--先ほど、お客さんのニーズに応えるべく作り続けたら60種類近くになった、というお話でしたが、品質向上も含めてどうやってリサーチしているんですか?
それは、ナンパですね。
--ナンパ……ですか?
私なんかは、解体工事のお昼休憩を見計らい、名刺と商品を渡して「この商
品差し上げますので、一度使っていただいて感想を聞かせてもらえませんか?」と飛び込み営業をかけることもあります。だいたい、気持ち良く協力していただ
けますね。あとは、親しくさせてもらっているお店にお願いして手袋売り場に立たせてもらい、軍手を買いに来た人を見つけては声を掛けて話を聞くこともあり
ます。
--すごい行動力ですね。
やはり生の声は開発に役立ちますのでね。特に、大阪の方は遠慮なく好き勝手言ってくださるので、とても助かります(笑)。この前なんか、うちの商品を買ってくれているのに、怒っている人がいたんですよ。
--何でですか?
「これ手にぴったりフィットしますって書いてるけど、全然せーへんやないか」と。それで手を見せてもらったら、手が肉厚で指が短い方だったんです。「名刺をやるから俺の手にぴったり合うやつができたら送ってこい」ということで、その方に合うような手袋を開発しました。
--その出会いだけで開発とはすごい。
完成したものを送ったら電話をくださって、「これや。やればできるやないか。あと5つ送ってこい」と(笑)。でも、その代わり「現場で俺が宣伝してやる」とおっしゃっていただけて嬉しかったですね。
一番いいのは不満を聞き出すこと。その積み重ねですね。ホームセンターでも安いものがたくさん売られていますが、プロの方たちはすぐに破れるから駄目だということでうちを頼ってくれます。