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課せられたのは「4時間で100社分のデータ処理」――2年目エンジニアが挑んだ機械学習【デブサミ2018 夏】

【C-2】メモリも、僕のキャパシティも溢れっぱなし。。2年目エンジニアが実現した機械学習

2018/09/03 14:00

 スマートフォンやパソコン、タブレットなど、複数のデバイスを日常的に利用するユーザーが増えている。そうしたユーザーの行動をトラッキングするため、株式会社ロックオンが提供するマーケティングプラットフォーム「アドエビス」では、デバイスやブラウザをまたぐ同一ユーザーを推定する「クロスデバイス機能」の提供を開始した。その裏側を支えているのは、膨大な量のアクセスデータを機械学習によって処理する分析基盤だ。本セッションでは入社2年目の若手エンジニアである内藤勇之助氏が、機械学習を用いたサービス開発で苦労した点や工夫した点について語った。

目次
株式会社ロックオン 開発部 内藤勇之助氏
株式会社ロックオン 開発部 内藤勇之助氏

機械学習を活用し、クロスデバイス計測を実現

 「アドエビス」は、広告効果測定ツール市場で3年連続シェアNo.1を誇るツールだ。導入実績は9000件を超え、アクセスデータは年間120億件以上を計測している。その「アドエビス」が提供開始した「クロスデバイス機能」は、どのような課題を解決するために生まれたものなのだろうか。

 「例えば、ある人が自宅のパソコンでWeb広告をクリックし、遷移先のサイトで商品の情報を見たけれど、その時は商品の購入に至らなかったとします。そして翌朝、通勤中にスマートフォンでブラウザを開き、昨日見ていた商品をもう一度調べて、購入に至るケースはよくあると思います。ここで、ある問題が生じます。これまでの広告効果測定は基本的に各デバイスが持つCookie情報からユーザーを判別しているため、パソコンとスマートフォンではCookieが異なり別の人と判定されてしまうのです」

 この事象が起きると、効果測定に不都合が生じる。例えば、1000万円の費用をかけてWeb広告を出稿するとしよう。クロスデバイスを考慮しない広告効果測定の場合、前述のシチュエーションが起きると、広告クリック後のコンバージョン率が低く判定されてしまうのだ。そして広告は効果が低いとみなされて取りやめになる。その結果、購入数が激減するという事態が起こりうる。デバイスをまたぐアクセスだけでなく、デバイスが同一であってもCookieを共有できない、異なるブラウザやアプリ間で発生するアクセスにも同様のことが言える。

スマートフォンの普及によるマルチデバイス化
スマートフォンの普及によるマルチデバイス化

 複数のデバイスをまたがって最終的にコンバージョンに至ることをクロスデバイスコンバージョンという。現在ではその割合が全体の40%ほどを占める。だからこそ、広告効果測定においてはクロスデバイスユーザーの判別が非常に重要になってきている。

 それを実現するため、同社は機械学習による分析基盤の構築を行った。ユーザーエージェントやIPアドレス、アクセス時間帯といった膨大な種類のアクセスデータと教師データを用いて、ユーザーを類推していったという。

 このプロジェクトでは、大きく分けて2つの要件をクリアする必要があった。

 「1つ目はスケーラビリティです。最初は10社くらいの導入数だとしても、将来的には10倍にも100倍にも利用者が増えていきます。そうなったとしても、遅延なく分析結果をお客さまにご提供できなければいけません。課せられた目安は、4時間で100社分のデータを処理することでした。2つ目は精度です。これが担保できないと、そもそもサービスとして成り立ちません。ある意味で相反する2つの要素を、同時に改善し続けていく必要がありました」


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