2018/08/31
【企】FreyMENOWの深淵を旅する
土屋です。
異世界の資料ライブラリを整理していたところ、FreyMENOW楽曲について、作詞家さん、作曲家さんとの打合せ資料らしきものを発掘しましたので今回はそれを公開したいと思います。というわけで、前回お伝えした通り、FreyMENOW関連の楽曲についてです。
それにしても、作詞家さんにとっても、こんなものを読まされるプロジェクトは他に無いかと思います。大変お手数お掛けいたしました。この場を借りて、謹んでお詫び申し上げます。



以下資料抜粋↓

▼世界背景
FreyMENOW(フレイメノウ)とは、卯月神楽のアーティストとしての芸名です。神楽は観劇が大好きで、昔からミュージカルなどをよく見てきました(お嬢様であり、母親がミュージカルや劇が大好きだった為)。その為、神楽自身も「役者」になりたいという気持ちが強く、小学校から演劇クラブ一筋、中学1年の時に子役オーディションに受かったところから芸能入りします。
その後、本当にやりたいこと(ミュージカルのように、唄で舞台をやりたい)を実現する為の道を模索し、自分でも色んな楽曲を作りつつ孤軍奮闘していたところ、縁あって、「サンセットミュージック」(1つめの事務所)にスカウトされました。

以後神楽は、2年間でアルバムを3枚ほどリリースしており(年間1.5枚ペース)、そのどれもが「世界を伴うヒーリングアルバム」です。事務所のバックアップもあり、神楽はある一定のところまで知名度を得て、コアなファンが沢山つきます。しかし、この時点ではまだ「知る人ぞ知る」アーティストであり、とても東京ドームでライブ出来る程のパワーはありませんでした。


▼FreyMENOWの作風(最初の事務所時代)
最初の事務所(サンセットミュージック)時代には、事務所が音楽性に口を出すことは無かった為、神楽は本当に自分がやりたい音楽をやることが出来ました。その頃の神楽は、まだ世界の闇を知ることも無く、幸せの絶頂にあり、それ故に「世界は希望と美しさに満ちあふれている」という、100%ポジティブな唄を創り続けます。
人生経験という意味では薄いため、それ故にその薄さが分かってしまう人もいましたが、それを押しのけるほどのパワーが彼女の曲にはありました。それは、「何も知らないからこそ出来る、本当にスーパーポジティブな希望の世界」の表現です。神楽の揺るぎない自信と、絶対にこの「美しく幸せな世界」をみんなに伝えるんだ、というエネルギーが、コアなファンを多数作るまでに至らせたのです。

彼女が好きなのは「EARTH」というテーマ。すなわちそれは自然信仰であり、もっと軽やかに言えば「日本人の大好きなヨーロピアンファンタジー」です。その中でもとりわけ、妖精やエルフといった題材が好きで、指輪物語のエルフの森などは、本気で住みたいと思っているくらい大好きです。

神楽はその「世界」を徹底的に描くために、アルバムでもライブでも、敢えて素顔を表に出す事をしません。もちろん、お日様の下を歩けなくなるという理由もあることはあるのですが、生身の人間が見えてしまうことで、彼女が作りたい世界が彼女自身によって壊れてしまうことを、彼女は一番嫌っていたのです。また、元々演劇が大好きだった彼女は、何かの役に徹底的になりきることが快楽となるため、地が見えないくらいに演出を作り込むのが大好きだったのです。

そして出来たEarthtasiaという楽曲は、そんなFreyMENOWのファーストアルバムのトラック9、物語も大詰めの中で、アルバムの主人公である魔法使いの少女が、唄で奇跡を起こすシーンのものです。


▼ファーストアルバム「WishReal(イシュリール)」の世界と物語(作詞用)
FreyMENOWのデビュー(ファースト)アルバム「イシュリール」。造語ではありますが、「Wish」「Real」(願い→叶う)」的な隠喩が含まれています。それはアルバム1つで1つの物語を描き、それをトラックごとに、それぞれの特徴的な音楽によって表現していくものでした。イシュリールのあらすじは、別の添付資料を参照してください(※注:CD-FreyMENOW the best の冊子に収録されているWishrealの物語です)。


