中国で配信されている7月新作アニメの中で際立った人気となっている
「はたらく細胞」


でして、以前の記事
中国オタク「俺達は今遊んでいるんじゃない!勉強のためにアニメを見ているだけなんだ!」はたらく細胞に対する中国オタクの反応
で紹介した時点でも高い人気でしたが、それ以降も人気は拡大し続けている模様です。
中国の方では人体の細胞という誰もが語れるテーマで、
「科学的な知識も得られる、ためになる作品」
といった評価も高まっているそうで、いわゆる二次元分野に限らず「表だって話題にし易い」ということから一般的な若者の話題、中国のメディアにおける話題といった所まで波及しているとのことです。
そしてついに人民日報の紙面でも「はたらく細胞」に言及した記事が出てきたようです。
作品に言及しているのは8/31の紙面の記事の
「细胞世界与免疫疗法(科技大观)」
(中国語の原文ですが、ネットではコチラなどで読めます)
で記事の内容そのものは作品についてではなくガンや免疫療法についてなのですが、記事の冒頭が
「最近、日本のアニメ「はたらく細胞」の人気がとても高い。原作マンガまで売り切れだ。この作品はハッキリとした「科学技術派」で、人体内部の細胞を擬人化し、細胞の世界が人類社会と同じような複雑な分業によるものだという多くのストーリーを伝えてくる。」
といったように、「はたらく細胞」に言及して始まっています。
国際面のページとは言え中国では非常にお堅い、政治的なイメージのある人民日報に今やっている新作アニメの名前が載るというのは結構な衝撃があったようで、中国オタク界隈でも話題になっている模様です。
そんな訳で以下に中国のソッチ系のサイトで行われていたこの件に関するやり取りを、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。
人民日報に「はたらく細胞」が載った!おめでとう!
ネタにしか思えなかったが本当だった……久々に紙の新聞探しに行っちゃったよ。
あの作品ってなんかオタクの間以外でもやたらと評価高いよね。
文芸的だと認められているのか?
恐らく「科学普及」が大きいんじゃないか?
最初はネタでみんな「科普」とか叫んでいたが、見ていると知識面では普通にしっかりとした内容なのが分かっていった。
オタクのネタにしないでも話題にできるんだよ。
本当に「一般向け」の作品だと思うよ。
自分医者やってるけど、まわりでかなり流行ってるぞ。おかげで話題に困らないし、正直とても助かっている。
ウチの大学の医学部の連中もあの作品をネタにしてガチの討論やってるわ。
こっちでは医学部の学科のテキストで言及されていたというのを聞いた。
実際、話のまくらとしてかなり便利なんだろう。
確か夏休みの宿題で「はたらく細胞」をネタにしたレポートをまとめたとか言ってるヤツもいたな。
実際今の時点の選択としては悪くないと思う。生物の宿題でやるならたぶん百度百科とか、ネットの中国語の資料ネタにするよりバレないというか独自性が出る。
人民日報で言及されるレベルの二次元作品って他にどんなのがあるんだ?ここまでくると社会現象レベルに思えてくるんだが。
最近だと「君の名は。」とかじゃないかな?
中国本土だとそこまでじゃないだろ……
いやむしろウチの国でやたらと人気が高いと言える。日本でも評価は高いが飛び抜けているわけでは無い。
自分の感覚だと「進撃の巨人」の時に迫れるレベルだな。
少なくとも7月新作アニメではトップだろう。
話題性だと間違いなく7月新作ではトップだろうね。
総合的な再生数で見るとさすがに3期分が同時に伸びていく「オーバーロード」の方が上に来るだろうけど、単独で第三期と比較したら細胞の方が上だ。
それにしても冒頭で触れているだけではあるが上手な紹介の仕方だね。
ちょっと前にどこぞのテレビで紹介されたのに比べて客観的ですんなり受け入れられる。
近頃はニュースメディアが二次元ネタを扱う流れを感じるが、まさか人民日報がやってくるとは。
でもこういうのってあまり良いことにならないと思うんだが……作品が利用されるし単純に楽しめなくなる。
アニメの評論じゃなくて話の取っ掛かり的に冒頭で触れているだけだから気にするほどでもないだろ。
中央のメディアの文章に載るのは確かにスゴイことだとは思うけどね。
党の機関紙に載った!これは取締りと規制を恐れずに済むということか!?
