あなたはカフェオレを知っているだろうか。コーヒーに牛乳を混ぜた、最高の飲みものである。
……なんて知ってますよね。失礼しました。しかし、こちらはご存知だろうか。「世の中には、カフェオレを飲めない可哀想な人たちがいる」ということを…。
インターネットユーザー。電子工作でオリジナルの処刑器具を作ったり、辺境の国の変な音楽を集めたりしています。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者。1980年岐阜県生まれ。
前の記事:「水冷服でクールな夏を(デジタルリマスター版)」 人気記事:「チーズ across ハンバーグ」 > 個人サイト nomoonwalk お腹が痛くなる何を隠そう僕のことである。コーヒーを飲むと胃が痛くなるのだ。味も香りも好きだが、飲めない。
コンビニのコーヒー売り場。僕を3人殺せる致死量である。
よっぽど仕事が忙しいときにだけ、「今日は気合を入れるぞ!」という気持ちでカフェインを摂ることがある。しかしそんな時もエスプレッソを飲むと死に至るので、これが限界である。
牛乳75%使用
本人としてはバリバリの気合全開モードなのに、傍目には優雅に午後を満喫しているようにしか見えない。(ちなみに栄養ドリンクも飲めない。カフェインに弱いのかもしれない。)
胃弱の救世主まあそういう、人にどう見られるかみたいな話はさておき。僕は普通にカフェオレが好きで、飲みたいのだ。でも体質がそれを許さない。たまに我慢しきれなくて飲むと、必ずほどなくして腹痛と後悔にさいなまれる。しかしこのたび、そんな僕のもとに救世主があらわれた。
デカフェ、つまりカフェインレスコーヒーである。 Amazonで届くタイプのメシア
スタバやタリーズにデカフェがあることは知っていたが、家で手軽に飲めるインスタントコーヒーのデカフェがあるなんて知らなかった。即買い、しかも2本買った。いま家に100杯分のデカフェがある。
今までずっと我慢していたカフェオレが、飲み放題なのだ。この喜びをどう表現するべきか。自分に舞踏の素養さえあれば、喜びの舞のひとつでも奉納したい気分である。 しかし残念ながら僕には舞踏の素養がなかったので、電子工作で表現することにしました。 カフェオレのための装置マグネティック・スティーラーという装置がある。ビーカーの中身を混ぜるための機械だ。ビーカーの中に混ぜたい液体と、小さい部品を入れる。この小さい部品は磁石にくっつく素材でできている。そしてビーカーの下で磁石を回転させると、ビーカーの中の部品も回って、液体をかき混ぜてくれるのだ。
液体が混ざる。まさにカフェオレにうってつけの装置。これを自作して、喜びの表現と代えさせていただこう。 材料。100均のネオジム磁石と、透明下敷き。そしてパソコン用のファン。ファンはこの記事で買ったジャンクPCのあまりだ。
磁石を回転させるために、PC用のファンを使った。ファンのまわりに枠があるので、コップを置く台を作らなくて済むのだ。(すごい名案を思いついたような顔をしていますがこちらを参考にしました。)
磁石をファンに貼り付け、透明下敷きでカバーをする
磁石は2個使うのだが、ネオジム磁石は強すぎて、パッケージから出すとすぐに磁石同士でくっついてしまう。小さいのでファンへの接着も難しい。パッケージの台紙ごと切り抜いて貼るのがコツである。
コップに入れる方の部品。ストローと、こちらも磁石×2、あとゴムチューブの破片
磁石がくっつかないようにゴムチューブをスペーサーに使う
混ぜるだけならこのままでも行けそうだけど、飲み物に使うので、できるだけ衛生的な状態を保ちたい。ということで…
ダメもとでストローの両端をアイロンがけしてみたら、バッチリ密封できた
これで完成だ。15分くらいであっさりできてしまった!
電源をつないで、動かしてみる。 コップの中に静止していたストローが、ファンが回転しはじめると同時にクルクル回りだした!
おお、一発成功じゃん…!と思った瞬間…
クラッシュした
コップの向き不向きこのあとしばらく試行錯誤したのだが、何のことはない、問題は単にコップの形状だった。上のGIFのコップは100均で買ったプラコップで、底が山型に盛り上がっている。それにストローが引っかかっていたのだ。
コップの底が平らで、かつ磁石に近すぎず遠すぎずの適度な厚みである必要がある。その結果、選ばれたコップがこちらだ。 この厚みがベスト
あと、コップを乗せるとフタがたわんで磁石を押さえつけてしまうので、スペーサーとして四辺にゴム板を貼った
回る回る!!
ためしに水を入れてみた(動画)
スゲー!渦巻きができた!
マグネティック・スティーラー、普通は研究室とかにあるやつじゃないですか。これが家で、こんなに簡単にできてしまうとは!
これを動かしておけば、家にインテリアとして渦巻きを常備することさえできるのだ。昨日までは全く想像していなかったタイプの贅沢である…! カフェオレという奇跡興奮のあまり本来の目的を忘れそうになってしまった。
マグネティック・スティーラーを作ったのはあくまでデカフェの喜びを表現するためであった。いまこそこれでカフェオレを作り、デカフェの喜びを表現するのだ! すごい。粉、お湯、牛乳の順でコップに注いでいくだけで、みるみるカフェオレができていく。
二つの液体を一つの容器に注ぐことを「混ぜる」というが、それをなじませるために棒でグルグル回すことも「混ぜる」という。つまり日本語において、二つの液体を一つにすることと、棒でグルグルすることは不可分だったのである。それが、注ぐだけでグルグル不要でカフェオレに。日本語という言語が想定していなかった事態が、ここに起きているのだ。 言うなれば奇跡である。デカフェに出会った喜びのあまり、奇跡を起こしてしまった…! ……と、ここで一つ、脳裏にある不安がよぎった。 1.空のコップにインスタントコーヒーを入れます
2.お湯を注ぎます
3.牛乳を入れます
4.カフェオレの完成
うまい…
そうなのだ。べつにマグネティック・スティーラーで混ぜなくても、インスタントコーヒーは十分溶けるのだ。俺の奇跡がインスタントの利便性に負けた。なんだよー!
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