シャルティアが精神支配されたので星に願ったら、うぇぶ版シャルティアになったでござる 作:須達龍也
キリがいいところで終わったので、かなり短いです。
『アインズ様。シャルティア・ブラッドフォールンが反旗を翻しました』
「……はぁ?!」
アインズが一仕事終え、いい気分だった時に突如告げられた<伝言(メッセージ)>は、実に不穏なものだった。
ありえない…と信じられない想いを抱えたままナザリックに帰還し、コンソールで確認したのは黒字で表示された「シャルティア・ブラッドフォールン」の名前であった。
その意味するところは、裏切りか、精神支配を受けたという、どちらも考えづらい状況を示している。
アルベドの姉であるニグレドにシャルティアの居場所を探させ、いざ赴こうという所で冒険者組合から横槍が入った。
で、まあ、なんだかんだで、シャルティアの前へと到着した。
「さぁ、指輪よ。俺は願う!」
指輪に込められた超位魔法<星に願いを(ウィッシュ・アポン・ア・スター)>が発動する。
「シャルティアよ、元に戻れ!」
ここで「シャルティアにかけられた全ての効果を打ち消せ!」と願っていたら、その願いは叶わなかっただろう。超位魔法では世界級(ワールド)アイテムの効果には敵わない。結果的に無駄に終わっていただろう。
アインズの願いが世界級アイテム”傾城傾国(ケイセイケイコク)”の効果に真っ向から立ち向かうものではなかったことが、<星に願いを>の願いがこの場では大きく違う結果をもたらした。
電源が入ったかのように、シャルティアの瞳に意思が宿る。
そして、辺りをうかがうかのようにきょときょとと頭を動かす。
「ふー、元に戻ったか」
安心したようにつぶやいたアインズの声に反応して、シャルティアの顔が、視線が、アインズを捉える。
その瞬間、シャルティアの両目から、だーっと涙が溢れる。
「あ゛い゛ん゛す゛さ゛ま゛」
迷子の子供がやっと親を見つけた様子で、シャルティアがアインズに一目散で駆け寄る。その様に、ビクッとしてしまうアインズをよそに、シャルティアはその胸に飛び込もうとして…
…それを許さない存在が、ここには存在していた。
ガッキィーン!!
邪魔をすると言うよりも、死ねえっとばかりに振り下ろされた”真なる無(ギンヌンガガブ)”を、かろうじてスポイトランスで受け止める。
「このっ、感動的な場面を邪魔するなっ!」
「完全武装の不埒者を、アインズ様に近づけさせるわけないでしょ!」
「ぁあっ!」
「あぁん?」
その、物騒ではあるが、いつもの二人の様子に、アインズは苦笑と共にホッとした。
「精神支配は解けたようだな。安心したぞ、シャルティア」
「…せいしん、しはい?」
そのアインズの言葉に、シャルティアはこてりと頭を傾げた後、再びきょときょとと辺りをうかがった。
「…ここは…いえ、私は一体…」
記憶の混乱が伺えるシャルティアを前に、アインズはさもありなんと言った様子で頷いた。
「いろいろとあったようだ。こちらとしても状況を確認したいが、ここではなんだ。一度ナザリックへと戻るとしよう」
「わかりました。では<異界門(ゲート)>をお繋ぎし…」
シャルティアがそこまで言って、頭を伏せた。
「…<異界門>…<転移門(ゲート)>…あれ?」
「大丈夫か、シャルティア。<転移門>は私が繋ごう」
まだ本調子でなさそうなシャルティアを気遣い、アインズがそう言葉をかけた。
その言葉に、シャルティアは片膝をつけて、頭を下げた。
「アインズ様に、大事なご報告があります」
短くてすみません。
次回はもう少し長くしたいと思います。