯一の理由は中国と協議していたことだ」と説明した。オバマ前政権下で日本は米国との貿易交渉に応じなかったと主張し、その理由は「日本は何も報復がないと思っていたからだ」と断じた。今後の日米交渉で進展がなければ、何らかの報復措置をとる可能性を示唆した。
トランプ政権は北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しをめぐりメキシコと合意に至り、カナダとの交渉も大詰めを迎えている。7月下旬に欧州連合(EU)とも貿易協議に入ることが固まり、本格的な交渉に入っていない主要国は日本だけになった。トランプ氏は6日、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルのコラムニストとの電話でも対日貿易赤字の削減に意欲を示していた。
中国についても、トランプ氏は知的財産権侵害などを理由にした制裁関税の第3弾を準備しており「近く発動される可能性がある」と語った。第3弾は家電などの消費財を含む2000億ドル(約22兆円)相当のモノが対象になる。
第3弾の発動後にも「私が望めばさらに2670億ドル(29兆円)相当のモノに関税をすぐに課す用意がある」と指摘した。中国からの輸入品の全てが対象になりうるとの考えを示したものだ。ただ、第3弾の発動は「中国の対応次第だ」とも説明しており、今後の米中協議の結果によっては見送る可能性も残した。
トランプ氏は大統領専用機内での懇談を当初はオフレコとしていたが、中国との貿易戦争の成果を語る際に自身の発言としての報道を突然認めた。懇談も25分間という異例の長さだった。政権に不満を持つ政府高官の内部告発などでトランプ氏の政権運営は不安定さを増している。貿易分野での成果をアピールするために一転して情報発信を認めたようだ。
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