外国人:借金返せず不法残留 留学生の過酷な現実

08.30 09:52 毎日新聞社

 看護師として働く夢を追って来日したベトナム人の女子留学生(25)が先月19日、奈良地裁で出入国管理法違反罪(不法残留など)で懲役2年、執行猶予3年の有罪判決を受け、1週間後に母国に強制送還された。公判では日本語学校で学ぶ外国人の過酷な現実が浮かび上がった。【数野智史】

 留学生は2015年1月に来日し、2年間の予定で宮崎県内の日本語学校で学び始めた。ベトナムで看護師の資格を取得しており、将来は日本の医療機関で働くのが夢。仲介業者に支払う代金125万円は親の借金で賄った。最低賃金が月2万円に満たないベトナムでは大金だが、「アルバイトしながら借金を返せる」との現地業者の説明を信じた。

 ところが来日直後から厳しい現実にぶち当たる。アルバイト先には、希望したわけではないのに日本語学校の系列の介護施設を指定された。制限時間内の週28時間の勤務をこなしたが、「寮費」などの名目で天引きされ、残ったのは月2万円。「借金が返せず、金融機関に実家を取り上げられてしまう」。危機感を募らせ、寮から失踪した。

 兵庫県尼崎市に移り、ホテルや飲食店でのアルバイトを掛け持ちした。インターネットで偽造在留カードを買い、アルバイト先に提出。警察や入国管理局に見つからないように注意しながら、多い時には月に18万円を稼ぎ、13万円を借金返済に充てたという。ところが今年4月、奈良署が別の事件の捜査でこの留学生の不法残留を知り、自宅を訪れて逮捕した。

 問題の背景にあるのが深刻化する人手不足だ。働き手としても期待される留学生を受け入れる日本語教育機関は、2014年に485校だったのが、17年には3割増の643校。施設の急増に伴ってトラブルも増加傾向にある。日本語学校で作る「日本語教育振興協会」の高山泰専務理事は「留学生には日本で生活するために必要な費用なども含めて正確な情報を伝えるよう指導しているが、現地のブローカーを通すと誤った情報が伝わるケースもある」と指摘する。

 「また日本に来ますか?」。留学生は公判で弁護人から聞かれると、目に涙を浮かべながら通訳を通じて「もう二度と日本に来ないので、許してください」と訴えた。

 飲食店の元同僚らは「無遅刻・無欠勤」「回遊魚のような働き者」「日本人以上に勤勉」と仕事ぶりを高く評価していた。元上司の男性店長(66)は公判を傍聴し、「真面目な留学生らを不法残留といった犯罪に向かわせてしまう日本社会の責任もあるのではないか。本当に悪いのは彼女じゃない」と、やるせない思いを吐露した。

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三重:「伊賀忍者」が北米に見参 日本ブランドを発信

08.30 09:06 毎日新聞社

 三重県伊賀市の「伊賀流忍者博物館」で実演ショーをしている「伊賀忍者特殊軍団 阿修羅(あしゅら)」のメンバーが外務省の「日本ブランド発信事業」で9月1~8日に米国各地とカナダを「忍者講演」で巡る。派遣される阿修羅の浮田知義さん(32)は「言葉による忍者の説明だけでなく実技も見せる。忍者を通じて伊賀のことも知ってもらいたい」と抱負を語る。【大西康裕】

 外務省のブランド発信事業は日本への関心や理解を深めてもらおうと日本を代表する各分野の専門家を派遣する。博物館を運営する伊賀上野観光協会によると、浮田さんは、父で阿修羅代表の和貴さん(58)に5歳の頃から英才教育を受けた将来有望な「若手忍者」。阿修羅の一員として海外公演の実績も豊富で、派遣される専門家に選ばれた。

 講演は約1時間英語で行う。「講演に応じた忍者の実技を披露するには相方が必要」として、阿修羅の費用負担でメンバーの小西徹さん(30)が同行する。

 日程は今月31日に日本を出発。9月1日の米国ミズーリ州から始まり、カナダのバンクーバーのほか、米国のフロリダ、テネシー、ケンタッキーの各州も巡り、現地の大学や高校など10カ所で講演をして同10日に帰国する。

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サンリオ:ハローキティが「ユーチューバー」デビュー

08.30 08:00 毎日新聞社

 サンリオは30日、人気キャラクター、ハローキティの公式YouTube(ユーチューブ)チャンネル「HELLO KITTY CHANNEL(ハローキティチャンネル)」を開設、コンテンツ配信を始めた。

 サンリオによると「『やりたいことは全部やる!』と、さまざまなことにチャレンジしてきたハローキティが、『世界中の人たちにも、自分らしく生きてほしい』という思いを届けたいと、YouTubeでメッセージを発信する」ことにしたという。

