内閣府沖縄担当部局は、2019年度沖縄関係予算の概算要求をまとめ、財務省に提出した。

 ひと言でいえば、30日の県知事選を強く意識した政治色の強い概算要求である。

 要求額は、県が要請していた3600億円規模を大幅に下回る3190億円にとどまった。18年度の要求額と同額となっている。

 14年度の1758億円をピークに4年連続で減額が続く一括交付金は、18年度当初予算に比べ65億円増の1253億円を要求した。ただし、一括交付金の増額規模は県の要望を下回る。

 19年に期限を迎える税制の優遇措置についても、3年延長を求める県の要望をしりぞけ、2年間の延長を求めることになった。この「さじ加減」をどう理解すべきか。

 露骨な減額要求を行えば県民の反発を招き、選挙戦にマイナスになる。概算要求額を増額すれば、辺野古埋め立ての承認撤回に「ごほうび」を与えたことになりかねない。

 概算要求に、政治的な損得勘定の匂いがぷんぷんしているのは、こうした背景があるからだ。

 問題にしなければならないのは、内閣府幹部の以下の発言である。

 「概算要求は前年度と同程度とし、様子見をする。新知事の辺野古移設への態度によって年末の予算編成で増減することになる」(8月23日付朝日新聞)

 こんなことを平然と言ってのける神経にあぜんとする。

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 沖縄特例の一括交付金は、使い道の自由度が高く、子どもの貧困事業や離島の活性化事業などにも活用されている。県や市町村の中には拡充を求める声が強い。

 減額が続けば市町村の事業に直接影響することを承知で、官邸と内閣府は、一括交付金を減額し続け、翁長県政に揺さぶりをかけてきた。

 それに輪をかけるような今回の問題発言である。

 沖縄振興特別措置法と沖縄21世紀ビジョン基本計画に基づいて実施されている沖縄振興の趣旨をゆがめるものであり、官邸の空気を反映したものと受け取らざるを得ない。

 このような発想で沖縄関係予算が削られたり増えたりすれば、沖縄の自治は成り立たず、地域の民主主義も成立しない。

 懸念されるのは「安倍1強」体制の下で、このような強圧的な発言が官僚の中から平然と出てくることである。おごりというしかない。

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 現在の沖縄振興特別措置法に基づく沖縄振興計画と沖縄21世紀ビジョン基本計画は、21年度に10年間の期限を迎える。4年後の22年5月15日は「復帰50年」という大きな節目の年でもある。

 9月の知事選で選ばれる新知事は在任中に二つの大きな節目を迎えることになる。

 内閣府に計上される沖縄関係予算はどうあるべきか。基地維持装置とも評される沖縄振興体制は今のままでいいのか。税制の優遇措置をいつまで要請し続けるのか。

 沖縄の将来像を県民全体で議論するときだ。