(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年9月1/2日付)
アルゼンチンの通貨危機は、改革を進める同国政府を大混乱に陥れ、投資家の不安をあおり、国際通貨基金(IMF)の記録を破る500億ドル規模の救済に疑問を投げかけた。
アルゼンチンの通貨ペソは2日間急落した後、8月31日に安定したが、重要な疑問にはまだ答えが出ていない。
投資家が最も心配していることは何か?
最大の懸念材料は、大統領選挙を来年に控え、アルゼンチンが迫り来る景気後退とインフレ高進の舵取りをしながら、今後数年間の資金需要を満たしていけるかどうかだ。
調査会社オックスフォード・エコノミクスは、2018年の残り数か月と2019年の資金需要が総額770億ドルにのぼると試算している。もっと景気がいい時期でさえ、調達が難しい数字だ。
アルゼンチンの公的債務全体の8割近くが米ドル建てのため、ペソが弱くなると、ドルでの債務返済が難しくなる。
8月29日の7%安に続き、30日に下げ幅が2ケタに達したペソ安により、アルゼンチンの債務負担は大きく膨らんだ。
現在の相場水準では、政府債務は今年、アルゼンチンの国内総生産(GDP)の90%に達する可能性がある。
その結果、アルゼンチンの債務デフォルトに対して保険をかけるコストが急騰し、投資家が今アルゼンチンのことを、すでに一部デフォルトしたベネズエラに次いでリスクが高い国と見なしていることを示唆している。