 配信開始にあたり、ハローキティのメッセージを公表。「YouTubeで『ハロー』っていうのに、ずっと憧れていました。今までいろんなチャレンジをしてきたけど、ユーチューブ・クリエーターは未知の世界。ドキドキや不安もあるけど、自分らしくやりたいことを、キティの言葉で発信していきます!」とアピールしている。

 9月には、熊本県のキャラクター、くまモンも「YouTubeデビューする」と発表されている。最近増加しているVチューバー(バーチャル・ユーチューバー)と同様に、Cチューバー(キャラクター・ユーチューバー)も注目を集めそうだ。【村田由紀子】

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富田林逃走:監視緩い署員の勤務日狙う? シフトメモに印

08.30 01:15 毎日新聞社

 大阪府警富田林署で勾留中の容疑者が逃走した事件で、樋田淳也容疑者(30)が留置場担当者の勤務シフトを記したとみられるメモに、特定の署員名だけに印が付けられていたことが、捜査関係者への取材で明らかになった。逃走当日にもこの印があり、府警は特定の署員の勤務日を狙って逃げたとみている。

 樋田容疑者は今月12日夜、署内で弁護士と接見後、面会室のアクリル板を壊して逃げたとして指名手配。署は約1時間45分間、接見が終わったことに気付かなかった。

 捜査関係者によると、樋田容疑者の逃走後、留置場のトイレ付近にメモが隠されているのが見つかった。同署の留置場は3交代制で署員2人ずつが担当。メモには8月の勤務シフトがカレンダー形式で書かれており、特定の署員名に印が付けられていた。府警は、監視の緩い署員を見極めて計画的に逃げたとみている。【村田拓也、伊藤遥】

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アジア大会:小池、肩でつかんだ「金」 陸上男子200m

08.30 01:00 毎日新聞

 ジャカルタ・アジア大会は第12日の29日、陸上の男子200メートル決勝があり、小池祐貴(ANA)が20秒23(追い風0.7メートル)で金メダルを獲得した。この種目で日本勢の金メダルは2006年ドーハ大会の末続慎吾以来。飯塚翔太(ミズノ)は20秒68で6位だった。

 まだ日本一も経験していない社会人1年目で23歳の小池が一足飛びにアジアの頂点に立った。楊俊瀚(台湾)とは、わずか1000分の2秒、距離にして約2センチ差。小池は「金メダルを目標で口にしていたけど、本当に実現するとは。あぜんとして実感が湧きません」と初々しく喜んだ。

 後半の直線に入ると右隣のレーンの楊俊瀚とトップ争い。ほぼ並走状態で互いに一歩も譲らない。「150メートルで足が動かなくなった。とにかく気合で腕を振った」。フィニッシュラインが見える。「先に肩を出したら勝てる」と前のめりで突っ込む。楊俊瀚も考えたことは一緒だった。フィニッシュ直後はともにトラックに激しく倒れ込んだ。

 左肩と左膝をすりむいて祈るような気持ちで結果を待つと、先輩の飯塚や観客から「小池勝ったよ」と言われて勝利を知った。何度も拳を突き上げた。

 慶大1年だった14年世界ジュニア選手権の200メートルで4位入賞するが「目標が途切れてしまった」と低迷期に入った。1人で考えて練習していたが限界を感じ、大学4年時に慶大のアドバイザーだった走り幅跳び元日本記録保持者の臼井淳一さんに指導を頼んだ。

 走るフォームに気を取られすぎていた小池は「形は人それぞれ。感覚が大事だよ」という臼井さんの言葉で練習への向き合い方が変わったという。記録より自分の感覚を研ぎ澄ませる。この日も競技場に入る前はいろいろなプランを考えていたが「何か違う。自分の感覚を信じて好きなように走ろう」と吹っ切れた。大舞台でも力を発揮できた要因だ。

 桐生祥秀(日本生命)と同学年。高校時代は全国高校総体などで常に桐生が壁となり、2位が定位置だった。桐生が到達していないアジア王者に先になったが「(桐生は100メートルが主で)種目が違う。僕は僕で200メートルで積み重ねてきた」と自負を持つ。次の目標に来年のドーハ世界選手権を挙げて「あとふた伸びすれば決勝に進出できる」と意気込んだ。勢いに乗っている小池ならば不可能とは思えない。【小林悠太】

