米ツイッター、右派サイト創立者の利用永久禁止 罵倒行為で

アレックス・ジョーンズ氏は現在、名誉毀損(きそん)で訴えられている Image copyright Reuters
Image caption アレックス・ジョーンズ氏は現在、名誉毀損(きそん)で訴えられている

米ツイッターは6日、右派的な主張や陰謀論で知られるアレックス・ジョーンズ氏と、同氏のウェブサイト「インフォウォーズ」のアカウントを永久凍結したと発表した。罵倒行為を禁じる同社規約に違反するツイートを、何度も繰り返したためという。

ユーチューブやフェイスブックを含む多くのテクノロジー大手企業が先月、ヘイトスピーチを理由にジョーンズ氏のコンテンツを削除していた。

ラジオ司会者でもあるジョーンズ氏は、2001年9月11日に起きた米同時多発テロ事件などの悲惨な出来事について、根拠のない主張を拡散していることで有名。

ジョーンズ氏は現在、2012年に米コネチカット州で起きたサンディフック小学校銃乱射事件で犠牲となった子供2人の両親に、名誉毀損(きそん)で訴えられている。7歳以下の子供12人と大人6人が犠牲となったこの銃乱射事件を、同氏は「とてつもないでっちあげ」だと繰り返し主張していた。

ツイッターは6日、利用禁止措置について、「対象アカウントによる過去の違反行為に加え、5日に投稿されたツイートと動画が罵倒行為を禁じるツイッターの規約に違反しているという新しい報告」の結果だと説明した。

同社は違反の詳細については明らかにしなかった。

またツイッターは、同社が「個別のアカウントに対し(中略)実施した措置について通常はコメントしない」ものの、「この件について広い関心が寄せられていることから、措置について公開した」と付け加えた(編注:ツイッター社の発表は英語版公式アカウントから和訳)。

ジョーンズ氏は、自分のアカウントに対する不公平な検閲だと、メディア・プラットフォーム各社を非難している。

サンディフック小学校の事件を作り話だと投稿したジョーンズ氏とインフォウォーズについて、ユーチューブ、フェイスブック、アップル、スポティファイの各社はアカウント削除を実行したのに対し、ツイッターは利用禁止にしなかったことで、同社は先月、批判を受けた

削除しなかった理由について、ツイッターのジャック・ドーシー最高経営責任者(CEO)は当時、ジョーンズ氏とインフォウォーズのアカウントは同社のルールに違反していなかったからだと説明していた。ただ、もし両アカウントが違反行為をした場合は、アカウントを凍結すると、ドーシーCEOは明言していた。

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ジョーンズ氏のツイッター発言

ツイッターでフォロワー85万人を抱えたジョーンズ氏の投稿は、インフォウォーズのコンテンツや動画を共有したり、リベラル派やイスラム教徒や移民への陰謀論を宣伝したりするものがほとんどだった。主な発言は以下の通り――。

  • 7月には、民主党が米独立記念日の7月4日に内戦を開始する計画だったと書いた
  • 昨年には、イングランドのイスラム教徒がエリザベス英女王にイスラム教に改宗するか国を出て行けと要求していると投稿。しかし、インフォウォーズ記事が根拠にした米CNNの動画は2009年のもので、過激派宗教家アンジェム・チョウダリー受刑者の組織を取り上げたものだった。同受刑者は2017年の時点ですでに、過激派組織「イスラム国」(IS)への支援を呼びかけた罪で禁錮5年半の刑に服役している
  • 「トランスジェンダー主義」は米中央情報局(CIA)の「人類の減少計画」だと過去に発言。「精神病のノーマライゼーション(患者が健常者と平等に生活する社会の実現を目指す考え方)」は「子供を性的対象とし破壊する、邪悪な小児性愛のたくらみ」とも発言した
  • 2013年、当時のバラク・オバマ大統領を「(テロ組織)アルカイダの世界的指導者」と呼んだ。後に同氏を、ISを武装化した張本人だと非難した
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ツイッターのドーシーCEOとフェイスブックのシェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)は5日、米上院情報委員会の公聴会に出席。将来の選挙における干渉を防ぐためテクノロジー大手はどんな対策をとっているのかとの質問に回答した。

公聴会でドーシー氏は、ツイッターは保守層の声を検閲しているのかとの質問にも答えた。

ドナルド・トランプ米大統領を含む複数の共和党関係者が、ツイッターの偏向を非難しているが、同社は偏向疑惑を否定している。

ドーシー氏はツイッターが「どんな決定にも政治的イデオロギーを使っていない」と述べた。ただ、同社のアルゴリズムが常に「中立」ではなかったことも認めた。

この公聴会にはジョーンズ氏も姿を見せた。ジョーンズ氏は共和党のマルコ・ルビオ上院議員が取材を受けている最中に割り込んで議員とにらみ合いとなり、話題となった。

米CNBCはツイッターに、ルビオ氏のインタビューに割り込むジョーンズ氏の動画を投稿。「『おい、二度と触るな』。マルコ・ルビオ上院議員は質問攻めにあう中、インフォウォーズの陰謀論者アレックス・ジョーンズとにらみ合った」と書いた。

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(英語記事 Twitter bans Alex Jones and Infowars for abusive behaviour

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