このページの他の項目は、全てが既にオーディオをお持ちの方へのこれからの方策、または考え方について述べたものですが、ここでは「初めてオーデイオをセットする場合」の注意点や考え方を述べてみます。 また、すでにお持ちの方も参考にされれば、納得される部分もあるかと思います。
「物事は最初が肝心」と言われますように最初で余分な必要以上のものを買い求めますとそれが足枷になって、思うようにグレード・アップが出来ないことがあります。そうならない為にも最初の心構えをシッカリ持つことは重要です。
オーディオ機器として必要なものは当面以下のものになります。
先ず、音の入り口から順次に申しますと。
1) CDプレーヤー
2) アナログ・プレーヤー
3) アンプ類
4) スピーカー・システム
5) ケーブル類
となります。
以上について個々の問題点を考慮しながら話を進めて参りますが、その前に、ご自分の性格、趣味等を考慮に入れることは大切です。
例えば、自分が物事に対してこだわりを持つタイプかどうか。或いは趣味が多彩でカメラとか模型、プラモデルなど、凝り性の一面があるかどうかなどです。こういう人達は、将来オーディオに対しても拘りを持つタイプと考えた方が良いかと思います。
一方、全くこだわりが無くて「鳴れば良い!」と考えているタイプなのかも良くご自分で検討してみて下さい。また、中途半端は嫌いで、ブランド、見かけ(デザイン)にこだわる人も多くおられます。そのことも、オーディオが趣味の世界のものですから一向に構いませんが、「オーディオは音楽を鳴らし、音楽を鑑賞する為にある!」とすれば、ブランドやデザインは一切関係ないこと・・・と言わざるを得ません。ただし、だからと言って凡そ生活空間に全くそぐわないデザインで構わないとは些かも考えておりません。以上のことを踏まえ、最初のセッティングでは、将来自分の思いがどのように変化しても無駄の無い、また変化に対応しやすいシステムをセット・アップすることは重要です。
では本題に入ります。
1) CDプレーヤー: CDプレーヤーは実用本位で一向に構いません。レーザー・ディスク・プレーヤーやDVD・プレーヤーをお持ちであれば別個にCDプレーヤーを購入する必要はありません。併用をお勧めします。両方ともお持ちで無い場合は、金額的に3万円前後のもので十分です。CDは音楽を再生しない
2) アナログ・プレーヤー: アナログは、音楽を楽しむ為には必需品と云えます。現在は、中古のアナログ・レコードが格安に入手出来ますし、質も悪くありません。音はCDとは比較になりませんので、音楽鑑賞の中心はアナログになることは必定ですので、是非揃えて頂きたいものです。
しかしながら、現在お勧めできる市販品はありません。そこで、中古品を探す事になります。
アナログ・プレーヤーはレコードを載せて回転させるフォノ・モーター(ターンテーブル)部分とトーン・アーム部分、それとカートリッジから成り立ちますが、トーン・アームとカートリッジは、音質を決める重要な部分ですので、将来的には理想的なものに変更されることを念頭に入れて、当初は、とりあえず使えるものであれば何でも構いません。鳴らせれば良い・・・くらいの考えで十分です。それでもモノによってはCDより良い音で聴けます。当初は、フォノ・モーターを入手する!という考えを重点的に考えたいと思います。ただし、大切なことは、このフォノ・モーターが将来的にも十分使えるものであればあるほど有利と云えます。その選択のコツは、プレーヤー自体がキャビネットも含み、ガッチリ出来ているものが第一の利点となります。キャビネットの上部が柔らかいスプリングで支えられてフワフワに軽く揺れるものは避けます(外国製品にあります)。また、ターン・テーブル自体の重量が重いものが有利です。ダイレクト・ドライブ型よりベルト・ドライブ型が有利です。昔から有名なガラードに見るようなリム・ドライブ式は避けて欲しいものです。ダイレクト・ドライブでも、克ってのテクニクス(SP-10MKⅡ)や、デンオンのDP-100は十分に使えますし、特にデンオンのDP-100は他の追随を許しませんが、余り多くの人に使われていないので(価格が高かった)、中古を探すのは困難でしょう。何れにしましてもダイレクト式のフォノ・モーターは、永年経過していますので、オーバーホールに出し、完全にメインティナンスして使用されることをお勧めします。マイクロの糸ドライブが入手出来ればお勧めです。とにかく、中古に気持ちが進まないからと云って現在市販されているプレーヤーはお勧めしません。将来、理想的なフォノ・モーターが発売になるかも分かりません。その時、余分に高価なプレーヤーを購入していますと手放す時に損失が増えるだけです。いつ手放しても惜しくない程度でなるべく良質なものを得ておくことが大事です。初めてのセッティングですから、無理はしないことです。本当に必要なものは、システムを使う内に会得して来ますので、それからでも遅くありません。その時点でこのページが役立つ筈です。
