2018年09月04日
【コミュニケーション】『一人になりたい男、話を聞いてほしい女』ジョン・グレイ
一人になりたい男、話を聞いてほしい女
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気だったコミュニケーション本。名著『ベスト・パートナーになるために』でおなじみである、ジョン・グレイ博士の最新作です。
アマゾンの内容紹介から。
現代の「男女関係」は昔とは違う。25年の時を経て、名著『ベスト・パートナーになるために』待望の続編!家庭、職場、恋愛…あらゆる場面で役に立つ、異性間コミュニケーションのすべてがここに。
まだ中古が新刊以上のお値段ですし、滅多にセールをやらないダイヤモンド社さんの作品ですから、私は「10%OFF」のKindle版で読みました!
Couple / WarmSleepy
【ポイント】
■1.女性化する男性、男性化する女性肉体労働や弁護士などの従来は男性が担ってきた仕事をすると、男女ともに男性ホルモンであるテストステロンの分泌が刺激されやすい。一方、保育士や看護師などの従来は女性が担ってきた仕事をすると、男女ともに女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が刺激されやすくなる。その結果、女性が伝統的な男性の役割を担うと家庭では火星人の傾向が、男性が伝統的な女性の役割を担うと家庭では金星人の傾向が見られるようになる。
だが男性的な仕事をしている女性は、男性ホルモンと女性ホルモンの健全なバランスをとるために家庭では女性らしさを表現すべきだ。このバランスがうまくとれなければ、退屈や不満、空虚さ、不安などを感じやすくなる。
同じく、日中は誰かの世話をするような女性らしい活動をしている男性は、パートナーとの関係では男らしさを表現することがホルモンのバランスを保つために重要になる。
■2.「男女平等」とは「男女は同じ生き物だ」と考えることではない
ノルウェーやスウェーデンで推進されている男女平等には、男女の性差をないものと考える側面がある。だが真の男女平等とは、違いがあることを認め、それを尊重することだ。人にはそれぞれ男らしさと女らしさのバランスがある。全員に同じ基準に従うことを求めるのは違いの尊重にはならない。
�男女は同じ生き物だ�と考えていると、それぞれの弱点や欲求に共感する、相手の努力に感謝する、といったことが難しくなる。相手の違いを理解し、受け入れ、感謝し、尊重してはじめて、真の男女平等は成り立つ。
男女は同じ生き物、という考えは恋愛にも悪影響を及ぼす。私は過去30年間、ノルウェーとスウェーデンを頻繁に訪れて講演をしてきたが、これらの国では女性と男性には違いはないという社会通念が恋愛感情を冷え込ませているように思える。男と女がルームメイトのようになってしまうと、恋愛の情熱は維持しにくい。離婚率の高さは、ノルウェーが44パーセント、スウェーデンが47パーセントと、世界でもトップクラスだ。
■3.男は「洞窟タイム」で自分の殻にこもることが必要
洞窟タイムとは、男がエストロゲンが分泌されやすい女性的な活動から離れ、テストステロンが分泌されやすい男性的な活動に集中することだ。それによってテストステロンを回復し、恋愛や家族、翌日の仕事に使うためのエネルギーを得る。
洞窟タイムの活動は、ストレスがない状況で行う必要がある。
たとえば、運転はテストステロンを刺激する。遅れそうなときに渋滞しているとストレスでテストステロンを使い果たしてしまうが、運転が好きで、急いだり欲求不満を感じたりしていないときは、テストステロンを増やせる。ストレスのない状況での、お気に入りの音楽を聴きながらのドライブは、�洞窟タイム�になる。
重要なのは、自信を持って能力を発揮できることだ。ある程度難しく、やりがいを感じるものであればテストステロンの分泌が促される。だが、ストレスを感じるようになると、テストステロンを使い果たしてしまう。
■4.女性は男性を変えようとしない
私はカウンセリングで、女性からパートナーの不満についての話を聞く。これはその女性にとって、ストレスを和らげる効果がある。なぜなら、私は女性の話を聞くだけだし、女性も私を責めたりしないからだ。彼女は私を変えようとしないし、私が変わることを期待してもいない。ただ自分の気持ちを人にわかってもらいたい、そのことによって自分の気持ちを整理したいと思っているだけなのだ。
だが一般的に女性がパートナーに感情や不満を伝えるときは、ただ話を聞いてもらえればいいとは思っていない。相手に対し、�あなたの行動を変えてほしい�と思っている。これが、問題なのだ。男性は自分が非難されていると感じ、防御的になったり、問題を解決しようとしたりする。女性もカウンセリングのときとは違い、話を聞いてもらえたという実感を得られない。
だがその実感があってはじめて、女性はストレスを減らせる。問題解決のために男性の助けが必要なら、別の機会にはっきりとそれを伝えればいい。
■5.男性は女性を「認める」
男性が女性の気持ちを肯定するには、彼女の話に関心を持ち、気遣っていると態度で示すことだ。じっと女性の話を聞いた後で(アドバイスをしたり、自分の愚痴を言ったりせずに)、短い言葉で、彼女の気持ちを肯定していることを伝えればいい。
女性の気持ちを肯定するのは、励ましたり、アドバイスしたりすることではない。大切なのは、話の善し悪しを判断せずに、共感しながら話を聞くことなのだ。
言葉の最後には�ハグをしよう�と言おう。数分間話を聞き、最後にハグをしてオキシトシンの分泌を刺激することで、いい区切りになる。 ストレスを感じていても、女性はハグを面倒に思ったりはしない。男性が、「なるほど、その通りね!」と言われるのがいつだって好きなのと同じことだ。
【感想】
◆読む前に想像していた内容とは、結構違っていた作品でした。もちろん、「男女の性差」がテーマであることは当然としても、アプローチの仕方が前作と異なっていたり。
というわけで、まずこの前作なんですが……。
ベスト・パートナーになるために―男と女が知っておくべき「分かち愛」のルール 男は火星から、女は金星からやってきた (知的生きかた文庫)
<参考記事>
【女性必読!】「ベスト・パートナーになるために」ジョン・グレイ(2007年08月14日)
【モテ】「ベストパートナーになるために」ジョン・グレイ(2007年08月09日)
この本は大昔に読んで、かつ今手元にない(おそらくダンボールのどれかの中)ものの、確か問題を抱えた男女が何人も登場して、その問題に関してグレイ博士が「これが原因」「だからこうすべき」みたいなアドバイスをしていた記憶があります。
それに対して、本書はそのような「特定の誰か」の登場はほとんどなし。
ほぼ全編「一般論」で話が進んでいますから、間延びすることなく、中身がギッシリ詰まっている感じです。
◆またその「男女の性差」のお話に関しても、思った以上に前作とのかぶりがありませんでした。
よく何かの本に続編が出る場合、「前作を読んでいない人もいる」前提で、「振り返り」や「確認」の部分があったりするものですが、それもかなり控え目。
何というか「前作は読んでいて当然の前提」で書かれているのではないか、と思うくらいです。
たとえば上記ポイントの3番目にある「洞窟タイム」という言葉は、何の説明もなく本書の第1章にポンと登場しているのですが、そこでは特に説明はなし。
前作をお読みの方ならご存知のように、これは「男性がテストステロンレベルを回復するために、1人になって自分の殻にこもる時間」のことなんですけど、前作が未読であったら、戸惑ってしまうのではないでしょうか?