この作品に関してだけは、水道メーター検査の怖い人が来ないってことか!
(訳注:中国ではネットでは上に怒られるようなことをやっている人の所に「水道メーターの検査」を名乗って怖い人が来るというネタがあります)
そうだ……「はたらく細胞」に関しては突然配信中止に怯えなくてもいいんだ!!
地方テレビ局に地方紙で紹介されて、ついに人民日報まで。CCTVまでいったらウチの国のメディア制覇だな。
話題の取っ掛かりとして使っているだけど、人民日報の記事が「はたらく細胞」の人気にあやかったような文章を載せるのは本当に驚きだ。
肯定否定どっちでも、サブカル系のネタが人民日報に載るのがまずスゴイ。
私も同じく驚いた。
分の初めに今熱い話題を引用するのは説明文とかでよくある手法ではあるけど、人民日報が今人気のアニメを持ってくるのは予想もしなかった。
話のまくらとして少しだけではあるが、日本のアニメの名前が人民日報に載るなんてね。
しかも今配信している最中の新作アニメが。
ネットのノリではなく、人民日報文化的な硬い文章の中に「はたらく細胞」という言葉が混ざるのを見ると不思議な気持ちになる。
まぁ「工作細胞」という中国語タイトルが、硬い文章の中でも違和感無いと言えば無いからね。
意外と言っては何だが、人民日報は動漫と動画と漫画をきちんと使い分けているね。メディアの人間や上の人間は全部大雑把に「動漫」で括っちゃったり、用語が混乱することが多いのに。
文章で仕事している人間はその辺りについて厳格なんじゃないかな。
むしろ最近はオタクでも言葉の知識が微妙なことになっているからね。
「はたらく細胞」に言及しているメディアの動画にツッコミ入れている弾幕の方が間違っているなんてのもあったし。
そのうち生物のテストに出たり、小論文のネタにされたりして……
この作品はお手本にするべきだ。科学普及、教育のアニメとして成立している。
我が国の国産アニメもこの方向を目指すべきだろう。日本の深夜アニメみたいな萌え二次元に走り過ぎた結果がこの間の規制なんだから。
萌えを強調してポルノになったり、ツッコミを強調して汚い言葉使いになったり、ギャグを量産しようと下ネタだらけになったからな……なんで国産作品はすぐに過激化したり路線を踏み外すのか。
教育的、寓話的なお堅い内容にしても、熱血少年漫画的な面白さが得られる、エロが無くても擬人化キャラのる萌えが感じられるというのを見せつけられたよ。
国産作品がこっちの方向への発展を模索するのは本気でアリだと思う。
「はたらく細胞」は普通に少年漫画のノリなのに知識が得られるからな……
日本のマンガはこの手の知識を得られるテーマの作品が結構あるからね。
以前の作品で言えば「ゆるキャン△」などはアウトドアの知識が得られた。「はたらく細胞」は更に勉強寄りなテーマと構成ではあるが、ジャンルとして共通する部分も見受けられる。
ウチの国の作り手が関わった場合、読み物として面白くできるかが難しい気がする。これまでの国産を見ても娯楽で下品になるか、教育的でためになるかの両極端だから……
目指す方向としては間違いないけど、簡単ではないかもね。
こういった知識系マンガって日本では伝統的なジャンルだし、面白くするノウハウがクリエイターにも蓄積されているんだよ。
有名なプロの漫画家が普通に知識系漫画に参加しているし、そういうのが作品の広告にも活用されているのを見かける。
とまぁ、こんな感じで。
いくら人気が高くなっていると言っても、人民日報で言及されるというのは中国オタクの面々にとっても予想外だったようです。
現在の中国における「はたらく細胞」に対するとても肯定的な評価は、
「科普(科学普及)な作品」で「ためになる」
という部分が大きいとのことです。
いわゆるマンガで学ぶ系のコンテンツは中国では馴染みの無い分野ですし、意外な収穫だと感じる人は少なくないのだとか。
「はたらく細胞」に限らず、こういったマンガで学ぶ的なジャンルは中国ではまだ意識されていなかった鉱脈なのかもしれませんね。
とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。
「はたらく細胞」
でして、以前の記事
