「共産化」する安倍政権

2014年12月18日 12:29

このツイートがいろいろ話題になっているが、ちょっと考えさせられる。


このもとは「内部留保を吐き出して賃上げしろ」という麻生財務相の話に共産党が賛同しているのを私が批判したことだが、共産主義が統制経済でなかったら何なのだろうか。共産党が資本主義を守るなら、党名を変えたほうがいい。

安倍首相を極右と思っている人が多いようだが、彼の経済政策は「大きな政府」をめざす左派に近い。彼の祖父を初め、保守派は世論には一喜一憂しないで国家百年の計を考えるものだが、安倍氏は世論や支持率に非常に敏感だ。

これは共産党が躍進したことと関係がある。安倍氏も麻生氏も「デフレ脱却」したら賃金が上がると思っていたのだろうが、これは逆だ。インフレは、実質賃金を下げて企業収益を上げることに意味があるのだ。事実、企業収益は上がっているが、所得格差が拡大して共産党が支持を伸ばした。

55年体制のもとで共産党は革命路線を捨て、短期的な所得分配を求める党として生き延びてきた。同じくバラマキ政党である公明党の政権に対する影響力も強まっている。かつて反共の闘士として活躍した岸信介の孫が「共産化」し、それに共産党が意気投合しているのは皮肉なものだ。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)
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