ITにおける問題をもう少し細かく分解すると下図のようになる。

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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54002

 今回の最大のポイントは、「時計の自動設定」を行う機器の種類と数が以前より格段に増えていることだ。サマータイムによってこれらにどのように影響が出るかを調べ、それに対応するのは容易なことではない。

 まず、IT機器やシステムが扱う時刻について整理しておこう。世界全体で使われるのが協定世界時(UTC、Coordinated Universal Time)である。以前はグリニッジ標準時(GMT)と呼ばれていたものだ。そのほか日本では日本標準時(JST、Japan Standard Time)が使われている。UTCをJSTに変換するには9時間を足す。

 これまではそれだけでよかったが、もし2時間を前倒しするサマータイムが導入された場合は、UTCに11時間を足して「夏時間」とする必要がある。以下ではUTCに加える時間のことを「時差」と呼ぶ。サマータイムには時差の値を変えることで対応できる。

 機器が現在時刻を取得する元(時刻供給源)は何種類もあり、取得できる時刻が異なる。複数のベンダーが参画したシステムでは、どこでどの時刻供給源を使っているかを探し出すという作業が面倒になる。