ある国のある話
アインズ・ウール・ゴウン魔導国。その国はアインズ・ウール・ゴウン魔導王により統治された国である。様々な種族が暮らす国である。統治者である魔導王もアンデッドであり、そのためか分け隔てなく様々な種族を受け入れた。
そんなアインズ・ウール・ゴウン魔導国がアインズ・ウール・ゴウン大陸(今年までは大陸には名前が無かった)の中にある諸国を全て支配下に置き、見事大陸統一を果たした。
しかしアインズ・ウール・ゴウン魔導王は大陸統一を果たし、祝杯を挙げた際にこう語った。
「私一人ではこのような偉業は成し遂げることは叶わなかった。私の部下である守護者たちやその下にいるものたちが頑張ってくれたからだ。そしてその者たちに協力してくれた魔導国の民の存在があったからこそ、魔導国の『今』がある。」
そして魔導王は続けてこう語った。
「アインズ・ウール・ゴウン魔導国を語るに欠かせない人物がいる。実はだな・・その人物についての物語を出版しようと思ってな・・」
「『漆黒の英雄譚』の名前で出そうと思う。」
「悪いが、これを完成させるのに協力してほしい。___________。」
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魔導暦5年
アインズ・ウール・ゴウン魔導国
首都エ・ランテル
魔導国の首都であるエ・ランテルは交易都市でもあり、大陸の中心でもある。そのため大陸で最新のものや情報を得るにはここにいることが必須である。そのため何か大きなイベントがある時も一番最初にここで行われるのである。
「武術大会」や「魔術大会」から最新の「生活魔法」の発表などである。
エ・ランテルの中にはいくつかの種類の店がある。その中でも「本屋」がある。「本屋」と呼ばれるこの場所では生活に必要とされる雑学や神話や伝説といったおとぎ話が売られている。
『六大神』・・『八欲王』・・『十三英雄』・・そして今日、あの作品が売られていた。
あの作品を買うためにエ・ランテル内にある全ての本屋で『それ』が見られる。
『それ』とは国民の行列である。
何千人が並んでいるのか分からない。
(長蛇の列とはこのことか・・)
魔導国の人口を知るものからすると5000人は並んでいてもおかしくはない。その中には人間だけでなくエルフやリザードマン、ドワーフやジャイアントなどもいる。
その行列の真ん中あたりに少年はいた。
「凄い行列だなぁ。」
少年の名前はコナー・ホープ。エ・ランテル出身でエ・ランテル育ちの少年である。
「凄いなぁ。」
コナーが行列に目を向ける。
それから少しして・・
「よし。買えた。」
コナーがそれを見る。
表紙や裏表紙、背表紙なども全て黒い本だ。
表紙には「漆黒の英雄譚」と書かれている。
コナーは家に帰って読むために、走り出した。