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データサイエンティストとして、数々のAI開発プロジェクトを経験し、成功と失敗の分かれ目を見てきたというトランスコスモスの北出さん。日本企業でAIが普及しないのは『データサイエンティストが不足しているから』といわれていますが、それ以前に、「AIに対する理解や当事者意識がない」という企業が意外と多いことを指摘しました。
その北出さんは、「AI開発プロジェクトを成功させようとするなら、とにかく当事者意識を持って試してみることが重要で、そのとき、少なくとも3回の失敗を覚悟する必要がある」と言います。その理由はどこにあるのでしょうか。
AIのプロジェクトを進めようとした企業のほとんどがつまづくポイントとして「データがない」「分析力がない」「開発力がない」という“3ない問題”があります。特に「データがない」という部分で、実に8割から9割が脱落してしまうと北出さんは言います。
「お試しのAIプロジェクト案件を始めると、必ず最初に『分析に使えるような、整った形でデータが残っていない』『機械学習で予測モデルを作るための教師データがない』というカベにぶつかるんですよ。そこで分析の目的に合ったデータの重要性に気付き、必要なデータを用意するところからやり直すことになります。これが最初の失敗です」(北出さん)
しかも、一度データを分析しただけで高い精度の予測モデルができるわけではありません。むしろ、わざと問題のあるデータを使って機械学習を行い、その結果を見せてあげることで、ようやく、今あるデータで開発を進めようとしても意味がないことに気が付くそうです。
「本当にやる気のある人たちなら、この失敗を踏まえ、次はもっとマシなデータを集めようと自主的に動き始めます。データが準備できないなら、前提となるテーマや目的を見直し、代替案を考え始めます。やる気がなければ、ここで脱落してしまいます」(北出さん)
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