とろけるような秋のナスを味わうピリ辛味噌スープ

煮込んでとろけるようにやわらかくなったナスと、スープがしみ込んだ厚揚げが美味しいピリ辛味噌スープをご紹介します。
旬の野菜をたっぷり味わう、スープ作家・有賀薫さんによるスープレッスン。この連載からレシピを厳選し、大幅な加筆と追加レシピを加えた書籍『スープ・レッスン』は9月27日に発売予定です。

「味噌汁」ではなく甘辛味の「味噌スープ」

気がつくとすっかり秋。夏野菜もそろそろ終わり、名残の時期にさしかかりました。その中でも秋にぐっと味わいが深くなるナスを、たっぷり使ったスープを作りましょう。味噌を入れるのですが、味噌汁というよりは、甘くて辛い味噌スープといったほうがいいかもしれません。

名残のナスは、皮が少し固くなってきますが、切り込みを入れて、味を染みやすくします。味の出る厚揚げを足せば、だしなど全く不要です。煮込んでとろけるようにやわらかくなったナスと、スープがしみ込んだ厚揚げの相性は抜群で、ごはんもすすむことでしょう。

皮を切る作業が難しく感じるかもしれませんが、簡単にできる方法をお教えしますので、ぜひやってみてくださいね!


ナスと厚揚げの辛味噌スープ

材料(2人分) 所要時間約15分

ナス 3本
厚揚げ 1枚(約200g)
赤唐辛子 1本 ※輪切りの唐辛子、唐辛子粉でもOK
サラダ油 大さじ2
砂糖 大さじ1
味噌 大さじ1.5~2(味噌の塩分による)
水 約500mL

作り方

1.ナスと厚揚げを切る
ナスは、ヘタを落とし、ガクをむく。縦半分に切り、皮目に5mmくらいの幅で切り込みを入れてから半分に切る。厚揚げはキッチンペーパーで油をおさえ、一口サイズに切る。★1

2.ナスを焼いて煮る
鍋に油をひき、ナスを皮から入れ、中火で約3~4分、両面焼く。★2

3.水を加えて煮る
水500mLと砂糖、味噌の半量、種を抜いた唐辛子を加え、厚揚げも加えて中火のまま煮る。沸騰して3分煮たら、弱火にして残り半量の味噌もとき入れ、火を止める。★3


レシピのポイント解説

・ナスの切り方
・ナスの焼き方
・味付けについて

★1 ナスの切り方

今日は、ナスに切り込みを入れます。やらなくても作れますが、切り込みを入れることで味がしっかりとしみ、やわらかいナスの食感がより楽しめます。なにより、ご馳走感がぐっと上がります。

ヘタを落として縦半分に切ってから、切り込みを入れていきます。


ヘタを落としてがくをくるりとむいたら…


まず、半分にして…


切り口を下にして置き、皮の方に、幅5~6mmの切り込みを入れる

切り込みは、上1/2~2/3ぐらいまでですが、包丁を使い慣れていない人は、割りばしを使います。


こんな風にナスの手前と向こうに、割りばしを1本ずつ置く


こうして切り込みを入れていけば、うっかり切り過ぎても包丁が止まる

包丁の刃に割りばしが当たるほど深く切り込みすぎないほうがいいので、なるべく途中で止めるようにしながら切っていきましょう。すぐに感覚がつかめて、割りばしなしでもできるようになります。


切り込みが入ったら、半分の大きさに切って、完了!

厚揚げは、キッチンペーパーなどで軽く包んでおさえ、水気と油を取り除き、一口サイズに切ります。


横半分に切ってから縦1㎝幅ほどに切る

★2 ナスの焼き方

ナスを中火で油焼きします。厚手の鍋に油をひき、なすを皮目から入れます。最近のナスはアクも弱く、このスープは味もしっかりしているので、切ってすぐ使えばあく抜きの必要はありません。また、ナスは油を吸い込む野菜です。ある程度たっぷりの油を使います。


なるべく重ならない方がよいが、鍋のサイズが足りなかったら場所を譲り合いつつ焼く

なすを煮びたしなどにするときにも、こうして皮から調理してやると、なすの紫色が残りやすいです。
炒めるというよりは、うまく鍋肌にナスが当たるように菜箸で少しおさえたりしながら、その場で焼きます。2~3分焼いたらひっくり返し、今度は切り口を1~2分焼きます。


