日朝首脳会談に動く北朝鮮

制裁解除と日米離間を両にらみする北朝鮮の“手口”

2018年9月7日(金)

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訪米した北朝鮮の金英哲氏(左)。この一行に、金聖恵もいたという(写真:AP/アフロ)

 マイク・ポンペオ米国務長官は5月に訪朝した時、北朝鮮の指導者から「安倍首相に直接繋がり、信用できる人物はいるか」と聞かれた。日朝の複数の関係者によると、同長官は「北村滋 内閣情報官がいる」と推薦した。これが、7月の日朝秘密接触の始まりだった。

 米朝に通じた当局者によると、秘密接触を仲介したのはポンペオ長官だった。日朝両政府は、双方の指導者へのパイプを繋げ、接触を続けている。

 北朝鮮はなぜ、突然、秘密接触を求めたのか。北朝鮮高官によると、金正恩(キム・ジョンウン)委員長は側近に今年春まで「安倍は嫌いだ。拉致は解決済みと言え」と指示していたという。それが、突然態度を変えた。中朝首脳会談で習近平(シー・ジンピン)国家主席が、日本との関係改善を促したのが原因だという。

 日朝秘密接触を試みた北朝鮮の目的は経済制裁の解除・緩和だ。金正恩委員長は、必要なら日朝首脳会談にも応じる意向だ。2002年に日朝首脳会談を実現させた秘密接触も、制裁解除を目的に始まった経緯がある。

金聖恵とはいかなる人物か

 日朝高官による秘密接触は、7月15日にベトナム・ホーチーミン市のホテルで行われた。その後、1カ月半も報道されずに秘密が保たれた。双方は、秘密が漏れないように相当に気を使ったようだ。ホーチーミン市には、日本メディアの特派員はいない。韓国の情報機関の活動も活発でない。日朝接触は、いつも韓国の情報機関に妨害されてきたので、双方は慎重に場所を選んだ。

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「日朝首脳会談に動く北朝鮮」の著者

重村 智計

重村 智計(しげむら・としみつ)

東京通信大学教授 早大名誉教授 韓国同徳女子大客員教授

1945生まれ早大法卒。79年毎日新聞ソウル特派員、89年同ワシントン特派員。この間、韓国高麗大、米スタンフォード大留学。北朝鮮に傾斜する日本の朝鮮問題報道を変えた記者の一人。金芝河釈放、ベン・ジョンソンのドーピングなど多くの特ダネ報道。著書は「日韓友好の罪人たち」(風土デザイン研究所)など多数。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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