中国オタク「俺達は今遊んでいるんじゃない!勉強のためにアニメを見ているだけなんだ!」はたらく細胞に対する中国オタクの反応
で紹介した時点でも高い人気でしたが、それ以降も人気は拡大し続けている模様です。
中国の方では人体の細胞という誰もが語れるテーマで、
「科学的な知識も得られる、ためになる作品」
といった評価も高まっているそうで、いわゆる二次元分野に限らず「表だって話題にし易い」ということから一般的な若者の話題、中国のメディアにおける話題といった所まで波及しているとのことです。
そしてついに人民日報の紙面でも「はたらく細胞」に言及した記事が出てきたようです。
作品に言及しているのは8/31の紙面の記事の
「细胞世界与免疫疗法(科技大观)」
(中国語の原文ですが、ネットではコチラなどで読めます)
で記事の内容そのものは作品についてではなくガンや免疫療法についてなのですが、記事の冒頭が
「最近、日本のアニメ「はたらく細胞」の人気がとても高い。原作マンガまで売り切れだ。この作品はハッキリとした「科学技術派」で、人体内部の細胞を擬人化し、細胞の世界が人類社会と同じような複雑な分業によるものだという多くのストーリーを伝えてくる。」
といったように、「はたらく細胞」に言及して始まっています。
国際面のページとは言え中国では非常にお堅い、政治的なイメージのある人民日報に今やっている新作アニメの名前が載るというのは結構な衝撃があったようで、中国オタク界隈でも話題になっている模様です。
そんな訳で以下に中国のソッチ系のサイトで行われていたこの件に関するやり取りを、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。
人民日報に「はたらく細胞」が載った!おめでとう!
ネタにしか思えなかったが本当だった……久々に紙の新聞探しに行っちゃったよ。
あの作品ってなんかオタクの間以外でもやたらと評価高いよね。
文芸的だと認められているのか?
恐らく「科学普及」が大きいんじゃないか?
最初はネタでみんな「科普」とか叫んでいたが、見ていると知識面では普通にしっかりとした内容なのが分かっていった。
オタクのネタにしないでも話題にできるんだよ。
本当に「一般向け」の作品だと思うよ。
自分医者やってるけど、まわりでかなり流行ってるぞ。おかげで話題に困らないし、正直とても助かっている。
ウチの大学の医学部の連中もあの作品をネタにしてガチの討論やってるわ。
こっちでは医学部の学科のテキストで言及されていたというのを聞いた。
実際、話のまくらとしてかなり便利なんだろう。
確か夏休みの宿題で「はたらく細胞」をネタにしたレポートをまとめたとか言ってるヤツもいたな。
実際今の時点の選択としては悪くないと思う。生物の宿題でやるならたぶん百度百科とか、ネットの中国語の資料ネタにするよりバレないというか独自性が出る。
人民日報で言及されるレベルの二次元作品って他にどんなのがあるんだ?ここまでくると社会現象レベルに思えてくるんだが。
最近だと「君の名は。」とかじゃないかな?
中国本土だとそこまでじゃないだろ……
いやむしろウチの国でやたらと人気が高いと言える。日本でも評価は高いが飛び抜けているわけでは無い。
自分の感覚だと「進撃の巨人」の時に迫れるレベルだな。
少なくとも7月新作アニメではトップだろう。
話題性だと間違いなく7月新作ではトップだろうね。
総合的な再生数で見るとさすがに3期分が同時に伸びていく「オーバーロード」の方が上に来るだろうけど、単独で第三期と比較したら細胞の方が上だ。
それにしても冒頭で触れているだけではあるが上手な紹介の仕方だね。
ちょっと前にどこぞのテレビで紹介されたのに比べて客観的ですんなり受け入れられる。
近頃はニュースメディアが二次元ネタを扱う流れを感じるが、まさか人民日報がやってくるとは。
でもこういうのってあまり良いことにならないと思うんだが……作品が利用されるし単純に楽しめなくなる。
アニメの評論じゃなくて話の取っ掛かり的に冒頭で触れているだけだから気にするほどでもないだろ。
中央のメディアの文章に載るのは確かにスゴイことだとは思うけどね。
党の機関紙に載った!これは取締りと規制を恐れずに済むということか!?
