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【芸能・社会】

終わってない人!舘ひろし 「モントリオール世界映画祭」最優秀男優賞

2018年9月5日 紙面から

モントリオール世界映画祭の最優秀男優賞を主演映画「終わった人」で受賞し、記者会見する舘ひろし=東京・銀座の東映本社で(中西祥子撮影)

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 カナダで開催されていた第42回モントリオール世界映画祭で3日(日本時間4日)、授賞式が行われ、「終わった人」(中田秀夫監督)で主演を務めた舘ひろし(68)が最優秀男優賞を受賞した。日本人の受賞は1999年の高倉健さん以来2人目の快挙。岡田准一(37)主演、木村大作監督(79)の「散り椿」は準グランプリにあたる審査員特別賞に輝いた。4日、東京都内で会見した舘は43年間の俳優人生を振り返り、自身を育ててくれた渡哲也(76)や石原裕次郎さんに感謝した。

 会見場に現れた舘は普段と違い緊張気味で、多くの報道陣が詰め掛けた熱気もあり大汗をかくほど。それでも「私が信じていないのは自分の芝居。野球で言えばボールが来て、バットを出したらホームランになっちゃった」と舘らしいジョークで笑わせてみせた。

 舘といえば「あぶない刑事」の“タカ”役に代表されるように、スタイリッシュでダンディーなイメージ。内館牧子さんの小説が原作の「終わった人」では、定年を迎えた元エリートサラリーマンを好演して海外映画祭では初の受賞。「『あぶない刑事』は自分でやることが決まっていた。今回は毎カット迷いながら作っていった」と役作りの苦労を吐露した。

 舘が強調したのは、所属事務所「石原プロモーション」の先輩・渡と同プロを立ち上げた裕次郎さんへの感謝。若手のころ渡だけが「ひろし、おまえには華がある」と励ましてくれたといい「そのひと言だけで今までやってきた」と告白。「俳優として今があるのは渡さんのおかげ」と感謝した。渡からも「おまえ良かったな」と祝福の電話があったという。

 数々の映画で主演し、製作にも情熱を傾けた裕次郎さんには墓前に受賞のトロフィーを持って報告に行く予定だという。「石原さんは映画で賞を取ったと聞いたら喜んでくれるだろうな」と舘は天を見上げた。

 配給の東映は8~14日に東京・銀座の丸の内TOEIで「終わった人」の凱旋(がいせん)上映を行うと発表した。

◆日本映画2年連続!「散り椿」が審査員特別賞

 審査員特別賞を受賞した「散り椿」。同映画祭では昨年の「幼な子われらに生まれ」(三島有紀子監督)に続く日本映画受賞となった。

 岡田准一が、藩を追放されるも妻の最期の願いを胸に藩の不正や権力に立ち向かっていく男、瓜生新兵衛を演じた。「劔岳 点の記」(09年公開)で「第33回日本アカデミー賞」の最優秀監督賞を受賞した巨匠・木村大作監督が3作目のメガホンをとった。

 19年前に初めて参加した海外映画祭での受賞とあって、木村監督は「『散り椿』は私たちスタッフ、キャスト全員で作り上げた映画です。ですから、この賞は皆でもらった賞です。“日本の美しい時代劇”が世界で認められたことを大変うれしく思っております」と喜びのコメントを寄せた。

<モントリオール世界映画祭> カナダのモントリオールで1977年から開催されている世界12大映画祭のひとつ。日本映画(外国との合作を除く)のグランプリは2006年「長い散歩」(奥田瑛二監督)、08年「おくりびと」(滝田洋二郎監督)。最優秀男優賞は99年「鉄道員」で高倉健、同女優賞は1983年「天城越え」で田中裕子、2010年「悪人」で深津絵里が受賞している。

 

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