「暗い場所を生き返らせたい」 シリアの若手芸術家ら、廃虚で苦しみを絵に表現
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【8月30日 AFP】アブダラ・ハリト(Abdallah al-Harith)さん(21)は、シリアのヤルムーク(Yarmuk)・パレスチナ難民キャンプで灰色の廃虚の間にキャンバスを立て、赤い色を一塗りする。今は破壊されてしまったハリトさんの自宅も、ここからそれほど離れてはいない。
ハリトさんら若手アーティスト12人は8月中旬、この地にイーゼルを持ち込み、絵を描いた。首都ダマスカス郊外のこの難民キャンプには、かつて多くの人が住んでいたが、7年におよぶ内戦の影響で今はほぼ誰も住んでいない。
長年の爆撃と包囲攻撃により荒れ果てたこの地で、絵筆と鉛筆を持ち、苦しみを絵に表していく。「この暗い場所を生き返らせたい」とハリトさんは言う。ハリトさんは数年前にヤルムークから避難したが、5月に政府がイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」を一掃した後に戻って来た。
ハリトさんは、明るい赤色のリンゴを持った少年が地面から出てくる絵を描きながら、「新しい命を表現している」と話した。
国連によると、内戦前ヤルムークには約16万人が暮していた。1957年にパレスチナ難民のための居住区が造られ、何十年にもわたり人口が増え、最終的にダマスカスに飲み込まれた。
だが、現在、ほぼ見捨てられた状態となっている。
住民約14万人は、2012年の政府と反体制派の衝突時に避難した。残った住民は政府による包囲網で深刻な食料不足に陥った。2014年、食料配給を受け取るため集まった住民たちの痩せこけた様子を捉えた悲惨な写真は、世界中の人々に衝撃を与えた。(c)AFP/ Maher Al-Mounes