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zoom RSS 【735】 私の鉄道模型遍歴10: 16番の客車

<<   作成日時 : 2016/10/31 06:00   >>

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16番の客車は貨車のように安価ではなく、その価格は、だいたいエンドウの貨車4両分、又はNゲージのキハ20など関水金属製の旅客車のM車と同等くらいでした。客車の車種も豊富とは言えず、地元でいつも見ているオハやオハフといった普段着の客車が市場には極端に少なかったので、思うような形式が集まりませんでした。
最初に導入した客車は、誕生日祝いに父が買ってくれた3等級時代の青帯をまとったスロ51で、メーカー不明(宮沢模型製か?)という代物でした。当時はR450という急カーブのエンドレスしかなかったのですが、これを通過できず、さらに走行中に台車と車輪、車体が接触して、そのたびに電気が短絡してしまい、この車両を連結すると機関車がスムーズに走行しなかったこともあって、最初のうちはその対策もわからず、まともに走行させることができませんでした。
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上の画像は私が小学4~5年生ごろに父が撮影したもので、このころ買い集めた16番の車両たちです。スロ51は左から3つ目にいます。手前左端の2両は、中途半端な感じをぬぐえないカツミの「あさかぜスタイル自由形」のナハフとナハニです。

そのころ天賞堂から軽量客車シリーズが出ており、そのなかにナハフ11とナハ11がありました。この2車種は普段着の客車として何としてもほしかったのですが、模型を買えるデパートがある名古屋市内へ行くような機会は年に数回しかありませんでした。それに鉄道模型専門店の存在も知らず、デパートで母が婦人服売場にいるあいだ、そのデパートの鉄道模型売場でショーケースの中を眺めて過ごすだけの小学生では、なかなかお目当ての車種を探し当てることができませんでした。かといって次には名古屋へいつ来られるかわからない状態で、せっかく貯め込んだ全財産を持って来たのに何も買わずに帰るのは悔しく、しかたなく、店頭在庫がある客車を買ってくるといったことを繰り返さざるを得ませんでした。たとえば店頭在庫のオシ17を買って、厨房部分を荷物室に見たて、食堂部分は客室に見立てて、いつも地元で見たオハニの代用にすればいいだろうといったような買い方になってしまうのでした。
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両親が名古屋に出向いたときに、もしあったら買ってくるように頼むなどして、最終的にナハフ11とナハ11を買うことはできました。
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実車の世界ではナハフ11とよく似たナハフ10が、そのころの地元中央西線の普通列車に時折紛れ込んできました。電車の先頭車のように、2枚の固定窓を装備した車掌室側の妻面はとても近代的に見えて、お気に入りでした。すでに実車の外部色は青色になっていたので、模型のほうは茶色しか在庫がなかったので、これだけが残念でした。

この時期、私は小遣いを鉄道模型以外に使うことはほとんどありませんでした。当時、テレビでは円谷プロのウルトラシリーズ全盛でしたが、このころから私はもう夢のない所帯じみた子供で、現実を好み、空想の世界には興味を示すことがありませんでした。たぶんそのころの子供は、スピードを競うレーシングカー、野球ゲーム、キャラクターものの玩具やプラモが流行したと思いますから、そういう方向や買い食いなど外での飲食に小遣いを使っていたのだと思いますが、私は小遣いが貯まるたびに集中的に16番の鉄道模型ばかりを1両ずつ買い集め、中学生時代には軽量客車シリーズではナロハネ10、オロネ10、ナロ10、ナハネフ11、オユ12が集まりました。こういう変な子に、母は服飾に例えて、流行のないものは高くても長く着られるから、一時の流行に左右されない買い物は良いことと評価してくれて、そういうお金の使い方を推奨してくれていました。
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地元で見るオハ35やオハ61の一党は当時16番製品にはなかったように思いますが、中学生になってから、それに似ているカワイモデルのスハ43を1両買いました。急行「彩雲」「ちくま」で見る車両でしたし、オハ61にも外観が似ていましたので、地元で見られる車両ということで満足していました。
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ややリアル感には欠けましたが、手作り感が漂い床板は木製。塗装は丈夫で、今思うといい味を出していたと思います。
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カワイモデルのカタログを見ると、客車だけでなく電車のバリエーションが豊富でしたが、中学生には高価でしたので、同社の編成モノを入手するには至らず、カワイ製の車両はこれ1両しか入手できませんでした。鮮やかな黄緑色に蒸機の動輪を配した箱や貼られたラベルにインパクトがあり、上品な天賞堂の銀箱とは対照的でした。
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さらにそのあと、天賞堂からスハ43系が発売されました。これは軽量客車シリーズよりリアルで、かなり高価になっていましたが、スハフ42とスハ43の2両を導入しました。
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もうこのころは、中学生でしたから、模型との付き合い方が変化して、走行させることはほとんどしなくなりましたが、この2両は主にケース内に後日紹介する予定の蒸機と連結した状態でディスプレーして、長年にわたって目を楽しませてくれました。私が国鉄を退職して転職し、実家を離れて転居したあとも、実家の玄関に長い間飾ってありました。

