巨艦がようやく動いた。
Facebookは8月29日、日本を含む全世界で、Facebook Watch(ウォッチ)のサービスを提供開始することを発表した。これで、現在約2800万人存在するといわれている日本国内のユーザーすべて、また全世界では20億人に及ぶユーザーのすべてが、Facebook上で新しい映像体験を享受できるようになる。
8月29日10時現在、Wactchのタブは、アプリ右下のハンバーガーメニューのなかに存在。だが、Facebookから提供された画像資料や動画を見ると、いずれアプリのホーム画面上部(ストーリーのさらに上)からダイレクトに遷移できるタブが用意されるようだ。
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1年前にアメリカでリリースされたFacebook Watchは、ニュースフィードとは別に用意された、動画専用のセクション。Watchタブをクリックすれば、フォローしている「Facebookページ」の動画をまとめてチェックできる。そのため、基本的にはパブリッシャーやクリエイターの動画がメインとなる。
プレスリリースによると、「アメリカでは、毎月5000万以上の人々が少なくとも1分間、Watchで動画を視聴」。「2018年の始めに比べ、Watchでの動画の合計視聴時間は14倍にまで増加」しているという。
なお、米DIGIDAYでは、Watchのローンチ以降、たびたびネガティブなニュースが報じられていた。2017年末に公開された「2018年、メディア業界で「終わる」ものは何?」という記事のなかでも、とあるパブリッシャー幹部に、「Watch用のコンテンツ制作を依頼されても、十分な利益投資率は見込めない。ミッドロール広告にエンゲージするユーザーなどいないのだから、この実験は大失敗に終わる運命だ」と評されている。
実際、動画を主軸としたプラットフォームの話題は、ほかにも事欠かない。中国発の口パク音楽動画アプリ「TikTok(ティックトック)」は、2018年に入って急速にその存在感を強めてきたし、Facebook傘下のインスタグラム(Instagram)ブランドの「IGTV」も6月にリリースされたばかりだ。正直なところ、ユーザーのひとりとして、いまさら感は否めない。
その一方、Facebook Watchは、プロコンテンツにも力を入れていくと言われている。米国ではWatch番組を制作するパブリッシャーには、Facebookからコンテンツ制作の支援金が用意されているが、日本のパブリッシャーにも同様の手当があるのかは、いまのところ不明だ。だが、いずれにしても、現状、栄華を誇っているNetflix(ネットフリックス)やAmazon Prime(プライム)からユーザーを奪えるかは、なかなか難しいところだろう。
また、本日のプレスリリースでは、Watch専用の広告メニューについては、言及がない。日本のニューズフィード動画でも、しばしばミッドロール広告がトライアルされているようだが、Watch動画ではそれに加え、プレロール広告のテストも実施されているという。
とはいえ、Facebookはいまや、全世界で20億人以上が利用するサービスだ。YouTubeですら、全世界の総ユーザー数は15億人と言われているため、Facebook Watchの本格稼働は、やはりインパクトが大きいといえるだろう。
Written by 長田真
Image courtesy of Facebook