キャラメルボックスのゴールデンスランバーが全然おもしろくなかった

こんにちは!クリスマスには一軒家が欲しいです!ガストンです!

キャラメルボックスという劇団のゴールデンスランバーという演劇を見てきました!全然おもしろくなかったです!感想レビュー!

説明ゼリフのオンパレード

いやもうね、説明ゼリフが多い、っていうか、説明ゼリフしかない。まず舞台美術が皆無です。全く何もありません。シーンの転換時に大きな柵を裏方が持って交差するんだけど、それだけ。ほんとに何もない。なにもないのに、病院とか道路とかアパートとかとにかく場面が多い。それらを全て口で説明する。説明係みたいな人が一人いて(序盤で死んだ人がこれになる)、この人がほんとに、登場人物の誰よりもセリフが多い。ずーーーっとことあるごとに主人公の横で説明する。「路地から離れた空き地に高さ2メートルの雑草が生い茂っている場所がある。雑草をかきわけて前に進む。雑草が生い茂り前は全く見えない」とか平気で説明する。

いやいやいや!演劇だよね!?それは、映画だったら絵で見せて一発で伝わるけど演劇だと見せようがないから仕方なく口で説明する、っていうダサいやつですよね?本来よくないこと・・だよね?え?いいの?

と思いながら聴いてました。だって説明するんだよ?絵で見せてよ!なんでわざわざ池袋まで出向いて、劇場の2階まで上がって、何十メートルも離れたところにいる顔もよく見えない役者が「状況説明しまくる朗読劇」を聞かなきゃならんのだ!?これはどういうジャンルの作品だ!?ってなりました。演劇って目で見て耳で聴いて楽しむものでしょうが。

もう説明ゼリフのオンパレード。「車に乗る」とか「エレベーターに乗る」とか「マイクを買った」とか「アパートの鍵がドア近くの消化器の下に隠してあるのを見つける」とか全部言葉で説明しやがる。やめてくれ・・劇中何度耳を塞ぎたく鳴ったことか・・耳が腐る・・

例えばあたしが自分で脚本書く時ね、「演劇では説明できないこと」を避けていかに書くか、によく頭を悩ませるわけよ。演劇では「手元」で起こる出来事ができない。「ケチャップで書かれた名前をくずさないように端からオムライスを食べる」とか、「手の平にマジックで書いたメモが汗で落ちて読めなくなっている」とか「漢字の書き順を間違えているのを横から指摘する」とか、全部演劇では無理。できない。無理にやろうとしても、ダサくなる。だからそれらの動作で表現したいことを他の動作で表現できないか考える。

いつもあたしが苦労してるのを彼らは平気で説明してすっ飛ばしやがった!説明せずにどうやるかをこっちが真剣に考えているというのに・・ぐぬぬ・・

だってむかつかない!?みんなむかつかないの!?役者のマイムの下手さをカバーするかのように説明担当役者が横で「鍵は〇〇が言っていたとおり、車の右の前輪の下に置いてあった。△△は車の鍵を開け、乗り込んだ」とか説明するのを黙って見過ごせというのか!?オレには無理だ!

原作殺しもいいとこ

で、ゴールデンスランバーは原作があるのよ。伊坂幸太郎の小説で。で、堺雅人主演で映画化もされてるのよ。あたしは読んだし、見たよ。どっちも最高に面白かった。小説の方が3倍くらい中身があったので映画見た時は「はしょりすぎだろー!」って憤慨してたけど、まあ映画化するなら尺は足りないし、その中でよくまとめてていい映画に仕上がってたと思う。

はい問題は今回のキャラメルボックスによる舞台化。なんだあれは!パンフレットを読むと、作・演出の成井豊氏は「映画じゃなくて小説から直接舞台化したかった」という趣旨のことを書いていた。つまり小説→映画→舞台ではなく小説→舞台ということだろう。

でもそもそも、このゴールデンスランバーという作品が、2時間の舞台に収めるにはどう考えても尺が足りない。じゃあシーンを大幅に削りましょう、ってなる。「こことこことここがっつり見せて、後はがっつり消しましょう」という思い切りが必要だと思う。その思い切りが足りなかったんじゃないか。その結果がこの説明ゼリフのオンパレードなんじゃないか。

とはいえシーン減らしすぎて伏線回収も減らし過ぎたらこの作品そのもののおもしろさが消えてしまうんじゃないか。じゃあこの作品は舞台化には向いてないね。←自分で考えたらこういう結論に至った。だってそうじゃない?シーンの場所がとにかく移り変わりまくる。手元のシーンがめちゃめちゃ多い、舞台は現代の都心で、大掛かりな舞台美術での見せ場も特にない、びっくりする伏線回収はほとんどが手元のビジュアル(よく出来ましたのはんことか、痴漢は死ねの書き初めとか)。こんなに舞台に向いてない作品も中々ないだろ・・