国鉄を退職してから、私はNゲージ車両を集めるようになって、その約30年の間に少しずつ国鉄での主要な形式の客車が製品化され、今日のような豊富な車種のラインアップが形づくられました。小学生時代に16番の客車に対して抱いていた想いは、私の部屋兼物置のスチール棚の中で、その当時の客車列車の再現がNゲージで可能になったことによって十二分に達成されました。今回ご紹介した客車群は、そこに至るまでの過程で、その役目を十分に果たしてくれましたので、心残りもなく、むしろ感謝の気持ちを持ちながら全部手放しましたので、今では私の元には1両も残っていません。





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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。
子供でいらっしゃったときからカツミ、エンドウはもとより、カワイ、宮澤、天賞堂とはすごいですね。私は前二社しか購入したことが有りません。
母親は私を連れてよくバスで片道40分ほどの繁華街中心部へ買い物に行っていましたから、3軒の百貨店でショーウィンドウを眺めたものです。
私が持っていたカツミの自由型はナハと切妻のナハフで、ナハにはグリーンマークを貼り付けてナロに「改造」、また両車とも片軸絶縁の車輪に交換、枕ばりを取り付けて車内灯も付けましたねえ。枕ばりを購入するとき、ズイフシャ、なんて言って店員さんに、ああ、付随車ね、と返されたのを思い出します。
ここで電源車も欲しくなり、カツミから客車のみ流通していて遅れて販売の車長が合いそうなマヤ24を買おうとすると、実物がカニ24で量産されることになって模型化がさらに遅れ、待てない私はカニ21を買いました。中型ナハと車長、ディテールがまるっきり違い、大人の模型を感じたのも覚えています。
24系電源車がなかなか出回らず、百貨店店員さんの前で思案する女性が居られましたが、私が初めてお見かけした女性テツだったと思います。

NAO
2016/10/31 14:28
NAO様 こんばんは。
3軒の百貨店で小学生の頃に鉄道模型売場のショーウィンドウを眺めたというのは、場所こそ違いますが共通の思い出ですね。
うちの母は午前中に自分の実家に行って、午後はショッピングを楽しんで夕方帰るというコースでした。
そのなかの某デパートの女性店員さん、プロですから当たり前ですが、形式名を言えばちゃんと通じるのがすごいと思いました。その店員さんの名前は今でも覚えています。国鉄に就職した後も常に鉄度模型売場におられましたから、テナント入店でいらっしゃったのでしょう。
NAO様と時代の違いを感じるのは、そのころはまだ国鉄は2等級制でグリーン車ではなかったこと。あさかぜスタイルのナハフが切妻でなく流線形で室内灯標準装備。室内灯入切スイッチも付いていたこと。24系が登場する前でした。
カツミの20系スケールモデルは高嶺の花でした。
しなの7号
2016/10/31 21:01
こんばんは。

私の場合、客車→電車・気動車 に置き換えるとほぼ同じ経過をたどってきました。

完成品だとカツミのクモハ165とか、エンドウのキハ17,18、キハユニ18、キハ30、キットだとロコモデルのペーパー製クモハ60とか、メーカーは忘れましたがクモハ73とかです。もとより小学生にまともにペーパーキットが組めるはずもなく、かなり不器用な出来になってしまい、やはり今は現存していません。

時代が流れ、今は特にNゲージのマイクロエースや鉄コレが本当に様々な種類の車両を出してくれて、自分がかつて模型化してそろえたいと願いながら叶わなかった思いが、次々と叶うようになりました。
はりやん
2016/11/01 02:26
はりやん様 こんにちは。
店頭でいつも見かけるほど量産されたこと。
実車がポピュラーな形式であること。
この2点を満たすのは、挙げていただいた製品たちで、そういう流れで増備されていった方はきっと多いのでしょう。小学生でペーパーキットにチャレンジされたとは度胸がありますね。私の場合はその製品の原型を壊さない。したがって加工もしてはいけないという感覚でしたが、それは中学生になると180°方針転換して、改造や加工、キット組み立てのほうが優先するようになりました。

