しかし、中国はまだ、ダンボールや紙、ポリスチレンなどの再生資源を必要としています。
加工された製品は輸出元の国に売られることもあります。
上海郊外のこの工場には、イギリスで魚を入れる箱として使われていたポリスチレンがありました。
これを砕いて加熱し、大量のプラスチックの小さな破片に変えます。
そして額縁や写真立てに加工され、その一部は私たちのところにも輸出されてくるのです。
今、こうした商品の供給に問題が出ていると言います。
リサイクル企業 フランク・リューさん
「工場を続けるには、再生プラスチックが5万トンほど必要ですが、国内のプラスチックごみだけでは足りません。」
このように、中国国内のビジネスに痛手があっても、政府の姿勢は厳しいままです。
中国共産党にとって、キレイな中国の実現こそが最優先課題であり、これが緑の革命なのでしょう。
藤田
「スタジオには、再生資源の国際取引やリサイクルに詳しい、ジェトロ・アジア経済研究所の小島道一さんをお迎えしました。
よろしくお願いします。」
塩﨑
「中国政府はなぜ今、廃プラスチックの輸入を禁止したのでしょうか?」
ジェトロ・アジア経済研究所 小島道一さん
「中国は1980年代から、廃プラスチックの輸入をはじめ、2000年以降ですね、急激に輸入量を増やしてきています。
こちらで見るように2012年ぐらいがピークでしょうか。
非常に、世界中からですね、廃プラスチックの輸入をしてきて、いろんな製品を作っています。
先ほど見ましたように、額縁になるとか、いろいろなおもちゃとかですね、そういうものに作り替えていくということをしています。
石油からつくるプラスチックで製品をつくるよりも、廃プラスチックをリサイクルして製品を作った方が安くできるということで、そういうような輸入を進めてきたというところがあります。
輸出側も国内で製品にするよりも、中国に輸出をしてリサイクルする方が安上がりにできるということで、そういう流れがでてきたということです。
例えばペットボトルですと、ペットボトルを輸入してですね、破砕・洗浄したものを輸入してリサイクルし、中綿にする。
人形とかの中綿にするということがされてきました。
そういうようなものを含めて、いろいろな再生資源を輸入してきたわけですけども、リサイクル工場からさまざまな残渣(ざんさ)が出てくる。
あるいは、公害対策が十分でなくて、汚染物質が垂れ流されるというような問題が起きています。
先ほどのBBCの放送でもありましたように、河川が汚染されるとか、大気が汚染されるとかいう問題が起きています。
2期目を迎えた習近平政権が環境対策をさまざまな形で強化をしています。
大気汚染対策もきびしくしていますし、同じように再生資源の輸入に関しても厳しい措置を、4月に習近平国家主席が委員長をしています、委員会の中で、輸入規制を厳しくするという方針を打ち出しまして、7月にはWTOに通告し、これから厳しくしますというようなことを宣言をしています。」
塩﨑
「中国はこれまでどのくらい再生資源を受け入れてきたのでしょうか。」
藤田
「こちらをご覧ください。
世界各国の国内で処理しきれない廃プラスチックは、海外に輸出して処理されます。
世界では、年間におよそ1,500万トンもの廃プラスチックが輸出されていますが、その半分近くを中国が輸入してきました。
香港経由で入るものも含めると、そのシェアは世界の6割と言われています。
中国に輸出してきた主な国や地域は、日本、アメリカ、ヨーロッパの各国などです。
塩﨑
「これまで資源のリサイクルを中国に大きく依存してきた各国ですが、今後、どのような影響が考えられるのでしょうか。
イギリスの影響について、BBCのリポートをご覧ください。」