油が足りないようなら、油を大さじ1/2ほど足してもよい


ナスの切り口にも軽く色がついたら、焼き完了。

ここで、水500mLと切った厚揚げ、半分にちぎって種をとりのぞいた赤唐辛子と調味料を加えます。

ナスを油焼きしてから煮るとういう方法は、煮びたし、麻婆茄子などにも応用がきき、覚えておきたい方法のひとつです。ひと手間に感じるかもしれませんが、油と相性の良いナスをおいしく食べる最大のポイントです。

★3  味付けについて

普通の味噌汁だと、具を入れて煮てから味噌を溶きますが、このスープは味噌味でナスや厚揚げを少し煮込んだようになったほうがおいしいので、先に味噌は半量を入れます。残りは仕上げに加えます。
豚汁などのときもこうして2度に分けて味噌を加えると、作りたてでも味がしっかりつくのでおすすめです。


味噌は先に半量入れてしまう

赤唐辛子「鷹の爪」は半分にちぎり、中の種は全部抜いて砂糖や味噌と一緒に鍋に入れます。辛みが苦手な人は半分にしたり、輪切りの唐辛子、一味などを少量使ってもよいでしょう。



なすにはほぼ火が通っているので、厚揚げがしっかり温まったらOK

味付けしっかり、これ1品でメインになるおかずスープ

肉や魚こそ入っていませんが、厚揚げでボリューム感も出て、ナスの食べ応えもあって、1品でも十分な食事になるスープです。ピリ辛の味噌味はごはんにもぴったりですね。

ナスを焼くときの油には、クセのないサラダオイルを使いました。
ごま油を使ってもいいのですが、全量ごま油だと少し風味が強くなりすぎるので、そのときは2/3量はサラダオイルにしましょう。あるいは、サラダオイルで作っておいて、最後にごま油を少しふるだけでも十分効果的です。

ナスのおいしい時季もあと少し。たっぷり食べてください!


【アレンジ】肉との組み合わせもおいしい!

今回は厚揚げを使いましたが、厚揚げを肉に変えるとさらにボリュームアップします。
鶏、牛、豚、なんでも合います。油揚げももちろん大丈夫。また、辛いのが苦手な人は、唐辛子を使わずに作れますが、そのときはしょうがやすりごまなど、味のアクセントになるものを一つ加えてあげましょう。

ナスとひき肉の味噌スープ

厚揚げのかわりにひき肉を使うと、「飲む麻婆豆腐」的な味のスープに。ボウルにひき肉を入れ、分量の水でひき肉を溶いて、これをナスを焼いたところに加えます。あとの調味料などは同じです。鷹の爪のかわりに、唐辛子粉を使っても大丈夫ですよ!

ナスと厚揚げとしょうがのスープ

辛さが苦手な人は、唐辛子を抜いて、基本の作り方と同じように作り、すりしょうがをたっぷりと加えてみましょう。ごま油を少し足すとさらにパンチが出ます。ここではナスに切り込みを入れずに小さめに切ることで、味をしみやすくしています。


この連載から生まれた書籍『スープ・レッスン』が9/27に発売! Amazonにて予約受付中です。

スープ・レッスン

有賀 薫
プレジデント社
2018-09-27

この連載について

初回を読む
スープ・レッスン

有賀薫

野菜、お好きですか? おいしい旬の野菜を手に入れたら、ぜひシンプルなスープで味わってみてください。旬の野菜をたっぷり食べる、究極のベーシック・スープをスープ作家の有賀薫さんが教えててくれます。

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コメント

shimapo これ、初めての味わい。甘くてとろっと美味しかった。すりごまを加えたかったけど切らしていたので七味をかけたけど、それもまたよろし。 約1時間前 replyretweetfavorite

nukusuke うま〜。栃尾の揚げを使ったらおつゆを吸ってポッコポコになって主張しすぎw ご飯と青菜の… https://t.co/VW58NJ1Qya 約3時間前 replyretweetfavorite

nontroppo_life @kaorun6 なすと厚揚げのピリ辛味噌スープ レシピはこちら https://t.co/9L71FrR3Q0 書籍も楽しみです。 約3時間前 replyretweetfavorite

syakariki_keibu これはいいな。味噌汁ならぬ味噌スープか。 約8時間前 replyretweetfavorite