うーん。
実はクオリティだけで言えば、今年最高かも知れない。
作画・美術・CG、そのどれもが隙がなく、画面内で完璧にコントロールされている。
その腕を世に知らしめただけでも、監督の石田祐康にとっては意義深い仕事となったかも知れない。
しかしなぁ。
観てて思い出したのが、ハイティング=RCOの演奏。
技術的には完璧だが、何も心に残らない。
もうひとつ思い出したのは、『私の優しくない先輩』をやった時、プロデューサー他周りのスタッフに口酸っぱく言われたこと。
「今の監督は画作りばかりにこだわって、肝心の芝居が全然付けられない!監督は絶対芝居に集中してください!画作りはこちらでやりますから!」
そういうことなんだなぁ、と。
森見作品なので、キャラの感情を追うのが非常に難しいのだろう。
しかしそこはアニメなんだから、変にテンポで逃げずに丁寧にやってほしかった。
過度にリアリズムにこだわった絵作りも、作品に相応しかったのかどうか。
森見作品独特のシュールリアリズムが生きてこない。
結論を言うと、森見登美彦って実は実写の方が上手くいくんじゃね?ということ。
その収穫があっただけでも、良しとしよう。