どうもozです。
またも昔話ですが、ご容赦ください。
これは、あるシステム開発の現場に、協力会社のエンジニアを投入した時の話です…
待望のWPF経験者あらわる
当時私は、ある現場に、自社の社員T君に参画してもらっていた。T君はとても頭のキレが良く、お客様から絶大な信頼を得ていた。
現場では、T君をリーダーとした体制の構築を求められていた。
そんな折、T君チームに助っ人が必要と言う話が出て、C#ができるエンジニア、特にWPFの経験がある人物を求められた。
「そんな人、簡単にみつかるかーい」
と、半分あきらめムードで探していたところ、業界の兄貴分的な営業さん(実際はおっさん)からC#とWPFの経験があるエンジニアAさんの提案を受けた。
兄貴分的な営業さん(実際はおっさん)との付き合いは長く、会社が潰れそうな時(その後潰れた)にも相談に乗ってもらった方だ。
参画してもらうまで結構時間がかかった
とは言え、そのエンジニアAさんはいま参画している案件を終わらせるのに3ヶ月は必要と言うことだった。
参画してもらうまでまだかなり時間があるとは言え、会っておきたいと兄貴分的な営業さん(実際はおっさん)にお願いして、ランチミーティングの機会を作ってもらった。
C#は得意、WPFはそれほどたくさんの経験はないが、まぁ分かると言うことで、雑談も交えながら、和気あいあいと話をさせてもらった。
気が合ったので、その後も何度かの打合せを経て、満を持してT君のチームに加わってもらった。
抜けたい!
ところが、実際にチームに加わって2週間目、兄貴分的な営業さん(実際はおっさん)から、Aさんが現場を抜けたがっていると言う連絡が入った。
急いでT君に連絡を取り、緊急でミーティングを行う事になった。場所は現場すぐ近くのサイゼリヤ。1時間の昼休みを利用しての緊急ミーティングだ。
メンバーは、Aさん、T君、私、それから話の流れで兄貴分的な営業さん(実際はおっさん)に加わってもらった。
まず、それぞれに現場の状況を聞いてみたが、少々ややこしい状況だった…
それぞれの言い分
Aさんの言い分はこうだ。
・現場の仕事の進め方が合わない。
・現場のレベルが低く技術者として得るものがないから早く抜けたい。
一方でT君の言い分はこう。
・Aさんが現場のルールに従おうとしない
・新しいツールを使わず、開発の効率が悪い
・現場で注意されてから黙り込んでいる
ふむふむなるほど。
かたくなな姿勢
T君はAさんの不満や問題点にひとつひとつ解決策を提示していった。
が、Aさんはそれらをすべて否定していった。
「Aさんが今できていないことを、一緒に出来るようになっていきましょう」「いや、無理です」
「Aさんの経験を生かして協力して欲しい」「いや、この現場にはそんな仕事ないです」
「人間関係の問題があるなら何でも相談してください」「言っても無駄です」
話せば話すほど、Aさんはさらに態度を硬化させ、まともな言葉を発することもなく、虚空を見つめ、「いや、無理です」を繰り返すようになっていった。
あわや乱闘
そんな態度に誰よりもイラつきを見せたのが兄貴分的な営業さん(実際はおっさん)だ。明らかにイライラしている。テーブルに対して体を斜めにして、通路に足を投げ出すようなチンピラ体勢になっている。※体が大きいから収まらないと言う考え方もできるが、その時はそう見えた。
長い付き合いのエンジニアを自信を持って連れてきた現場で、長い付き合いの営業(私)と、その会社のリーダーを前に会話が成立しない態度を貫いている。兄貴分的な営業さん(実際はおっさん)のイライラは同じ営業として嫌と言うほど理解できた。
T君もそろそろヤバい。笑って見せているが、眼はまったく笑っていない。若い時はヤンチャしてた感があるだけに、本当にちょっと怖い。
都会の昼休みのサイゼリヤ。賑やかなファミリーレストランの一角で不穏な空気を漂わせるテーブル…黒っぽいオーラが見えそうな気がした。
あと一度でも「いや、無理です」と言う言葉が発せられたら、誰かが暴れたかもしれない。
だが、1時間と言う限られた時間の中で、最終的にAさんの頑なな態度に、折れる以外の解決策を見出すことはできなかった。
分からないと言う結論とそこから学んだこと
Aさんと(正確には兄貴分的な営業さん(実際はおっさん)の会社と)は、お互い同意の上で、その月末をもって契約を終了することとなった。
短い期間ではあったが、あれほど仲良くなったAさんが、最終的に何も語らずに去ってしまった。
結局、Aさんが現場を好きになれなかったのか、他にもっと良い案件があってそっちに行きたかったのか、本当にレベルが低くて耐えられなかったのか、真実はいまもって分からない。
だがこの件で、私はイチ営業として、人の気持ちと言うものはすぐに変わってしまうこともあると言うことを知った。
また、リーダーT君には負担を掛けてしまったが、彼もまた何かを学んだことと思う。
私とリーダーT君、同じ会社の仲間たちの日ごろの仕事を見てくれているお客様はこの件に関して特に私たちを咎めはしなかった。
だが、その事がかえって私たちの気持ちを引き締めさせた。
それから数年が経ち、私は会社を変わったが、リーダーのT君は今も同じお客様と一緒にシステム開発を行い、大きな体制を任されているし、私もまた、そのお客様には良くして頂いている。
また、兄貴分的な営業さん(実際はおっさん)とは今も仲良く、たまに飲みに行く関係を続けている。
Aさんには会っていませんが、どこかで活躍されていることを願っています。
また会うことがあれば、その時はお互いにとって良い仕事が出来たら良いなと思います。