▼Earthtasiaにおける、つばめのハマリどころ、及び、今作ストーリーとの相似点
つばめは当時、重い脳の先天性器質的疾病によって入院を余儀なくされていました。その中で、つばめに希望を与えたのが、このFreyMENOWのアルバムでした。WishRealの物語は、つばめの中で大きな希望となったのです。強く想えば願い叶う。その想いはどんな奇跡でも起こせる。そんな想いが詰まったアルバムは、つばめの心を癒し、そして希望を紡ぎました。一見、地に足が付いていないようなストーリーではありますが、つばめはその中に、自身が生きる上での大きな足がかりを得ました。それは「諦めなければ、必ずどこかに光は差す」という、希望を忘れない、という点でした。あと、潜在的にはこの「想いの力が世界を変える」という設定が、大きな思い込みとなって、つばめのフェノメノン世界を更に強固なものにしています。

一方神楽は、これを作った当時には、まさか自分が「カレン」と同じ立ち位置に立たされるとは思ってもいませんでした。作中の神楽は、母親がおかしくなってしまい、それが自分の従えているクラン「スピネル」のせいだと知ります。スピネルは母親の魂から生まれたクランです。神楽はそれを元に戻して、母親を正気に戻したいと想いますが、どうすればいいのかわかりません。この時神楽は思います。「現実は、カレンの物語とは違って、全然甘くない」と。そして、過去に作ったこのアルバム「WishReal」を嫌いになります。だから、つばめがこのアルバムを賞賛すればするほど、神楽は内心キレまくっていたりします。

そんな中で、アニメのラストでは、母親だけではなく、つばめまでもが死んでしまいます。つばめはその直前、自分の精神世界の中で神楽と対話しますが、その時に「(デビューアルバムの唄のように)自分の想いを信じて!」と伝えます。そのつばめの言葉がきっかけとなって、「考えた」のではなく心の底から「わき出てきた」のが、このデビューアルバムの曲を歌うという案でした。半信半疑ながらも、でももうこれしかない、ここで「やらなかった」ら、一生後悔する、という想いから、全力で神楽は歌い始めます。この「カレンの唄(=Earthtasia)」を。
カレンの唄は、過去、入院中のつばめにとって、大きな支えになっていた=つばめの想いの源にある唄です。つばめは、神楽が歌う「カレンの唄」によって、自身が必要とされている場所を明確にすることができ、そしてラスト、復活することが出来たのです。

この話は、まんま「WishReal」の物語と相似形になっています。それ故に、このアニメのストーリーの中で、Earthtasiaは、強烈な影響を持っているのです。


▼「Wishreal」と「Wishphobia」の関係性について
アルバム「イシュフォビア(=Wishphobia)」の物語は、原作のストーリーをほのめかすものとして作っています。それは暗に、つばめの世界の「世界支配層」による、日本攻略のシナリオにもなっています。ただ、この物語は、対視聴者(※すなわちプレイヤーである皆さん)向けには1つのフェイクを含んでいます。そこが、歌詞にする時に上手く含まれていると、サプライズを与えられるのではないかと思います。

そのフェイクとは、「この歌の歌詞は、最初のドーム戦で発生するフェノメノンを模したものである」と思い込ませることです。最初のドーム戦でのフェノメノンでは、FreyMENOW(神楽)がステージ上の檻に捕まり、そのFreyMENOWを狙うようにして、剣士「テルプシコラ(=発症者:如月音羽)」が登場します。視聴者は歌詞を読み込めば読み込むほど、FreyMENOW=カレン、テルプシコラ=姫 と想定する筈です。そして、「このフェノメノンは、FreyMENOWの歌詞をそのまま再現して、何らかの理由でFreyMENOWを殺害するために、FreyMENOWの親友の音羽が作り出した世界」だと解釈すると思います。
しかし実際は違います。FreyMENOW(というより世界支配層)の狙いとしては、逢瀬つばめ=カレン、卯月神楽(FreyMENOW)=姫 なのです。
これは、次の話数からラストまでのアニメシーンで、徐々に明かされていきます。神楽は、つばめが作った「日本全体を包み込むフェノメノン」を、つばめを壊すことによって収束させ、世界支配層(=神)に日本国を捧げる、という使命を持って日本に来た「刺客」だからです。つばめは、世界支配層の統一支配(完全管理社会=奴隷社会)から日本を護る為、自ら身体を張って発症し、日本をフェノメノンで包み、いわば「完全鎖国」を作り出したのです。その辺りも、暗にこの歌詞の中には含まれています。

この「イシュフォビア」というアルバムからは、第一話用に【第一楽章(注:Epyllion)】、第27話用に【第二楽章(注:Commiato)】を使います。第一楽章では、主に情景描写しかしていません。これは、この歌詞を深読みする視聴者に、神楽や黒幕の真意を掴ませないように、でも色々想像させるようにそうしています。第二楽章では、第一楽章で起こったことの「種明かし」をしています。これは、27話ではもはや真実は全て視聴者に明かされているので、その答え合わせになるようにそうしています。



