生産性よりも洗練されたデザインを優先する人に。
ラップトップを選ぶときのポイントって人によってふたつに分かれるのではないでしょうか。生産性重視か、デザイン重視か。軽量で生産的でエレガントなラップトップを手にいれるのが難しいなら、とことん洗練とラグジュアリーにこだわってみるのも悪くないかもしれません。
現在開催中の家電見本市のIFAにて、Lenovoから発表されたのは「Yoga Book C930」。e-inkのセカンドディスプレイというのが気になります。米GizmodoのAlex Cranzに「iPadにWindowsが入っているようなラップトップ」と言わしめた、このラグジュアリーなラップトップのハンズオン、ご覧ください~。
覚えていますか。
2016年に出たLenovo Yoga Book(レノボ・ヨガ・ブック)は最高に注目を集めましたよね。ディスプレイは洗練されていたし、ペンでお絵かきできるキャンバス使いのキーボードがなんともいえず画期的だったし、わずか0.38インチ(9.6mm)という、当時業界最薄記録を打ち立てたボディもインパクトありました。 さらに、お値段は良心的な500ドル(5万5000円)。でもこのYoga Bookは残念なことに欠点が満載で、お金がありあまっているガジェット好き以外の人には、あまりおススメできないシロモノでもありました。でも、この後続機種となる0.39インチ(9.9mm)のYoga Book C930には「e-ink 」のセカンドディスプレイがついて、1000ドルという高値にも関わらず、何をさておいても欲しくなってしまうようなかっこよさがあります。
昨今、1000ドルも出せば立派なラップトップが買えます。正直、薄っぺら~いLenovo Yoga Bookよりもパワフルで機能性にあふれた機種はごまんといるのです。でもでも、ここで声を大にして言いたいんですが、このLenovo Yoga Book C930には、スマートな機能がたくさんつまっているんですよ。
まず、Yoga Bookを開いたとき。 前機種のYoga Bookは確かに超薄でしが、むしろ薄すぎて開くのにちょっと手間取る感じでした。常に両手を使って「よいしょ」って開ける感じです。面倒くさいんです。机でちょこっと使いたい時にも開けるのにひと苦労なんです。それを受けてか、新しいYoga Book C930には「ノック」機能がついています。2回ノックするとパカッと開いてくれるんですよ。
Yoga Book C930を開いたら、目の前には解像度2,560×1,600の10.8インチが広がります。それはそれは美しいディスプレイで、まさに1,000ドルという値段にふさわしいクオリティと言えましょう。
一方タッチスクリーンキーボードはいただけません。正直Lenovo製にしては1,000ドルの価値に見合わないキーボードですね。 Lenovoのラップトップのキーボードはいつもとてもクオリティがいいんです。タイピングする感触が「快感」になるくらい、いいんです。 それに対してYoga Book C930は打鍵感のないフラットなキーボード。フラットなキーボードは前の機種と同じですが、新型のYoga Book C930ではEMRのタブレットから、10.8インチ(1080p)の「e-ink」ディスプレイになっています。
これはもうキーボードと呼べないですよね。これで長時間作業したらどんな感じなのかな、というのが気になるところですが。ちょっとだけ使ってみた感触からいえば、iPadのビルトインキーボードを使っているみたいです。ちょっとだけ触るくらいならなんてことないですが、長い時間タイピングを続けていたら、たぶんストレスがマックスになりそうな予感。
Lenovoは、e-inkだからキーボードのカスタマイズも簡単、とのたまっています。Yoga Book C930では、カスタマイズはキーボードの言語を変えることくらいにとどまっていますが、器用な人なら、やろうと思えば自由にカスタマイズが可能でしょう。
キーボードがキーボードモードでないとき、付属のWacomペンでお絵かきができるパッドに早変わりします。デモでは、Microsoft OneNoteアプリを走らせてe-inkディスプレイでお絵かきしてました。 描画すると上のカラフルなディスプレイに絵が現れます。もちろん他のアプリでも使えるはずだし、メモにタイプするのでなく文字を描くなら、360度のヒンジを使ってe-inkディスプレイをノートパッドとして使えます。ノートは直接OneNoteに保存しておけます。
キーボードやペンでメモ書きするのがそれほど魅力に感じない人もいるかもしれません。そんな人にはe-inkディスプレイは読書リーダーとして活躍してくれます。
PDFや電子ブックなどのセカンドディスプレイとして、幅広のベゼルと超軽量な身軽さは、eリーダーとしては十分。Kindle DXをちょっとでかくした、といった感じを想像していただければ。まあ、実際読書したりPDFを確認するのにわざわざこれを引っ張り出してこなくてもいいかなとも思いますが。でもe-inkディスプレイをWindows 10ラップトップで使える点は、私は大好きです。
ただ、パワーにはちょっと欠けます。Yoga Book C930には第7世代Yシリーズのプロセッサを搭載。SSDは最大256GB。Yoga Bookでは大した速度でないAtomプロセッサだったことを考えると、大幅な進歩ですが。でもそもそも、この機種は生産性を狙ったものではありません。e-inkディスプレイですべてのメモを保存したり、メールをすべてペンでこなすなど工夫を凝らさない限りは、生産性は期待できないでしょう。デュアルディスプレイ、 LTEサポート、公称10時間のバッテリー寿命を備えたYoga Book C930は、豪華さをアピールしたラグジュアリーな機種なんです。iOSでなくWindows 10を搭載したガジェット力満載のiPadを想像していただくとわかりやすいかと思います。
Lenovo Yoga Book C930は2018年10月に出荷される予定です(編注:欧州、アフリカでは9月末との情報。日本での発売情報はなし)。販売価格は1,000ドル。ペンシルつき、キーボードケースつきの10.5インチのiPad Proが同じくらいの値段ということを考えると、仕様に対して高額なのは火を見るよりも明らか。これは、もはやiPadがガジェット欲をそそらなくなってしまった人におススメする高級なおもちゃ、と言ったところでしょうか。