法務省:無戸籍解消へ研究会 母子の「嫡出否認」検討も

08.30 00:00 毎日新聞社

 出生届が出されず戸籍に記載のない「無戸籍者」の解消に向け、法務省は10月にも、民法見直しを検討する有識者研究会を発足させる。無戸籍者問題は、婚姻中の妊娠は夫の子とみなす民法の規定(嫡出推定)が原因とされ、研究会は、嫡出推定を否認する訴えを女性や子も起こせるようにできるか検討する。

 民法は「離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子と推定する」と規定。ドメスティックバイオレンス(DV)などで夫と別居中の女性が別の男性との子を出産しても、戸籍には夫の子として記載される。推定を覆す「嫡出否認」の訴えを起こせるのは夫か前夫に限られ、女性が出生届を出すのをためらって子が無戸籍になるケースが多いとされる。

 嫡出否認の訴えは「夫が子の出生を知った時から1年以内」に起こす必要がある。研究会では、女性や子に提訴権を認めた場合の提訴期間や、子に代理人を認めるかどうかなども焦点となりそうだ。また、生殖補助医療で出生した子の親子関係の法整備についても議論する見通し。

 法務省によると、判明しているだけで全国に715人(10日現在)の無戸籍者がいる。【和田武士】

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中部電力:「家電ごと」電気代見える化 新サービス導入

08.29 22:33 毎日新聞社

 中部電力は29日、エアコンや冷蔵庫など家電ごとの電気使用割合や電気代の推計値が分かる新サービスを9月2日から始めると発表した。計測器を用いず、同社が独自開発した計算式で、家族の人数や気温などを勘案しながら算出するのが特徴。大手電力では初の取り組みという。

 担当者は「待機電力の抑制や古くなった家電の買い替えなど、省エネのヒントにしてほしい」としている。

 新サービスは、中部電の会員サービス「カテエネ」に入り、電気使用量を自動集計する次世代電力計「スマートメーター」が設置されている家庭が対象。利用者が同社ホームページで、家族の人数や家の形態・広さ、冷蔵庫、エアコン、給湯器、炊飯器などの有無と数を入力すると、空調▽冷蔵庫▽給湯▽調理器具▽照明▽待機電力▽その他--の7項目ごとに、電気使用量の割合や料金の推計値が表示され、前年との比較もできる。

 算出の際は、各家電の消費電力量や利用時間の傾向などのデータに加え、気温や日の出・日の入り時間なども加味する。現在は実測値と比べて10~15%程度の誤差があるが、利用者が増えれば関連データが蓄積され、精度向上が見込めるという。【小倉祥徳】

岐阜・5人死亡:暑さの危険認識か 故障後患者の一部移動

08.29 21:50 毎日新聞社

 岐阜市のY&M藤掛第一病院に入院していた高齢患者が相次いで死亡した問題で、26日夜~27日午前に死亡した80代の男女4人に加え、84歳男性が28日夜に死亡したことが29日明らかになった。いずれも熱中症で死亡した疑いがあり、28、29日に立ち入り検査した岐阜市は、病院側がエアコンの故障した3、4階に患者を残していることの危険性を認識していたとの見方を強めている。【沼田亮、高井瞳、駒木智一、高橋龍介】

 病院での死者は5人になった。いずれも病院から岐阜県警への通報はなかった。84歳男性は当初、3階にいたが、27日に2階に移っていた。県警は押収したカルテなどを分析し、業務上過失致死容疑を視野に死亡の経緯を調べている。

 29日に記者会見した岐阜市の担当者によると、病院は3、4階のエアコンが故障した20日以降、遅くとも27日までの間に、3、4階に入院していた患者11人をエアコンの利く別室に移動させていた。

 病院の藤掛陽生(ようせい)院長は28日、報道陣に「エアコンが嫌いな人もおり、亡くなった4人は移動させていなかった。病院として問題があったとは考えていない」と説明している。しかし市は、実際に11人を移動させていたことから「患者を3、4階に残すことが望ましくないとの判断が病院側にあったことをうかがわせる」と指摘する。

 市によると、病院の夜間の当直体制は看護師1人と看護補助者1人だった。巡回は2~3時間ごと、重篤患者は1~2時間ごとで、脈拍や体温などを記録する。各フロアにある温度計や湿度計の数値も記録していた。

 26日夜~27日午前に病院で4人が相次いで死亡したのを県警が把握したのは、27日午後8時半に関係者の通報を受けた時。5人目が死亡したのは、県警が28日午後に4人の死亡を発表した後だったが、病院は県警に通報せず、5人目の死者の成年後見人が県警に相談して発覚していた。

 これに関し市は、先に死亡した4人について「数値を記録したカルテに不審点があれば、医師が県警に通報したはず。不審死ではないと判断したため、通報しなかったのだろう」としている。