というわけで、FreyMENOWの文書については以上で終了です!
次回は…何をするかは まだ 未定です;

2018/08/31
選択
生きることは選択すること
けれども選択は時に辛くて
選択しない選択をしてしまう
それでもそれすらもが選択で
隣を見れば他の人は器用に生きていて
自分ばかりが不器用に見えて
隣の芝ばかりが青く見えて
でももし覗くことができたら
誰の人生だって完璧では無く
理想的でも無く
誰も同じくらいの苦労があって
自分と同じだってわかる

だから自分は
自分自身がやれることを全部やり
もう何も出来ることはないと
そう言えるまでやり尽くして
その結果導き出した選択は
この世で唯一つの正しい選択
たとえそれが理想的な結果でなくても
その先に道は続いてるから
その選択をした自分を信じて進んで
次の選択をする
そうやって人は生きていく

2018/08/30
【企】パララパラッパの深淵を旅する
土屋です。
今回は何の話しにしようかなと、色々考えていたのですが、先日発掘したオープニング曲「はっぴーらっk もとい「テクトラ!」についての資料を皆さんに公開しようかと思います。もはや2015年制作の資料ですから、人によっては中学や高校を卒業してしまいますね。

さて、OP曲に関しては、 前にも一度こちらで色々と書きましたが、あの時は実はまだ神楽CHよりも前の段階でしたので、明確な回答は避けていたところはあります。しかし今回は、完全なる「答え合わせ」的なものになります。作詞家さんと打合せする際に制作した資料であって、全てくっきりと、裏の意図が書かれたものだからです。ですので、あまりそういったメタなものには触れたくない、と思われる方は、ここで引き返してください。興味ある方は是非どうぞ。基本的には全て過去に何らかの形で語られていることではありますが、ジャンク屋のパーツ取り基板のように、部分的に何か面白いものが発掘できるかもしれませんよ?



以下資料抜粋↓


▼全体としての構想
本作の歌詞のコンセプトは「ぱっと聞いた感じでは普通の萌え歌の歌詞だが、物語が進んで色んな謎が解けていくと、実はものすごい怖いことを唱っている、という「世界観」と「萌え」の二面性のあるもの」です。
それはいわば「現代版萌え系童謡」みたいな感じでしょうか。「とおりゃんせ」とか「ずいずいずっころばし」みたいな子供向けの唄は、実は超怖い暗喩が潜んでいたりしますが、その萌え系バージョン、といったものを目指しています。

故に、本作の歌詞には「裏の意味」があります。「どんなにウソにまみれていても、人は好きな、もしくは気になるモノ・こと・人しか見えない」=「ウソだろうが気にしない、どうでもいい」という事がベースとなっております。また、視聴者が世界の事実を知った際に、「頭パッパラパーでアニメに関係なさそうな曲のくせにOPですでに内容を匂わせていたんだな」、という驚きを与えたいと考えております。

制作の際に、何かヒントになりましたらと思いまして、参考として解説させていただきます。


▼歌詞とその暗喩


▼歌収録時のディレクション補足

【Bメロについて】
Bメロはかなり「カオス」な作りにしています。イメージとしては、(歌の中でも「めまぐるしい」とか「ぐるぐる」言ってますが)、キャラ達がバタバタとめまぐるしく変わっていくような感じです。尚、ここでは「嘘で固めた」と歌っているキャラ(注:みやび)は、相当やる気ない感じでハズしていますが、これはキャラ性を出したものです。

【ペアリング】
Voを歌う際に、必ず対になる子が一緒になっています。「つばめx神楽」と「アーヤxガブ」です。「みやび」はボッチです。これは、作中でこのペアについて、かなり因縁が深い設定になっている為です。あと、更に包み隠さず平たく言えば、百合要素があるペアでもあります。

【Cメロについて】
基本的には殆どが全員で歌ってますが、「とまらない」「ラブずきゅん」のところだけが個人になってます。ペアリングの件にもあるように、「つばめ」→「神楽」の順番になっていて、純真無垢なつばめに、小悪魔的な神楽が(色んな意味で)迫ってくる様を描いたものです。
補足:神楽はつばめのことが好きですが、同時に、この世界を壊す(つばめを殺す)為にやってきたヒットマンです。「ラブずきゅん」は「好き!」という意味と「心臓を打ち抜く」という2つの意味を持っています。



というわけで、次回は更に濃厚な旅をすることになる、FreyMENOWの深淵に迫る資料を公開します!

   
1 / 68