劣悪な処遇に置かれてきた大学講師を“教員”として認め、彼らに対する退職金や健康保険を保証するなど、セーフティネットを強化する内容の「大学講師制度改善」に大学と講師が初めて合意した。
大学と講師代表、教育専門家など12人で構成された「大学講師制度改善協議会」は3日、「高等教育法問題が長期にわたり解決されなかったが、最近5カ月間に18回の議論を重ねた末に、単一案への合意に達した」と明らかにした。「講師法」とも呼ばれる高等教育法改善案の用意に利害当事者が同意を集めただけに、7年余り続いてきた大学講師論議も解決の糸口を見つけることになると見られる。
まず改善案は、教授・副教授・助教のみを“教員”として認めてきた現行制度に、「講師」を追加することにした。「大学時間講師」などと呼んできた名称も「講師」に統一される。教員の地位を得ることになり、既存の教員と同じように刑事処罰や任用契約に違反しない限りは、任意に免職・勧告辞職されなくなる。任用期間も学期単位ではなく、最短1年以上に変わることになる。無念な懲戒処分や、正当な理由なく再採用を拒否されれば、請願審査も請求できる。不安定な身分のせいで「ふろ敷き講師」と呼ばれてきたが、最小限の雇用安定性を保証されることになった。
勤労条件、賃金・福祉処遇もはるかに良くなる。まず週当りの責任講義時間が原則的に6時間以上はできなくなる。学校長が特に必要と認める場合にのみ、最大で9時間まで授業が可能だ。休み期間中に授業をしなくとも、既存教員とおなじく一定水準の賃金を支給し、3カ月以上勤めた講師は職域健康保険を適用する方案も盛り込まれた。学校を辞めた後には、講義期間と関係なく退職金を受け取ることになる。改善案は、さらに大学、政府、講師が共同で基金を出捐し「大学講師退職共済制度」を運営するよう法・制度の準備が必要という意見も出した。
大学講師問題は、2010年に朝鮮大学で時間講師として勤めていたS氏が処遇改善を訴える遺書を残して自ら命を絶ってから本格的に火がついた。翌年国会が改正高等教育法を用意したが、当事者の反発で7年余りの間に4回も施行猶予になり、今年3月に大学と講師側の代表を含む制度改善協議会を中心に単一案合意を模索してきた。協議会は、今回の改善案の内容が反映された高等教育法一部改正案が年内に国会を通過すれば、来年1月から適用されうると見通している。
韓国非正規教授労働組合はこの日、立場文を出して「講師の処遇改善のための初の単一案で、講師のみならず他の非専任教員にも肯定的影響を及ぼす拡大改善案」とし「国会が早急に法改正と予算配分ができるよう追加的努力をするだろう」と明らかにした。