2018年9月3日 06:05
前回は、自宅のWi-Fiが二重ルーター状態になっているとはどういうことか、そのデメリットを解説した。まだ読んでいないなら、まず目を通しておいて欲しい。意外と知らずに二重ルーター状態のまま使っているケースがある。今回は、自宅のWi-Fiが二重ルーターになっているのかどうかをチェックするテクニックをお教えしていこう。まずは、この経路表示をするツールの紹介と使い方からだ。
二重ルーター状態になっているのかどうかは、インターネット接続の経路を調べることで判明する。インターネットではその仕組みから、閲覧するサーバーまでには、複数のサーバー(ルーターであることが多い)を経由してたどり着くのだが、その経路内で自宅部分を調べれば良いわけだ。
この特定サーバーまでの経路探索には、「Traceroute」というターミナルコマンドが使われる。サーバーのURLを付けて実行すると、そこまでの経路を表示してくれる便利なツールだ。スマホではアプリを活用すれば良い。
Androidスマホでは、以前、連載第17回「Wi-Fiルーターの『IPアドレス』を忘れたら?」でLANの探索に使った「Fing」がこの用途にも活用できる。このアプリは主にLAN内でどのような機器を使っているかを検索するのに便利なのだが、「Traceroute」を実行することもできる。iOS版のFingでは、残念ながら「Traceroute」機能が省かれているので、別のアプリを利用しよう。
- Fing(Android)
- Network Ping Lite(iOS)
Network Ping Lite(iOS)での経路検索
次にPCを使う場合のツールだ。もちろん自宅LAN内経由でインターネットに接続していることが前提になる。
Windowsの場合は、「Windows Power Shell」もしくはコマンドプロンプト(cmd.exe)を使う。利用するコマンドはどちらも同じ。Windowsメニューを右クリックして[Windows Power Shell]を選択して起動できる。Windowsでは、「Traceroute」ではなく「Tracert」と入力するので注意する。起動後に、キーボードから「Tracert -d 8.8.8.8」[*1]と入力してエンターキーを押すと経路が表示される。
macOSでは、ターミナルで実行しても良いが、「ネットワークユーティリティ」も使える。スポットライトで「ネットワーク」と記入していけば、インクリメンタルサーチでアプリがすぐに表示されるはずだ。[Traceroute]タブを表示させればよい。
実行時には、経路を知りたいサーバーのURLを記入するが、Googleや利用中のプロバイダーなど適当なサーバーを記入すればよい。URLでも良いしIPアドレスでも構わない。覚えやすい「8.8.8.8」というIPアドレスを使うと良いだろう。これはウェブサーバーではなく、Googleの公開DNS[*2]サーバーのIPアドレスだ。
実行すると、経路のIPアドレスが順次表示される。もし最後までたどり着かなくても気にしなくてよい。結果表示された経路の読み方は次回お教えしよう。
[*1]……「-d」を付けると名前解決をしなくなるので実効速度が速くなる。付けなくても遅くなるだけで問題はない。もし入力したURLからIPv6の経路結果が表示されてしまったら、「-4」も付けて実行してみよう。IPv4の使用を強制できる。
[*2]……DNSサーバーとは、IPアドレスとURLを関連付け、名前を解決してくれるもの。ここで使っているURL「www.google.co.jp」のIPアドレスは「172.217.161.195」になる。これを変換してくれるサーバーだ。
今回の教訓(ポイント)
二重ルーター状態のチェックには、ネットの経路を調査する「Traceroute」を使う
スマホでは「Traceroute」を実行するアプリを活用しよう。
「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!」連載記事一覧
- 第1回:「ギガ」を減らしたくなきゃ、自宅Wi-Fiルーターを使え!
- 第2回:「Wi-Fiルーター」ってそもそもナニ?
- 第3回:Wi-Fi速度アップのキモ、複数アンテナを駆使する「MIMO」とは?
- 第4回:スマホのWi-Fi性能をチェックするには?
- 第5回:スマホ通信の高速化のためには自宅の回線も「ギガ」に
- 第6回:Wi-Fiとルーターは別のもの?
- 第7回:失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(1) 国内メーカーと海外メーカー
- 第8回:失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(2) iPhoneユーザーにはApple製品がオススメなの?
- 第9回:失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(3) 高性能Wi-Fiルーターの選択もアリなのか考える
- 第10回:Wi-Fiルーター開梱の儀
- 第11回:Wi-Fiルーターをネット回線に接続するときの注意点は?
- 第12回:とりあえずの初期状態でWi-Fiに繋がってみよう。そのまま使い続けは厳禁
- 第13回:Wi-Fiルーターでインターネット接続設定をするコツ
- 第14回:ボタンプッシュを使ったWi-Fi接続設定を使ってみる
- 第15回:Wi-Fiの「SSID」について少し知っておきたい心がけ
- 第16回:Wi-Fiの暗号化方式・暗号化キーについて少し勉強しておきたいこと
- 第17回:Wi-Fiルーターの「IPアドレス」を忘れたら?
- 第18回:Wi-Fiの「SSID」ネーミングの注意点、周囲に発信しているものだということを意識しよう
- 第19回:長くランダムなWi-Fi暗号化キーを設定するコツ
- 第20回:Wi-Fiルーターが壊れたときに役立つ「設定ファイル」の保存方法
- 第21回:“ギガ”を無駄に減らさない自宅Wi-Fiを活用する設定とは
- 第22回:新たに設定したWi-Fiルーターにうまく繋がらないときの対処法
- 第23回:家族のスマホWi-Fi接続を簡単に済ませるとっておきテク
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- 第30回:ファームウェアのアップデートをZIPファイルから行うには
- 第31回:Wi-Fiルーターの時刻を自動で合わせる
- 第32回:スマホの時刻を自動で合わせるには
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- 第34回:もしかして、Wi-Fiが二重ルーター状態になってない?