関空の玄関口「なんば」南海電鉄が抱く危機感
訪日客に人気だが「なにわ筋線」で素通り懸念
9月4日に本州を直撃した台風21号の影響で関西国際空港(関空)と連絡橋に大きな被害が発生し、南海電気鉄道(南海電鉄)空港線とJR関西空港線は5日15時現在も運休している。被災された方々に心よりお見舞い申し上げ
難波の魅力をどう高めるか
8月のある日、台湾の空の玄関口である桃園空港と台北市内を結ぶ桃園メトロ(桃園捷運・とうえんしょううん)の台北駅では、構内の広告ビジョンに南海電鉄のスポットCMが流れていた。南海線の関西空港駅―難波(なんば)駅間を結ぶ特急「ラピート」の映像とともに、大阪市内や高野山などの沿線の名所が次々と映し出され、桃園空港から関空へ向かう人たちに向けて、南海電鉄の利用をアピールしていた。
ここ数年で、南海電鉄のターミナルである難波駅周辺の商店街や道頓堀では、「粉もん」グルメを楽しんだり、記念撮影に興じたりする訪日客のグループが日常の光景になった。実際、南海線関西空港駅―難波駅間の訪日客の利用は、2017年度末までの過去6年で2倍に拡大したという。
南海電鉄の遠北光彦社長は「目的地としての難波の強化は、当社にとって最も重要なテーマのひとつ」だと強調。「難波はグルメ・観光・ショッピングが揃っているエリア」とその魅力を述べたうえで「これまで以上に夜の治安向上や、トイレやゴミ箱の増設など街の美化を進める必要がある」とさらなる魅力向上へ向けた課題を示す。
現状では「関西空港―大阪(市内)間の南海電鉄とJRの分担割合はほぼ50:50」(遠北社長)と互角。南海線の利用促進に向けては難波駅周辺の魅力向上が不可欠だ。一方、北梅田駅(仮称・JR大阪駅北側)とJR難波駅・南海新今宮駅を結び、梅田方面と関空を直結する新路線「なにわ筋線」が2031年に開業すれば、関空の玄関口としてにぎわう難波駅周辺にも影響がありそうだ。
南海電鉄は難波駅とその周辺の魅力向上へ、どのような取り組みを進めていくのだろうか。