今のNゲージメーカーさんは、その頃の少年が定年を迎えつつあることを意識して製品開発されていることがよくわかりますね。製品の品質もずいぶん向上して、安心して見られる製品ばかりになったと感じます。
しなの7号
2016/11/01 10:03
 しなの7号様、こんばんは。
私の鉄道模型入門はNゲージで16番ゲージは高価でとても手が出ませんでした。ただ当時は製品が少なく鉄道誌の天賞堂やカツミ、カワイモデル等の広告を見て憧れを募らせたものでした。Nゲージ車両がここまで製品化されるとは思いもしませんでしたが、最近明らかにおっさんをターゲットにしているようでお付き合いが辛くなってきました。もうちょっとペースを落としてと言いたくなります。安価だった鉄コレも値段がどんどん高騰してきたし。品質向上は嬉しいことなのですが、中年オヤジには老眼鏡やルーペが欠かせずしんどくなってきました。
門鉄局
2016/11/01 20:09
門鉄局様 こんばんは。
Nゲージという選択肢ができてからの16番は、明らかに方向性が精密化して、それに伴い高価になり手が出せなくなりました。時代的に1970年代に入ってからではないでしょうか。本文に出てくる天賞堂のスハ43系発売の頃にそれを感じるようになりました。
いろんな意味合いで16番なら可能でNでは不可能が多かったと思いますが、40年もたつと模型界はすっかり塗り変わりましたね。
私がメーカーさんのペースで買い求めた結果は、過去に何度も書いたので省略しますが、国鉄の車種としてはほぼ網羅されたように思うので、この3年ほどはどうしても入手したいと思い買った新製品は数えるほどになりました。
眼の問題がありますので車両工作はできませんが、スチール棚の小レイアウト製作を…と思いつつ、なかなか先へ進みません。
しなの7号
2016/11/01 21:41
しなの7号さん、こんばんは。

私も16番を細々と続けており、小学生の頃に買えたのは、カツミの自由形EB、ED、エンドウの貨車くらいでした。エンドウは「遠藤商店模型製作部」と箱に書いてありましたね。ワフは欲しかったですが入手できず、代わりに実車では見たことのないトムフ1を緩急車としていました。(実際に緩急車ですが)

中3でようやくカツミの塗装済キットのEF65を買えたときはうれしかったですね。2モーターのインサイドギヤなので、モーターの調子を合わせるのに苦労しました。床板止めネジが台車に接触するとショートしました。パワーパックの整流器はセレンでした。

天賞堂のEF65は憧れですが、とても買えなかったです。

そして徐々にNゲージが主流となり、プラ製を生かした彫りの深い表現で、Nゲージの方がむしろ16番より出来が良いとも思え、16番金属製模型は高価なだけで、もうダメかなと思っていましたが、KATOがプラ16番の安価なDD51を出してから、変化したように思います。

現在は旧型客車も何社かプラで出ており、安価で出来も良いですね。
プラ製16番を購入してまず思ったのは、しなの7号さんがおっしゃる、金属製模型でよくあるショートのトラブルの心配が全くなく、安心して走らせられることでした。

車種はNゲージには及びませんが、16番もプラ製なら何とか細々と続けて行けるようになったと思いますが、いかがでしょうか。
TM
2016/11/07 06:17
TM様 こんにちは。
コメントを拝見すると、あのころの鉄道模型少年の進む道や、買える製品、困ったことなどどなたでも同じだなあと思います。この先の車両増備については、シリーズ記事の本文で書いていくことにしていますが、好調に走った2軸車両からボギー客車を導入した時点で、ショート問題が新たに発生しましたね。絶縁されてない金属製ベーカーカプラー同士で連結すると火花を散らして走らなかったり、相談する相手もなくひとり策を練ったものでした。
パワーパックはタップ式の直接式。後になって抵抗制御の無段階式を買いました。シリコン制御のが出始めたころでしたが、そういうものは高価で現実的ではありませんでした。あのころにプラ製大量生産の16番製品が安価で出ていたら、私もそのままNには移行しなかったかもしれませんし、模型界の流れそのものが変わっていたかもしれませんね。
私の現状はNの保管場所さえ確保できず相当数を処分したような経過がありますから16番復帰はありえません(^^;)
むしろ鑑賞に堪える今の製品より、少数だけ残してあるEB電機や貨車に鉄模の原点を感じて、そのテイストを楽しんでいます。
しなの7号
2016/11/07 10:28

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