写真広場
写真部のカメラマンが撮影した数々のカットから、お薦めのもう1枚を紹介します
【放送芸能】「あまちゃん」から5年 いろいろあって、いろいろやってますのん25歳、マルチに開花しています-。「能年玲奈」として2013年、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」で大ブレーク後、「のん」に改名。テレビであまり姿を見かけなくなったが、女優のほか声優、服飾デザイナー、画家…と多彩な顔を持つ。その中でいま力を入れているのがロック。ガールズバンドを率い、春に出した初アルバムを引っ提げ、今月にはライブツアーで各地を回る。新境地をシャウト!! (原田晋也) 五月、初アルバム「スーパーヒーローズ」発売を記念して東京・渋谷で開いたライブ。のんさんはパンク調にギターをかき鳴らし、のびのびとしたボーカルも披露し、超満員の観客を興奮させた。 中学時代からバンドを組み、ギターを弾いて歌っていたというのんさん。音楽活動を本格スタートしたのは昨夏。「自分の中ではやりたいなっていう思いはずっとあった。意外と違和感がないと思う」と笑いながら自己分析する。 十二曲を収めたアルバムでは五曲を作詞作曲した。「嫌な物は嫌だ/変なものは変だ」(「へーんなのっ」)、「従順にはなれない/私の心は生きてる」(「ストレート街道」)など、周囲に振り回されず自分らしくあることを歌った真っすぐな歌詞が多い。「普段感じていることを切り口を変えながら言葉にした」 「あまちゃん」のヒロインを務め、せりふ「じぇじぇじぇ」は流行語大賞の一つに選ばれ、“ぽわーん”とした独特の雰囲気も人気になり、国民的スターになった。しかし、当時の所属事務所と契約に関して問題が起き、本名の「能年玲奈」での活動に制限がかかった。一六年七月、「新しい活動をするため」に「のん」に改名して新たにスタートした。同年に公開されたアニメ映画「この世界の片隅に」では主人公すずの声を好演し、再び脚光を浴びた。現在は「創作あーちすと」とも名乗り、洋服作りや画家としても軌道に乗っている。 「あまちゃん」の縁で岩手県久慈市など、「この世界の片隅に」の縁で広島県呉市など、「お世話になったから」と大災害の被害に遭った地域と交流を続け、住民の力になろうとしている。こうした姿勢で生きるのんさんを応援する人は多い。「あまちゃん」の共演者、大物ミュージシャンも支えている。 今回のアルバムでも高橋幸宏さん、矢野顕子さん、尾崎亜美さん、高野寛さんらが楽曲を提供した。そして、「尊敬してやまない」という故忌野清志郎さんも関わっている。矢野さんの楽曲「わたしはベイベー」は「どんなに暗い夜も/清志郎なら歌ってくれるはず」と忌野さんへの思いを歌っている。曲の最後には忌野さんが“肉声”で登場。「清志郎さんはスーパーヒーローです」と短い言葉に格別な思いを込めた。 六日の大阪を皮切りに、広島、福岡などを回る初のライブツアーに出る。ラストの三十日は、東京・日比谷公園の野外大音楽堂。忌野さんの盟友、仲井戸“CHABO”麗市(れいち)さんも出演。「今から緊張しまくりです」 「あまちゃん」以来の日々を「楽しかった…ことだけではないですけど」と苦笑しつつも胸を張って振り返った。「いろいろありましたけど、そのおかげで大人になれて、大人になったことで自由になった。何かを生み出すことを日に日にやりやすくなっていて、どんどん進化してるって感じがすごいです」 ◆みんな応援、元気もらった恩返し 大友良英さん「あまちゃん」で音楽を担当した音楽家の大友良英さん(59)も「のん応援団」の一人。アルバムにも曲を提供するなど交流を続ける大友さんは、のんさんをどう見ているのか。 -のんさんとの出会い、印象は? 「あまちゃん」の時が最初で、彼女を音楽で引き立てることに一役買った。当時は正直言って「この子は歌はないな」と思っていた(笑)。まさかこんなに成長するとは。会うたびにうまくなっている。 -彼女の音楽を聴いてどう感じた? ギターのリズムがすごくいい。ギターの刻みってその人の戦闘性というか人格みたいなものが出るが、それがもうバキバキですごい。パンクだよ、この子は。 -大物ミュージシャンたちが応援していますね。 みんな「あまちゃん」のファンだったんだと思う。東日本大震災から2年後、窒息しそうな状況の中で、彼女が日本中を元気にしてくれた。だから、みんな恩返ししているんだと思う。あと、『この世界の片隅に』がすごく良かったのも大きかったんじゃないかな。 -女優、声優、音楽、絵画など多方面に挑戦しています。 大したもんだよ。やってることが相当突っ張ってる。音楽やってる人は突っ張ってる若い子は大好物なんだ。自分たちがそうだったんだから。 -今後、どのようなのんさんを見たいですか? 何かを表現することにおいてはすごく傑出した子。最近の日本の女優の中では宝物だと思う。テレビ局や映画界は、彼女が堂々と活躍できる場をつくってあげた方がいい。 <のん> 1993年7月、兵庫県生まれ。2006年にモデルデビューし、10年には映画「告白」で女優デビュー。14年に「あまちゃん」、映画「グッモーエビアン!」でエランドール賞新人賞、15年に映画「ホットロード」で日本アカデミー賞新人俳優賞。8日から配信の無料通信アプリ「LINE」のサービス「LINE NEWS」で、4年ぶりの実写作品となる連続ドラマ「ミライさん」に主演する。
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