なお、このお話や、「女性からの『相談』に対して、男性は『解決』してはいけない」といった、前作の「キモ」とも言えるお話については、さらっと流されており、結構ハードルは高めだと思った次第。
ただこれは逆に、知ってる方にとっては「はいはいあの話ね」となることが少ないことを意味するわけで、前作が既読なら問題ないかと。
◆というわけで前作を踏まえた上で、本書で展開されているのが、前作の出た25年前と今の違いと、その対処法です。
一番の違いとも言えるのが、上記ポイントの1番目にある、「女性の社会進出に伴う男性化」や、その反対の「男性の女性化」。
一瞬、「性差がなくなっていいのでは?」と思ったのですが、そのポイントの1番目にあるように、今までとは別の問題が発生するため、違うアプローチを取る必要があるようです。
かといって、「男女は同じ」というスタンスに立つと、上記ポイントの2番目のような問題も起きてしまう模様。
ちなみに、グレイ博士が以前、ノルウェーの首相と全国テレビで対談をした際、首相は「自分は『洞窟タイム』を取ったことはないし、男女にそのような違いはない」と主張したのだそうです。
それに対して博士が「夕食前に毎日30分の犬の散歩をしているそうですが、それが『洞窟タイム』に相当するはず」と返したところ、この部分はカットされて放映されなかったとか。
……ノルウェーさん、ガチですな(白目)。
結局のところ、「現代のカップルが情熱や恋愛感情を保つには、男女のステレオタイプな役割から解放されながらも、お互いのジェンダーの違いを理解し、受け入れることが必要」なワケですね。
◆また、もう1つの本書の特徴が、ホルモンに関する解説が豊富なこと。
一応この手の作品を読んできた私にとっては、ある程度おなじみではありましたが、ここまで掘り下げている作品は初めてでした。
本書をすでに紹介している土井英司さんのメルマガを、今改めて読み返したのですが、さすがにそれに関する言及は少なめという。
専門書のちょい手前レベルの、ある意味「科学的」なお話によって、「男女の性差」をより深く理解されたい方には、本書の第7章&第8章は見逃せないと思います。
ただ、第8章にある「女性のホルモンサイクルを理解する」というお話は、月経周期に関連するので、奥さんとかパートナーのようにその情報を「把握」できる相手でないと、使いようが無いかも。
◆それに比べると、第9章以降は具体的なアドバイスが豊富で、実践しやすいです。
特に上記ポイントの4番目の「女性は男性を変えようとしない」というのは、女性の方が本当に陥りやすい問題ですから、ぜひとも意識していただきたく。
ちなみにこの相手を責めないで、自分の気持ちを言葉にする話し方を、本書では「ビーナス・トーク」と命名し、手順を解説してくれていますから、女性の方は要チェックで!
また最後のポイントの5番目の「共感しながら話を聞く」というのも、男性に取っては、かなり難易度の高い行為です。
ここではエッセンスだけサラッと抜き出していますが、実際に本書を読みながら、ご確認いただければ、と。
パートナーがいる方なら、「必読」の1冊!
一人になりたい男、話を聞いてほしい女
第1章 火星と金星を超えて
第2章 ロールメイトからソウルメイトへ
第3章 恋愛のなかで本当の自分を表現する
第4章 男女の違いを知れば、いつまでも色褪せない魅力と情熱を保てる
第5章 男は女にこうしてほしい
第6章 女は男にこうしてほしい
第7章 女性の幸福のカギを握る4つのホルモン
第8章 相手時間、二人時間、自分時間
第9章 聞いてほしい女、褒められたい男
第10章 男と女が求めることはこんなに違う
第11章 ふたりが力を合わせれば人生は変わる
第12章 不満をぶつけ合わない男女関係
【関連記事】
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。世界で通用する「地頭力」のつくり方 自分をグローバル化する5+1の習慣
下記の未読本記事にてご紹介している作品。
「63%OFF」と値引率が高めなため、Kindle版が700円弱お求めやすくなっています!
参考記事:【全20冊】未読本・気になる本(2018年02月27日)(2018年02月27日)
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