レコード店とディスクガイド10軒目 ナカ2号店(大阪・日本橋)

WRITER
吉本秀純

新旧の様々な中古レコード店がひしめく日本橋エリアの中でも、日本の歌謡曲/演歌/ニューミュージックなどが充実した品ぞろえの良さで、近年の“和モノ”への関心の高まりとともにDJたちからの信頼も厚いナカ2号店。長年の店舗運営ととともに培ってきた在庫の豊富さとともに、現在に店長を務める末廣さんのディグ能力の高さもまたお店の人気の理由であり、ブログなどを通してまだまだ埋もれた名曲・珍曲などを日々紹介し続けている。国内のみならず海外からも日本の歌謡曲やポップスへの需要が増す中でますます異彩を放つナカ2号店について、末廣さんにお店のことや最近のレコメンド盤をお聞きした。

――レコードショップ・ナカといえば日本橋の中古レコード店の老舗のひとつですが、この2号店はいつ頃に開店した店舗でしたっけ?
ナカ自体、最初は放出(大阪市鶴見区)で始めたみたいですけど、1990年くらいに日本橋に1号店ができて(※現在は閉店)、この2号店がオープンしたのは95年か96年ごろだったと思います。僕はその後に入ったので、オープンした当時のこととかはわからないんですけど。

――品揃え的にはオールジャンルですが、やはり日本の歌謡曲やロックの在庫が強いイメージが昔からあります。
そうですね、街のレコード屋さん的な感じで。レコードの品揃えも似たような感じでずっとやっているので、洋楽のロックなどもありますけど、やっぱり日本の歌謡曲やロックが断然多いですね。特にシングル盤が充実していると思います。


とにかくアイドル、アニメ、特撮などの7インチが豊富。年代別に分けられているところからもその数の多さがうかがえる。

――在庫や買い取りも、やはり邦楽モノが強いですか?
持ち込みの買い取りがほとんどなので、どうしても普通にやっているとそのあたりが多くなるというだけですけど。基本は入ってくるモノを売るという感じなので、昔からそこはお店として変わっていないですね。

――末廣さんは以前からお店のブログ(中古レコ屋のあくび指南~のんびり音を聴きませう)でオススメの入荷商品などを紹介されていて、最近のように“和モノ”がブームになる前から独自のアングルでコアな盤などを取り上げ続けているのが面白いですが。
ブログを始めた頃から内容はあまり変わっていないというか、売るモノが他にないからという感じで始めただけだったんですけど…世間的にちょっと流行ってきたので(笑)。始めた頃には全然流行ってもいなかったし、ホントにたまたまなんですけど、歌謡曲というか日本人のレコード・ブームはこの3~4年くらいで急にすごいことになりましたよね。


年季を感じられる店内。とはいえ、雑然とすることはなく整理整頓されている。店主の末廣さんも気さくで、オススメなどを聞いて見るのも訪れる楽しみになる。

――急速に来ましたよね。末廣さんのブログは、かなり先駆的な内容だったと思いますが。
まぁ、でも、以前はニュー・ディスカバリーみたいなモノも結構ある感じでしたけど。今はもうみんなすごいから、誰かがすでに書いているような状況になっていてビックリします。

――そのあたりの音楽はもともとお好きだったんですか?
そうですね。アレンジが誰かとか、そういう感じの聴き方をしていたので。でも、若い頃はプログレやテクノが好きで、ピンク・フロイドのレコードを20年以上前からコツコツと集めているようなタイプだったんですけど(笑)。店にいてもあまり入ってこなくて聴けないし、日本人のレコードの方が圧倒的に多いので、自然と聴くようになっていた感じですね。

――お店で鍛えられているうちに、独自の“和モノ・ディガー”になっていったというか。
ただ、洋楽のパクリも多いので、それを見つけるために洋楽も聴き続けているみたいなところはありますね。ディスコ歌謡とかなら“あ、ブロンディをパクってるな”みたいなのがたくさんあるじゃないですか(笑)

――ありますね(笑)。いつの時代にもそれぞれに。
そういうのを見つけるために、個人的にはアンテナを張り続けています。


ホームセンターで購入(?)したスチールのネットなどを利用し面出しの棚に。アニメや実写といった昭和世代には懐かしい盤も多数。

――そんなスタンスで膨大な邦楽モノと向き合っているうちに、時流がこっちに来たと(笑)。
でも、少しずついろんな方に紹介していただくようになって、知っていただけるようになったのが大きいですね。特に、小西康陽さんに6~7年前に紹介していただいたのは、かなり大きかったと思います。そこからガラッと変わっていったところはあります。

――でも、そこはお店の品揃えがガラッと変わったわけではなく。
ということですよね、結局。来ていただけるようになったのが大きいと思います。

――探しにくるお客さんの層も、やはり最近は変わりましたか?
この何年かは特に変わりましたね。DJの方々はやっぱりシングル盤を探す方が多いですけど、そうではない普通のお客さんや海外から来られたお客さんも多いので、LPがよく売れますね。

――最近にお店でよく売れるようになってきたモノなどはありますか?
最近は、シティ・ポップというかニュー・ミュージック全般はホントによく売れるようになったのと、あとは80年代の洋楽ですね。ビックリするくらいに売れるようになってきました。

――80年代の洋楽というと、当時にMTVでヒットしたものとか?
そうですね、あの時代の。ヒューマン・リーグとかシーナ・イーストンとか…一時期はホントに売れなかったんですけど(笑)。それはたぶん安全地帯や中島みゆき、杏里などが売れるようになったのと同じような感じで、懐かしいということで買い直す人のターゲットがその世代に移ってきたからなんだろうなと思います。


LPコーナー。帯付きの日本版もあり。入荷情報や営業については、店主のブログをチェック。
http://nakasecond.livedoor.biz

――買い取りで入ってくるものに関しては、最近はどうですか?
買い取りはあまり変わらないですね。そこでLPの中に1曲だけ入っているちょっとヘンな曲を見つけたりするのが仕事かなと思います。もうそこに行くしかないというか。誰もが知っているレア盤とかが入ってくるワケではないので、仕方なく必要に駆られてやっているという感じですけど(笑)

――ちなみに、末廣さんにとっての最近のニュー・ディスカバリーなどは?
有名っちゃ有名ですけど、最近にやっと個人的に買えたのはコレで(と話しながら、スプレンダーズ「はなればなれの唄」のシングル盤を取り出して)音はソウルですね。こういうのを聴いてアレンジの人の名前を覚えて、他の盤をチェックするというのを日々お店で続けています。

次ページ:ナカ2号店のディスクガイドへ

ナカ2号店

ナカ2号店
住所:大阪市浪速区難波中2-6-1壽ビル1F
電話:06-6631-0571
営業時間:11:00~20:00
定休日:奇数週の水曜
URL:http://nakasecond.livedoor.biz

ライター:吉本秀純
撮影:米田真也

世界中のレコードを、その手の中に
  • Google Playでアプリをダウンロード
  • App Storeからアプリをダウンロード

関連記事


新着記事

すべての記事をdig!