3) アンプ類
アンプは新品に限ります。さらにソリッド・ステート(所謂トランジスタ式)に限ります。マニアの人達から管球式を勧められても絶対に云うことを聞いてはいけません。更に、最初から高価な(高級器と云われるようなモノ・・・・価格が高いものを高級器と云うようです・・・?)アンプを購入する事には反対です。当初は安いプリ・メイン・アンプで十分です。それも将来に備えてプリ・メイン分離型が必須要件です。分離型でないと後で後悔します。
具体的な商品名を提示します。
マランツのプリ・メイン・アンプPM-17SAⅡ(¥126.000-・・・税込みメーカー価格)このアンプは、フォノ・イコライザーも内臓しており、パワー部の出力は片チャンネル100Wあります。十分にスピーカーを駆動できますし、内容は、別売のパワー・アンプSM-17SAⅡ(¥105.000-・・税込みメーカー価格)がソックリ内臓されておりますので、非常にお買い得感の高い製品といえます。将来的にはパワー・アンプとしてのみ使っても問題の無い製品で、コスト・パフォーマンスの高い優れた製品として第一に推薦します。
このアンプは、初心者に限らず推薦できる機種で、特にパワー部は大型ホーン・タイプ・システムのマルチ・チャンネル用アンプとしても十分に使える実力器です。(別にマランツさんから頼まれた訳ではありませんが、良いものは素直に推薦するのも私の主義です)
もう一つ、初心者にとっては、このアンプはアンプらしい顔をしていないからもう少し飾り気があった方が・・・と考える人の為にもう一機種を紹介致します。
ラックスのプリ・メイン・アンプ L-505f(¥207.800-・・税込みメーカー価格) があります。 ラックスは我が国最古の歴史を持つオーディオ・メーカ-で、その創立は1925年にまで遡ります。 一貫して音楽性に富んだアンプ作りを考えたメーカーで現在でも根強いファンを擁しています。 このアンプもパワーは片チャンネル100Wあり、実用上何の不足もありません。当然フォノイコライザーは搭載されていてアナログ・レコードも再生可能で音質的な問題はありません。
プリ・メイン・アンプを選択する場合このクラスが限界だと考えます。それ以上のクラスを考えるのは、それ以後の事として、その必要性が生じた場合は、このアンプをパワー・アンプとして使用すれば良いわけです。オーディオ・システムを考える場合に、実はアンプの前に考えるべき事は大いにあるのです。アンプはそれほど重要ではない に紹介した例では、東京の場合はマランツを、鹿児島の場合はこのラックスを使用しています。
4) スピーカー・システム
スピーカーが一番頭を悩ませる問題と考えられ勝ちですが、実はもっとも簡単です。何れにしても将来はお払い箱になるものですから、大層なものを選ぶ必要はありません。中古品に限ります。中古品は、前のユーザーが使い込んでいますので新品より聞きやすくなっています。選ぶポイントは、オーソドックスな箱型のものに限ります。価格的には20万円(ペア)クラスであれば高級機です。
将来、不満が出た場合は、今の装置を生かす グレードアップの実際例 を参考にして頂ければ良い訳です。また、当初から、アンプはそれほど重要ではない に紹介した鹿児島の例のようなものを考慮される場合は、直接私に相談される以外に失敗しない方法は無さそうです。余談ですが、粗大ゴミの日にゴミ捨て場から拾ったスピーカーを使っている人もいます。十分に使えるのです。当面はこんなもので聞きながら、欲が出てきた際に、このページの各項目を参考にして頂ければ良いと考えます。「スピーカーはどんな物でも将来必ず不満が出るものだ」とハッキリ認識できれば選択に気を使う必要は全くありません。注意:粗大ゴミ捨て場から拾ってくるのは、場合によっては窃盗罪になることもありますので、出来れば持ち主の了解を得て、譲り受けた方が問題は無さそうです。
5) ケーブル
ケーブルはこのシステムの場合は、CD・プレーヤーとの接続ケーブルのみで、特に問題はありません。量販店の2千円クラスのピン・ケーブルで十分です。また、スピーカー用には「平行規格線の50芯」で十分です(70円/m前後)。規格線には平行の片側だけに、メーカー名等の文字が書かれていますので、文字のある側を「+」と決めておけば結線も間違いません。赤・黒のスピーカー専用のケーブルでなくても良いわけです。
では、中古屋探しでも始めますか?意外とリサイクル・ショップなどで拾い物が見つかります。リサイクル・ショップは商品価値と無関係にタダで引き取ってきたりしますので、価格が安いのです。持って行ってくれる人が有り難い!みたいなものです。商品価値がある程度分かるオーディオ・ショップではそれなりの価格を提示します。
2005・7・28