やるならやるで、「舞台ならでは感」を感じたかった。「大変良く出来ましたのハンコ」と「痴漢は死ねの書き初め」は両方スクリーンにプロジェクターで写してました。そういうありきたりな演出やるくらいならその2つごっそり消せばいいじゃん・・美女と野獣のディズニーアニメを劇団四季が舞台化する時にそもそもベルの馬が登場しない、とかの脚本上の大きな変化で「なるほど」と言わせてほしかった。

主人公が主人公顔じゃない

主人公が主人公顔じゃない・・ちょっとチラシ見てくれ
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真ん中の人が主人公ね。なんか・・主人公っぽくなくない?僕はキャラメルボックスのファンでもなければ、今回キャラメルボックス自体が2回目なので、この役者さんが誰なのかも最初は知らなかったんだけど、この顔はどう見てもサブだろ・・正確には、舞台で見てみたら印象はこの画像よりも主人公ぽかったので、この写真のとり方がよくないのだと思います。下からあおったら大抵のイケメンと美女はちょっと残念な第一印象になると思うんですが・・なぜこの写真にしたのか。あとweb上にあったこれ↓

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もう悪役顔じゃない!?目元のシワ、これでいいの!?照明の色、これでいいの!?だめでしょ!

舞台上での主人公(畑中智行さんといいます)はやっぱり映画の堺雅人と比べちゃうわけですよ。演技が下手だな、とは全然思わなかったんだけど、ただ主人公のキャラ(真面目でいい人)を考えると、堺雅人さんのあの感じの方がそのキャラっぽさは出てたな・・声もかすれててうーん。

身内ネタクソかよ

クソとか言っちゃった。でもそれぐらい汚い言葉使わせてくれ。身内ネタはマジでクソだ。ついついやっちゃう気持ちはわかるけどさ。

暗殺された総理大臣の顔がスクリーンに映されるシーンあるんだけど(ちなみにニュース風の画面も作り込みが甘く、学生臭さが出ていた。もちろん学生じゃないけど)、そこで当然、全く知らないスーツ姿のおじさんの顔が首相の顔として表示されるんだけど、その瞬間にお客さんが結構笑ってた。おそらくファンにはわかる、キャラメルボックスの誰かなんだろう。知るかボケ。その瞬間に初見のこっちは置いてけぼり感食ったわ。しかも、総理の顔が映し出されるのが一度ならず二回あったからね。いや三回あったかもしんない。その度にお客さんは笑い、こっちは置いてけぼり感を食らう。誰でも楽しめるエンターテイメントじゃないのかよ・・

もう個人的には開始30分くらいで席を立って帰りたい勢いでした。前の日の夜は「明日はキャラメルボックスだ!劇中に寝落ちしないように早めに寝よう!」と思ってちゃんと寝てきたのに、今となっては逆に、劇中に寝れたらどんなによかったか。これからは初めて見に行く劇団の演劇はおもしろくなかったときの保険として基本寝不足で行こうと思います。おもしろかったら目は覚めるでしょ。

そこまであたしが楽しめなかったゴールデンスランバーでも、カーテンコールは4回もあるんですよ。800人の拍手が全然鳴り止まないんですよ。このお客さんたちは何にそんなに感動したのか・・ファンめ・・気持ち悪い空間だ。でも大体の人気劇団がそんな感じだ。やれやれ。やだやだ。総理の顔を身内の顔にしない、ってだけのブレーキを、なぜかけられないのか。本当にそこは「悪ノリ」で決まったんじゃなくて、幹部会議みたいなやつで「こっちの方がいいでしょう」と合意が出て決定してるんでしょうね?キャラメルボックスほどの巨大な劇団でもあんなわかりやすい身内ネタをしちゃう理由がよくわからない。

階段昇る途中のコメントが滑ってる

あとこれだけ言わせて!池袋のサンシャイン劇場って2階までいく階段がやたら長いのよ。で、その道のりをお客さんにちょっとでも楽しんでもらえるようにと、こんな貼り紙が貼ってあるのよ。
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ダサい!面白くない!すべってる!意味わからん!ない方がまし!じゃない!?何このフォント!学生かよ!もっと言うと美大生じゃなくて一般大生かよ!センスゼロかよ!もっと頑張れよ!

思った以上に長くなっちゃった。以上です。