(前回はこちら→「市場は米中貿易摩擦より、米金利の上昇を注視」)
先月は珍しく「先行きが読みにくい、休むも相場」という結論でしたが、市場もそれに同意するように、日経平均株価は膠着しています。
居林:米トランプ大統領が仕掛けた貿易摩擦問題は、飛び火して欧州、日本、さらに政治的な理由でトルコに燃え移りました。そのうしろには、新興国経済がどうなるんだ、という不安があります。
居林さんは「株価は基本的に企業業績の関数。政治的なイベントが市場に与える影響は中長期的には無視できる。短期的な下げなら、むしろ買いのチャンス」とおっしゃっていました。
居林:はい、米中の貿易摩擦は政治イベントなのか、経済イベントなのか、区別が大変難しいんです。ですから、判断が付いたらどう動くべきか、ディシジョンツリーを用意して、状況が見えるのを待つのも手ですよ、とお話ししたわけです。
新興国の通貨危機、経済危機が世界的な暴落の引き金を引く例はいくつもありましたよね。
金融危機の定番、新興国の通貨クライシス
居林:いい機会なので新興国についておさらいしておきましょうか。今回新興国で問題になるのは「資本を海外から輸入せねばならない、経常赤字国」であるという点です。国内の資本が足りないので、海外から外貨で借りた資本を使って、自国の通信網、鉄道網などのインフラ、不動産開発、鉱山開発などに使うわけです。これらの投資の結果上がってきた収益で借りてきた外貨を返済してゆく、というのが基本構造です。
現状はドルの金利が上昇しています。ということは、そもそもの借金の金利が上がることになる。苦しいですね。そして、金利上昇でドル自体の需要が増して、自国通貨に対してドル高になれば、ドル建てで借りたお金に対して払う自国通貨が増えてしまう。二重に苦しい。これによってドルの、すなわち資本を借りるための条件がどんどん厳しくなっていくと、自国の資本市場が、金融システムが干上がってしまう。平たく言えばお金を貸してくれる人がいなくなり、国全体の経済が回らなくなる。これは、金融危機の定番です。アジア通貨危機もそうでしたし、リーマンショックは先進国も巻き込まれました。
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