インド最高裁、同性同士の性行為に合法判決
インドの最高裁判所は6日、同性同士の性行為を違法としない判決を下した。
植民地時代から存続する刑法第377条で同性間の性行為は「不自然な違法行為」とされており、2013年にはこれを支持する判決が出ていた。
インドの刑法は、同性同士のセックスを違法とする法律としては世界最古のひとつで、インドはこれまでこの法律の撤廃に消極的だった。
判決が出ると、最高裁前に集っていた活動家たちからは喝采が起き、涙を流す人もいた。
ディパク・ミスラ最高裁長官は判決文で、「性交渉を犯罪化することは不条理で、横暴で、明らかに違憲だ」と述べた。
またインドゥ・マルホトラ判事は、性的少数者(LGBT)を排除してきたことについて「歴史が謝罪する必要がある」と感じていると話した。
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刑法第377条は2009年、デリーの高等裁判所で撤廃判決が出たものの、政治や社会、宗教を代表する団体が復活要望の署名を集めた結果、最高裁が2013年に高裁判決を覆した経緯がある。
インドの大都市では同法の撤廃を求める声が高まっていたが、宗教団体や保守的な農村コミュニティーからは根強い反対の声が挙がっていた。
同法をめぐる司法判断は今回が最後で、覆されることはないため、インドのLGBTコミュニティーにとっては大きな勝利となった。
刑法第377条とは?
157年前の植民地時代に制定された刑法第377条では、一部の性行為を「不自然な違法行為」と規定し、違反者には10年間の禁錮刑が科せられていた。
同法では「あらゆる男性、女性、動物との自然に反する性行為」を禁じている。すべての肛門性交とオーラルセックスを犯罪だとしており、これが同性間の関係に大きく影響していた。
インドの同性愛者やトランスジェンダーのコミュニティーは、この法律の撤廃を求めて長年戦ってきた。
人権保護団体は、警察はこれまで刑法第377条を盾に、LGBTコミュニティーの人々を攻撃し、虐待してきたと話した。
男女平等活動家も、こうした法律が存在すること自体が性差別の証拠だと非難していた。
ただ、今回の判決が長期的にどんな結果をもたらすかは明らかではない。
判事らは刑法第377条の憲法上の有効性について判決を下しただけで、同性婚や同性間の相続に関する権利については言及しないと明言している。
「誰もが愛する権利を持つ」 ――ギータ・パンディー、BBCニュース(デリー)
成人同士の同意にもとづく性行為ならば、実際にはほとんど適用されていなかった。しかし、刑法第377条は確かに、そして時に、ハラスメントの道具になってきた。活動家たちが今回の判決を「個人の自由の新たな夜明け」と呼ぶのも、決して意外ではない。
しかし保守層が多く、全ての宗教指導者らが頑なに同性間の性行為に反対しているインドでは、世間の態度が変わり、LGBTコミュニティーが完全に受け入れられたと思えるようになるまで、まだしばらく時間がかかるだろう。
一方で、法律は常に人々の意識を変える大きな役割を果たしている。LGBTコミュニティーが愛し合う権利を法律が認めたことで、最高裁はもうずいぶん長いこと否定されてきた彼らの尊厳を、ようやく回復させたと言える。