1970年代初め、米国へ移民としてやってきたばかりのジャヤンティバイ・パテル氏は、寝る間も惜しんで働いた。昼はサンフランシスコの銀行で、夜は町のさびれた一角にあるビンセントホテルの業務に追われた。このホテルは、パテル氏が米国に移り住んで間もなく購入したものだ。努力は報われ、1980年代にはふたりの息子とともにカリフォルニア州でモーテルやホテルをいくつも経営するようになった。4年前にパテル氏は他界し、現在は孫娘たちが後を引き継いで事業を続けている。
パテル家の成功物語は、米国のモーテル業界で存在感を増すインド系米国人の一例に過ぎない。今や、米国にあるモーテルの約半分をインド系米国人が所有している。その多くは、祖国グジャラート州の勤勉なパテル一族の出身であるため、パテル・モーテル・カルテルなどと呼ばれることもある。移民の両親が経営するモーテルで育った2世や3世の子どもたちは、起業家精神と勤勉の倫理観を培い、親から受け継いだ事業を発展させたり、新規事業を立ち上げたりしている。(参考記事:「白人が少数派になる米国で今、何が起きているか」)
「おじや父のやり方は、とても家庭的な経営スタイルでした」と、ジャヤンティバイ・パテル氏の孫娘であるカトキさんは語る。現在、カトキさんは家族が経営するサンノゼの会社、ロータスマネジメントで財務を担当している。カトキさんの姉プラティマさんは、2006年から会社の会計を一元管理するようになった。おかげで、融資者や投資家は会社の管理する不動産の財政状態を容易に評価できるようになった。
「これをやらなければ、会社を成長させることはできなかったでしょう」と、カトキさんは言う。ファイナンシャルプランナーの資格を持つカトキさんは、会社のために仲介ができるよう不動産業のライセンスも取得した。妹のシタ氏は、新規ホテルの開拓を任されている。会社は現在12の施設を所有し、今年末までに新たに3つを開業予定だ。