朝鮮日報

【コラム】「文大統領、やりたかったことは全部やったでしょ?」

 韓国の製造業が現在の地位を築けたのは、安価で良質な電力と水のおかげだった。ところが、電気どころか水のことも安易に考えている。政権発足間もなく、4大河川の堰(せき)を開くと言いだした。堰の撤去論まで飛び出した。自然河川が復元されれば、水質が改善するとも主張した。現政権は4大河川事業の推進前、韓国のほぼ全ての河川がドブ川化していた現実に目を向けようとしない。4大河川事業によって川が川らしくなり、貴重な水の量が8億トンから16億トンに増えた。周辺の貯水池まで含めれば、12億トンも水資源が増えた。

 1年に雨季は1-2カ月という国では水は大きな国富だ。堰を開放した結果、川底が現れ、水質はさらに悪化した。4大河川の堰は干ばつの際の最後のとりでであり、洪水の際には安全弁になる。現政権は重要な水管理の権限を国土交通部(省に相当)から環境部に移管した。水問題をどれほど軽視しているのかを端的に示している。

 マンションとの戦争も安易に考えた。規制と税金でコントロールすればよいのに、悪の歴代政権はそれを行わなかったと考えたのだ。その結果、ソウルでは住宅価格がさらに上昇し、地方はさらに冷え込んだ。市場の一方を押せば、一方が飛び出すものだ。不動産保有税の引き上げでマンションとの戦争に一時的に勝利しても、建設景気が冷え込み、雇用と成長率を損ねる。大学修学能力試験における絶対評価の公約も入試問題を軽視したものだ。学習負担が軽減され、学生と保護者が歓迎すると期待したのだろうが、ふたを開けてみれば、世論の反発を受け、事実上放棄された。仮想通貨問題も安易に禁止論を持ち出して失敗し、労働時間短縮にも副作用が表れている。

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