3
ads by microad

ラインハルト独白

Publish to anyone 78views
2017-07-07 23:16:31

リハビリを兼ねての雑な作品ですが・・・

「俺はやつが嫌いだ」

子供のような言葉。

「もし今度目の前に現れたら、俺は奴を殺す」

悪魔のような敵意。

雷神は、自らの右腕を棄てた。
より大事なものを得るために。
失うものの大きさなど、見えはしなかった。
いや、見ないふりをしたのだろうか。
それは恐らく、本人にもわからない。


「兄上!」

戦場に響く、凛とした声。
フリージ家の騎士オルエンと、その兄ラインハルト。
二人は敵として、望まぬ戦いの中で出会ってしまった。

「オルエン、久しぶりだな・・・会えて嬉しいぞ。みな心配しているぞ。一緒にフリージへ帰ろう」

戦場に似つかわしくない穏やかな笑顔を浮かべ、ラインハルトは手を差し出す。
だが、オルエンは悲しそうに首を振った。

「兄上・・・私はフリージへは戻りません」

驚くラインハルトに、オルエンは言葉を続け、その決意をラインハルトに語った。
フリージがロプト教団に加担し、子供狩りを行っていた現実を知った事。
そして、それを止めるべく、オルエンは兄とは別の道を行く決心をした事。
ラインハルトとて、その事実を知らなかったわけではない。
ただ、それでも。
それでも彼は、この道を選んだ。
ただ、彼の一番大切なもののために。

「・・・これも運命か・・・」

ぽつりと呟いたラインハルトは、一振りの剣をオルエンに託した。
かつてイシュタルから託された聖剣。
オルエンが驚き、ラインハルトを見つめる。
それがどれだけ大切なものか、オルエンは知っていた。
そして、それを自分に譲るということが、ラインハルトにどのような決意をさせたのかも理解した。

「兄上・・・」

「話は終わりだ。次に出会った時は妹とて容赦はしないぞ!」

そう言ったラインハルトは、オルエンの方を振り返ろうとはしなかった。


騎士として国を守れず、兄として妹を導くこともできず。
私は何も為す事ができなかった。
だが、それでも。
せめて願うことが許されるなら。
貴女の選んだ道が、どうか幸せであるように・・・


ads by microad

You have to sign in to post a comment or to favorites.

Sign in with Twitter


永時@スピードばく
@alussfon
Share this page

ads by microad


Theme change : 夜間モード
© 2018 Privatter All Rights Reserved.