“日本の宝” アニメ制作を支援する最先端CG技術

早稲田大学 画像情報学 CG 森島繁生(4)

2018年9月8日(土)

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スマートフォンに顔認証が採用されるように、顔はセキュリティに使えるほど「本人性」が高いものだが、情報としての顔についてはどんな研究が行なわれているのだろうか。3DCGによる顔の「再現」からエンタテインメントへの応用まで、CG研究の第一線で活躍を続ける森島繁生先生の研究室に行ってみた!

(文=川端裕人、写真=内海裕之)

 顔のCGの話から、日本のアニメの制作支援へ。

 そういったところにまで、たどり着いた。画像処理に秀でた大学の研究室が、こういうところで存在感を発揮するのは、最初は意外だったが、よくよく考えれば自然なことにも思える。

「アニメは日本の宝。スキルを持つアーティストが感性で描く独自の世界観が、世界中で支持されているんだと思います」という森島繁生さん。

 むしろ、画像の研究とクリエイターの現場が乖離しているとしたら、それは日本独特の現象かもしれない、という意味で。

「ハリウッド映画は、基本的にCGシミュレーションが主流で、ディズニーリサーチやPIXARといった会社は、毎年、数学・物理のスキルをもった博士号取得者をたくさん雇っています。でも日本の場合、コンテンツ産業を支えているのはクリエイターで、彼らの経験とスキルで成り立ってきました。そこで、物理学のバックグラウンドを持った研究者が、アーティストの作風やスキルを定量的に表現し、同様に感動を生む映像を効率的に制作する支援ツールが開発できればと思って、目標の一つにしています」

 日本のコンテンツ制作会社には、博士号を持っているような研究能力のある人材がほぼいない。クリエイターの研ぎ澄まされた感性によって成立している表現が、むしろ、効率化を阻むところがあって、例えばアニメ業界の制作現場の過酷さはよく話題になる。しかし、昨今のCGの技術の発展は凄まじく、クリエイターの感性を活かしたまま効率化できるような支援ツールを森島さんたちは開発したいと願っている。さまざまなものがあるのだが、いくつか紹介してもらった。

 まずは、背景画。

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「“日本の宝” アニメ制作を支援する最先端CG技術」の著者

川端 裕人

川端 裕人(かわばた・ひろと)

文筆家

1964年、兵庫県明石市生まれの千葉育ち。日本テレビの記者を経て作家に。『夏のロケット』が第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞、「SFマガジン」で「青い海の宇宙港」を連載中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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