うきよのおはなし~江戸文学紹介ブログ~

江戸文学に少しでも興味を持つ方が増えれば良いなと。

生きてるの?死んでるの?の巻 ~「青頭巾」(『雨月物語』より)その13~

「青頭巾」[『雨月物語』より]の続きだよ!

住職さん生きているのかな???

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※この記事では、霞亭文庫の画像を適宜改変して利用しています
霞亭文庫書誌詳細
※画像はクリックすると拡大します。

翻刻

さまにも人のいきゝ絶(たえ)たると見えて。去年(こぞ)ふミわけし道ぞ
とも思はれず。寺に入て見れば。荻(をぎ)尾花のたけ人よりも
たかく生茂(おひしげ)り。露は時雨めきて降こぼれたるに。三(ミつ)の径(ミち)
さへわからざる中に。堂閣(だうかく)の戸右左(ミぎひだり)に頽(たを)れ。方丈(はうじやう)庫裏(くり)に
縁(めぐ)りたる廊(らう)も。朽目(くちめ)に雨をふくミて苔(こけ)むしぬ。さてかの僧を
座(を)らしめたる簀子(すのこ)のほとりをもとむるに。影のやうなる人の。
僧俗ともわからぬまでに髭髪(ひけかみ)もミだれしに。葎(むぐら)むすぼふれ。
尾花おしなみたるなかに。蚊の鳴(なく)ばかりのほそき音(こゑ)して。物と
も聞えぬやうにまれ/\唱ふるを聞けば
 江月(こうげつ)照(てらし)松風(せうふう)吹(ふく) 永夜(えいや)清宵(せいしやう)何所為(なんのしよゐぞ)
禅師見給ひて。やがて禅杖(ぜんじやう)を拿(とり)なほし。麼生(そもさん)何所為(なんのしよゐ)ぞ
と。一喝(かつ)して他(かれ)が頭(かうべ)を撃(うち)給へば。忽氷(こほり)の朝日にあふがごと

赤字が前回のくずし字クイズの答えです。

【現代語表記】

[いか]さまにも人の行き来絶(たえ)たると見えて、去年(こぞ)踏み分けし道ぞとも思はれず。
寺に入て見れば、荻(おぎ)尾花の丈(たけ)人よりも高く生(お)い茂(しげ)り、露は時雨(しぐれ)めきて降りこぼれたるに、三(みつ)の径(みち)さえ分からざる中に、堂閣(どうかく)の戸、右左(みぎひだり)に頽[倒](たお)れ、方丈(ほうじょう)庫裏(くり)に縁[巡](めぐ)りたる廊(ろう)も、朽目(くちめ)に雨を含みて苔(こけ)生[む]しぬ。
さて、かの僧を座[居](を)らしめたる簀子(すのこ)の辺(ほとり)を求むるに、影のようなる人の、僧俗とも分からぬまでに髭髪(ひげかみ)も乱れしに、葎(むぐら)結ぼおれ、尾花押し並みたる中に、蚊の鳴(な)くばかりの細き音[声](こえ)して、物とも聞こえぬように稀々(まれまれ)唱うるを聞けば、
 江月(こうげつ)照(て)らし、松風(しょうふう)吹(ふ)く
 永夜(えいや)清宵(せいしょう)、何(なん)の所為(しょい)ぞ
禅師見給いて、やがて禅杖(ぜんじょう)を拿[取](と)り直し、
「麼生(そもさん)、何(なん)の所為(しょい)ぞ。」
と、一喝(かつ)して他[彼](かれ)が頭(こうべ)を撃(う)ち給えば、忽(たちま)ち氷(こおり)の朝日に会うがごとく

【さっくり現代語訳】

なるほど、住職から下りず、里人に上らないので、の行き来が途絶えてしまって、去年歩いたがどこだかわかんないような有り様です。

に入ってみると、ススキ人の身長より高くボウボウ生い茂っていて、草木についた時雨のように降り注いで来ました。

三筋の小道どこだかわかんなくなっていて、お堂左右に倒れ、居住スペース台所の回りの廊下も、朽ちた部分を含んでが生(む)していました。

さて、住職を座らせておいた縁側の周辺を捜索してみると、なのか何なのかわからないぐらいヒゲボウボウな、まるでのような人の姿がありました。

雑草がからみついて、ススキが一面に生えた中で、の鳴いているようなか細い声で、何を言っているかわからないくらい途切れ途切れに、何かを唱えているのが聞えました。

 を照らし、が吹く。

 長い、清らかな夕暮れは、何のためにあるのだろうか?

快庵禅師はこれを見て、すぐにバールのようなものを振り上げ、

そもさん![答えてみろ!] 何のためにあるのだろうか!」

一喝して、住職カチ割ると、たちまち、朝日を浴びたかのように

【解説】

「そもさん!」アニメ一休さんとかでおなじみですよね。

禅問答質問する側が最初に言う言葉です。

ちなみに、答える方は、「せっぱ(説破)!」と言いますね。

中途半端な所で次のページに行ってしまっているので、句の意味とかの解説次回にします!

で、次回最終回ですよ!!!

次回予告とくずし字クイズ

住職最後です。。。

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かすれてる所だけ、書いておきますね。
あとはノーヒントで!

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三つ目コーナー

そもさん!

畑を耕す、目が三つあるもの何だ?

答え・幸運の女神(耕運の目が三)

 

 

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