 市は会見で、病院が29日、3、4階の病室に残っていた7人の患者全員をエアコンのある病室に移したと公表した。一方で男性の入院患者1人が同日、転院したという。新たな患者を今後受け入れないよう病院を指導したことも明らかにした。病院は常勤医師(藤掛院長)1人、非常勤医師9人、常勤看護師2人、非常勤看護師3人がいるという。

転院訴える家族 29日午前、岐阜県大垣市から入院中の母親(76)の様子を見に来た三男(44)は、病院前で「心配になり、転院させようと思って来た。転院には紹介状が必要だが、病院はバタバタしていて難しそうだった」と話した。

 母親は脳梗塞(こうそく)で半身まひになり、流動食しか取れず、約2年前に入院した。男性は「エアコンが壊れてすぐに3階から2階に移ったと聞いた。エアコンが作動している2階は移ってきた患者さんで混み合い、ベッドが約10センチほどの間隔で並んでいた」と語った。

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サマータイム:EU市民8割超が廃止望む 政策変更検討も

08.29 21:44 毎日新聞社

 【ブリュッセル八田浩輔】サマータイム(夏時間)廃止の是非を検討している欧州連合(EU)のパブリックコメントで、8割以上が制度の廃止を支持したと独メディアが報じた。夏時間を統一的に採用してきたEU域内では健康や睡眠への悪影響を示唆する研究成果などへの関心が高まっており、パブコメの結果を受けて今後廃止に向かう可能性が出てきた。

 EUでは健康への影響などから加盟国フィンランドが夏時間の廃止を提案。欧州議会は2月、EU行政執行機関の欧州委員会に対し、夏時間がもたらすさまざまな影響を徹底的に評価し、必要な場合は改正も検討することを求める決議を採択した。これを受けて実施された欧州委のパブコメは今月16日に締め切られ、過去最大となる460万件が全28加盟国から寄せられていた。

 独地方紙ウェストファーレンポストは28日、パブコメでは8割以上が現状の制度の廃止を求め、約300万件はドイツからの意見だったと報じた。ドイツで行われた別の世論調査では74%が夏時間の廃止を望むとの結果が出ている。

 欧州委員会の報道官は29日の記者会見で、パブコメの結果は「近く発表する」と述べるにとどめた。報道官は、結果を参考に欧州議会などと連携しながら政策変更の是非について検討を進めると説明する一方、「住民投票ではない」として、パブコメのみで廃止を判断しないとの考えも示した。存廃については域内で統一した対応をとる見通しだ。

 EU加盟国が共通して採用する夏時間は、3月の最終日曜日から時計を1時間早めて10月の最終日曜日に元に戻す。欧州では夜間のエネルギー消費を減らすことなどを目的に第一次大戦中に一時的に採用され、1970~80年代に再導入された経緯がある。日本政府は2020年の東京五輪・パラリンピックの「暑さ対策」として、夏時間の導入の可否について検討を始めている。

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アジア大会:小池が「金」 陸上男子200m決勝

08.29 21:18 毎日新聞社

 ジャカルタ・アジア大会は第12日の29日、陸上の男子200メートル決勝があり、小池祐貴(ANA)が20秒23(追い風0.7メートル)で金メダルを獲得した。この種目で日本勢の金メダルは2006年ドーハ大会の末続慎吾以来。飯塚翔太(ミズノ)は20秒68で6位だった。

 社会人1年目で勢いに乗る小池がアジアの表彰台まで駆け上がった。6月の日本選手権で100メートル4位、200メートル2位とブレーク。173センチ、74キロのがっちりとした体格で、得意とする前半のコーナーから全力で飛ばしていく。積極的な走りを決勝でも見せた。

 慶大1年だった14年世界ジュニア選手権の200メートルで4位入賞するが「目標が途切れてしまった」と低迷期に入った。1人で考えて練習していたが限界を感じ、大学4年時に慶大のアドバイザーだった走り幅跳び元日本記録保持者の臼井淳一さんに指導を頼んだ。

 走るフォームに気を取られすぎていた小池は「形は人それぞれ。感覚が大事だよ」という臼井さんの言葉で練習への向き合い方が変わったという。厳しい練習で追い込むより、一本一本課題を見つけて解決していく。記録より自分の感覚を研ぎ澄ませる。「昨日より良い走りを毎日していくだけ」とシンプルな思考で練習に取り組むことが、今季の好調につながっている。

 7月14日にベルギーで行われたレースで日本歴代7位の20秒29をマークした。「海外の試合は盛り上がる。楽しくなってスピードが出る」というノリのいい性格だ。アジア大会の大舞台でも見事に力を発揮した。【小林悠太】

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