この作品に関してだけは、水道メーター検査の怖い人が来ないってことか!
(訳注:中国ではネットでは上に怒られるようなことをやっている人の所に「水道メーターの検査」を名乗って怖い人が来るというネタがあります)
そうだ……「はたらく細胞」に関しては突然配信中止に怯えなくてもいいんだ!!
地方テレビ局に地方紙で紹介されて、ついに人民日報まで。CCTVまでいったらウチの国のメディア制覇だな。
話題の取っ掛かりとして使っているだけど、人民日報の記事が「はたらく細胞」の人気にあやかったような文章を載せるのは本当に驚きだ。
肯定否定どっちでも、サブカル系のネタが人民日報に載るのがまずスゴイ。
私も同じく驚いた。
分の初めに今熱い話題を引用するのは説明文とかでよくある手法ではあるけど、人民日報が今人気のアニメを持ってくるのは予想もしなかった。
話のまくらとして少しだけではあるが、日本のアニメの名前が人民日報に載るなんてね。
しかも今配信している最中の新作アニメが。
ネットのノリではなく、人民日報文化的な硬い文章の中に「はたらく細胞」という言葉が混ざるのを見ると不思議な気持ちになる。
まぁ「工作細胞」という中国語タイトルが、硬い文章の中でも違和感無いと言えば無いからね。
意外と言っては何だが、人民日報は動漫と動画と漫画をきちんと使い分けているね。メディアの人間や上の人間は全部大雑把に「動漫」で括っちゃったり、用語が混乱することが多いのに。
文章で仕事している人間はその辺りについて厳格なんじゃないかな。
むしろ最近はオタクでも言葉の知識が微妙なことになっているからね。
「はたらく細胞」に言及しているメディアの動画にツッコミ入れている弾幕の方が間違っているなんてのもあったし。
そのうち生物のテストに出たり、小論文のネタにされたりして……
この作品はお手本にするべきだ。科学普及、教育のアニメとして成立している。
我が国の国産アニメもこの方向を目指すべきだろう。日本の深夜アニメみたいな萌え二次元に走り過ぎた結果がこの間の規制なんだから。
萌えを強調してポルノになったり、ツッコミを強調して汚い言葉使いになったり、ギャグを量産しようと下ネタだらけになったからな……なんで国産作品はすぐに過激化したり路線を踏み外すのか。
教育的、寓話的なお堅い内容にしても、熱血少年漫画的な面白さが得られる、エロが無くても擬人化キャラのる萌えが感じられるというのを見せつけられたよ。
国産作品がこっちの方向への発展を模索するのは本気でアリだと思う。
「はたらく細胞」は普通に少年漫画のノリなのに知識が得られるからな……
日本のマンガはこの手の知識を得られるテーマの作品が結構あるからね。
以前の作品で言えば「ゆるキャン△」などはアウトドアの知識が得られた。「はたらく細胞」は更に勉強寄りなテーマと構成ではあるが、ジャンルとして共通する部分も見受けられる。
ウチの国の作り手が関わった場合、読み物として面白くできるかが難しい気がする。これまでの国産を見ても娯楽で下品になるか、教育的でためになるかの両極端だから……
目指す方向としては間違いないけど、簡単ではないかもね。
こういった知識系マンガって日本では伝統的なジャンルだし、面白くするノウハウがクリエイターにも蓄積されているんだよ。
有名なプロの漫画家が普通に知識系漫画に参加しているし、そういうのが作品の広告にも活用されているのを見かける。
とまぁ、こんな感じで。
いくら人気が高くなっていると言っても、人民日報で言及されるというのは中国オタクの面々にとっても予想外だったようです。
現在の中国における「はたらく細胞」に対するとても肯定的な評価は、
「科普(科学普及)な作品」で「ためになる」
という部分が大きいとのことです。
いわゆるマンガで学ぶ系のコンテンツは中国では馴染みの無い分野ですし、意外な収穫だと感じる人は少なくないのだとか。
「はたらく細胞」に限らず、こういったマンガで学ぶ的なジャンルは中国ではまだ意識されていなかった鉱脈なのかもしれませんね。
とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。
科学をサブカル的に楽しく学ぶがカルチャーショックとはなあ。でも、これに影響を受けた中国青年が成長して何をつくるのか楽しみでもある。